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 2005年の夏休み、8月6日と8月28日に2度にわたって、横須賀「軍港めぐり」クルーズにでかけました。

 この企画を知ったのは、映画「亡国のイージス」で見たイージス艦を、
横須賀港の間近で見る方法はないものかと、ウェブサイトを検索していた最中でした。

 横須賀には20年前に妻と新婚
2年目旅行で来たのをはじめ、3回も来ていて、そのつどいろいろな方法で自衛隊や米軍基地の艦船を撮影しました。
 基地のフェンス越しに撮影したり、裏山に登ったり・・。(今は、横須賀プリンスホテルをはじめ高い建物がいっぱいありますから、いろいろなところから基地内を撮影することも可能です。)
 今回、遠くからではなく、比較的近くから撮影できないものか、そう思って捜し当てたのがこのクルーズです。 

 このクルーズは、
トライアングルという現地の会社の企画で、夏休みなど特定の土日等に開催され、小型船に乗って、海からアメリカ軍基地、海上自衛隊基地や艦船を眺めるものです。

 クルーズ時間は1時間弱、1日1便で事前予約が必要ですが、料金は大人1人1200円と、もうちょっと高くてもいいくらい控え目な値段です。
 なにしろ、75分乗車した東京−横須賀間の横須賀線の料金が1000円ちょっとでしたから、時間比だけで言うと、JR並みの料金と言うことになります。
 ※トライアングルの公式サイトはこちらです。  軍港めぐりの申し込みページはこちらです。

 以下がその「航路」の地図です。
 地図に書いた、A・B・C・・・・と@・A・B・・・の記号にしたがって、写真を使って横須賀の説明をします。

 テーマは、えっ、軍艦じゃないのかって、いえいえ、そんな安易なものではありません。私は歴史の教師です。
 「基地の街横須賀の歴史と艦船と日本の防衛」といきましょう。

  

 <解説目次>  当初は、8月6日の体験により記述。以下のnew印は、8月28日の体験により追加。

内     容

掲載月日(修正日)

記念館三笠猿島、米軍居住区磁気測定装置new 05/08/11 (05/09/03写真追加

トルーマン湾 旗艦ブルーリッジ イージス巡洋艦カウペンス 05/08/11 (05/09/03微修正)

空母キティホークnew 第7艦隊護衛艦群new

05/09/03新規追加

潜水艦隊基地・横須賀製鉄所new 
05/08/13 (05/09/03追加・大幅修正)

補給艦ときわとインド洋派遣new・砕氷艦しらせ 05/08/13 (05/12/11追加)

第1護衛隊群 護衛艦・海洋観測艦・掃海艦new 05/08/13 (05/09/03写真追加)

長浦湾 護衛艦しらゆきと装備 05/08/13 (05/09/03写真追加)

夏島・追浜 05/08/14 (05/09/03写真追加)

基地ゲートで憲兵に尋問されるnew 05/09/11

10

番外編1 原子力空母配備決定 05/10/30 (新規追加)

11

番外編2 原子力空母ジョージ・ワシントン配備決定 05/12/04 (新規追加)


 乗船場所は、記号(撮影場所は@)、記念館三笠のすぐ隣です。(05/08/06撮影)
 写真の左側のテラスのような構造物が記念館三笠の艦尾です。

 乗船したのは、中央に上部だけが映っている白色のクルーザーです。小型のように見えて、50人は乗船できました。

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 これは、出航後まもなく、地点の記念館三笠をA海上から写したものです。(05/08/06撮影)

 三笠は、かの有名な日露戦争は日本海大海戦で活躍した戦艦で、現在は岸壁にコンクリートで固められて記念館として公開されています。

 三笠記念館の話は、「未来航路」日本史クイズで扱っています。
 こちらです。



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 岸壁からも見えますが、出港すると、クルーザーは次第に横須賀港の入口に横たわる地点の島、猿島に近付いていきます。(この写真そのものは帰り道にBを過ぎてから撮影。05/08/06撮影)

 全島で国有地で居住者のいないこの島は、あの日蓮宗の開祖日蓮にちなんで島名が付けられました。
 
 鎌倉時代、日蓮が房総半島(千葉県)からこの海を横切って相模(神奈川県)側に渡ろうとしたとき、海霧の発生で危うく遭難しかけました。  その時1匹の白い猿が現れこの島に誘導し、難を逃れたという言い伝えがあり、そのことから猿島と呼ばれるようになりました。
 この島は、江戸時代末期からは要塞の島となります。 

 ペリー来航の7年前、1846年にアメリカ海軍のビッドルが浦賀に来航すると、江戸幕府はあわてて江戸湾に海防のための陣地の構築をはじめました。(その陣地は、一般には、台場といいます。東京のお台場は、ペリー来航後に作られた陣地です。)
  
