これが事件の元となりました。
そのまま、歩道橋を東側へ渡りきろうとすると、進行方向、正門前道路の東側の歩道の上にあった日本の警察官詰め所から、警官がやってきました。
「あなた、いま、基地の正門に向かって写真を撮ったでしょう。基地の方から、聞きたいことがあるとのことです。今すぐ向こうから兵隊が来ますから、ちょっと話を聞かせてください。」
「えっ、ええー」
あれあれ、ここにくるまで、駅近くのヴェルニー公園から、ショッパーズプラザ(ダイエー)の屋上から、基地や軍艦を撮影しまくったのに、つまり、この基地は、市民にその姿をさらけ出すポジションにあり、それを自由に撮影してきたのに、正門を撮影したら、話をきかせてくれだと・・・・。
こりゃ、どういうこっちゃ。
私 |
「K(長男に)、走って逃げようか?」 |
長男K |
「やめときゃあ、追っかけられたらどうするの。いうこと聞いて、説明すれば。」 |
私 |
「なんか、しゃくにさわる。」 |
そうこう言っているうちに、ゲート西横、手前の建物から迷彩服を着た白人の兵隊が近づいてきて、歩道橋を戻って、こっちへ来いと促します。
しょうがないから後を付いていきました。
ゲート西横の建物(図の基地管理棟の入り口です。)の前まで付いていくと、迷彩服を着た大きな黒人の兵隊が、睨み付けるようにして、話しかけてきました。口調はやさしいですが、なにしろ、身長190cm以上、アメリカンフットボールのラインマン並みの巨漢です。迫力は十分過ぎるほど十分です。(--;)
黒人兵 |
「Can you speak Englisjh?」 |
私 |
「a little.」 |
黒人兵 |
「Why、What is the prupose of your visit to Yokosuka? |
私 |
「Sight seeing」 |
第7艦隊を撮影に来たとは、あまり言いたくありませんでした。
続いて、同じような迷彩服を着てそばにやって来た日本人が代わって質問しはじめました。
日本人 |
「あなたの住所、氏名は?何か、身分を証明するものはありますか?」 |
彼が手にしたメモのようなものをのぞくと、これから私に尋ねたい項目のリストが示されていました。
name、address、sex、birth、age、hair、eyes、tall・・
つまり、私がどういうものか、、根掘り葉掘り聞かれるというわけです。
私 |
「運転免許証がありますが、これは何のための質問ですか?」 |
日本人 |
「あなたがどんな人か確認したいのです。」 |
私 |
「そんでどうなるの?」 |
日本人 |
「最悪の場合、撮影した写真の没収です。」 |
なにー、おまえら、わしらが何悪いことしたというんじゃ、とでも啖呵をきりたいところです。どこに、撮影禁止と書いたったんじゃい。第一、どういう権限で、没収するんじゃい。
いつもの「挑戦」癖がわき起こってきました。
しかし、父のそういういつもの癖を察知した冷静な長男Kが、こっそりと言いました。
長男K |
「父さん、もまさんと(もめるようなことをしないで)、さっさと片づけよ。時間がないよ。」 |
よくみると、時間は、12時20分を回り、軍港めぐりの集合時間が近づいてきます。ただその為だけに、朝早く起きて、やって来たんです。経費節減のために、青春18切符を使って長時間かけて横須賀くんだりまで来たのです。
ここで、軍港クルーズに乗れなければ、来た甲斐がありません。
しょうがないので、素直に運転免許証を示し、答えました。
私 |
「住所・氏名・生年月日はここに書いてあるとおり。年齢50歳。黒髪、瞳は黒、身長168cm。」 |
そして、デジカメの写真を見せながら、黒人兵に向かって言いました。
私 |
「Do I have to delete these photos in my digital camera? I don’t want to do so.」 |
黒人兵 |
「No,you needn’t.」 |
どうやら、写真を消すのは免れたようです。スパイ容疑じゃあるまいし、いくらアメリカ軍にだって、日本国の一市民に対して、そんなこと要求できるはずは、断じてありません。
そうこうしているうちに、日本人の方が住所氏名等のメモを終えました。見ると、すべて、ローマ字・英語表記です。
私 |
「May I leave here?OK?」 |
黒人兵 |
「OK」 |
やれやれと思ったのもつかの間、黒人兵は、どこかから、富士フイルムの「写るんです」を手に持ち、写真とってもいいかという仕草をしたあと、私の明確な同意を確認するまもなく、カシャッとフラッシュをたいて、写真を撮りました。
何のことはない、基地のゲートの写真を撮影しただけの私ですが、個人データを提供させられ、写真も撮られてしまうという、情けないことになってしまいました。 | 目次と地図へ |
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