 1847年、江戸幕府は猿島にも3基の台場を築造しました。したがって、ペリー来航時には、実際には役には立ちませんでしたが、一応は、この島には大砲と陣地があったわけです。

 この台場(陣地)は、開国後に起こった安政の大地震で壊滅しましたが、明治時代にはいると再び日本陸軍に手によって要塞化がなされ、戦前は、一般人は渡ることができない軍の島でした。


 現在は、要塞跡、ピクニックコース、海水浴場などがある、レジャーの島となっています。

 横須賀市は、戦後、軍港からの脱却を図って、旧軍都横須賀から平和産業港湾都市建設を目指してきました。猿島はその象徴ひとつ、といえるでしょう。                         | 目次と地図へ |

 横須賀は、1945年の太平洋戦争終了までは、広島県呉、長崎県佐世保、京都府舞鶴などとならんで、いわゆる軍港都市でした。
 旧軍隊の崩壊によって、軍の施設は放棄されましたが、戦後の発展のためには旧軍施設の民間施設への転換等を図らなければなりません。
 このため、1950年4市限定の法律として、
旧軍港都市転換法が国会で制定されました。
 余談ながら付け加えると、日本国憲法第95条には、〔
特別法の住民投票〕という規程があります。
 国会で、国全体ではなく特定の地方公共団体のみに適用される特別法を制定する場合は、その地方公共団体の住民投票によって過半数の同意が必要です。旧軍港都市転換法は、、横須賀市民の87%の賛成によって制定されました。
 →横須賀市のHP「
軍転法50年のあゆみ」より。こちらです。


 上の3枚の横長の写真は、地図地点にあるアメリカ軍の家族の居住エリアを、上から順に南側・東側・北側から撮影したものです。(すべてA〜Bの間から、05/08/06撮影)
 なにしろ、世界最強の艦隊、アメリカ第7艦隊の本拠地です。その家族を含めると、ここには
16000人ほどが生活しています。
 このエリアは、アメリカ軍接収以前は、日本海軍の第1回海兵団が置かれていた場所です。海兵団というのは、徴兵した兵隊を、海軍の水兵に訓練する施設のことです。

 現在は、高層のマンション、スポーツ施設、ショッピング施設、レジャー施設、教会、小中高校・大学、病院など、至れり尽くせりの施設をもつ、「
治外法権」の土地になっています。           | 目次と地図へ |


 の海面にちょっと変わった建造物が見えました。
 何も説明されなければ、「消波ブロック」の一つと思ってしまうかもしれません。(上、右横ともC地点付近から、05/08/06撮影)

 実は、これ、海上自衛隊の磁気測定施設なのです。右はその拡大写真です。こんな「装置」が存在していることは、今回初めて知りました。

 軍艦は、基本的には鉄のかたまりですから、それなりに固有の磁気をもっています。

 これが強すぎると、航行時に海中の自然の磁場にゆがみを生じさせます。
 平時であればそんなこと何でもないのですが、戦時にはこれが致命傷になります。

 戦時には、軍港入口などの海底には、敵方が空中投下や水中敷設によって設置した機雷が潜んでいるのが常識です。
 
 昔の機雷は、船底との接触によって爆発するという単純なものでしたが、現在の機雷は異なります。磁気機雷・音響機雷など、敵艦に反応して爆発する機雷があります。
 そのうち磁気機雷は、敷設されると、おもりにつながれて海底に潜んでいて、近くを軍艦が通過したときに生じる磁場の変化に反応し、爆発するという優れものです。

 このため、軍艦は、磁気機雷が反応するような強い磁場をもたないようにしなければなりません。それには、定期的に自艦の磁気を測定し、もし強い磁気が出ていたら、それを消去しなければなりません。

 驚くことに、現代の軍艦には、自艦の磁気を弱くする装置も積載されています。
 簡単に言えば、自艦に組み込まれている「コイル」に電流を流し、逆の磁場を生じさせて、磁気を弱めるというものです。すごい装置です。 


 クルーザーは、左へ回頭して、横須賀本港(横須賀湾)の中に入っていきます。
 戦前は、地図の猿島と
夏島(今は周囲が埋め立てられて陸の中)とを結ぶ線より湾内(陸側)が、横須賀軍港の区域でした。

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上・左、磁気測定装置に繋留されて、測定を受けている113護衛艦さざなみ
(二つとも05/08/28撮影、上はDから、左はCから)
 さざなみは、2005年2月に就航したばかりの最新鋭汎用護衛艦です。建造費は640億円でした。本来は、呉基地の第4護衛隊群第8護衛隊の艦です。 

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