| 旅行記のメニューへ  | | 横須賀軍港めぐり目次と地図へ | | 一つ前へ | |  次へ |

 軍港クルーズの船は、横須賀本港の吉倉桟橋を離れて、荒井掘り割り水路を通過して、長浦湾に向かいます。
 
 本来、横須賀本港と長浦湾は別の湾でしたが、荒井掘り割り水路の掘削によってつなげられました。 


 水路によって隔てられることになったた吾妻島地区は、これによって人が簡単に近寄れない地域となったため、戦前から、燃料・弾薬・兵器の貯蔵庫などが次々に建設されました。
(右の写真は05/08/06撮影)

 写真上は、航路のC地点から吾妻島の東側を撮影したものです。
 写真の中の島の右端の石油タンクは海上自衛隊のもの、島の中央部には、アメリカ軍の燃料貯蔵施設がたくさんあります。

 公式には、「
吾妻島倉庫地区」と呼ばれ、遠くから見ると何の変哲もない島です。しかし、実際には、燃料・弾薬・武器など危険物が日本で一番多く貯蔵されている島といえるでしょう。       | 目次と地図へ |


 吾妻島の地点の海上自衛隊誘導弾調整所。ミサイルの調節をするところかな?
 D地点から撮影。
(撮影日05/08/28)
   | 目次と地図へ |



 吾妻島の地点にあるアメリカ軍の燃料バース。ここからタンカーから吾妻島へ燃料が降ろされる。I地点から撮影。
(撮影日05/08/28)


 | 目次と地図へ |




 写真下は、地図の地点にある、アメリカ軍の燃料補給所です。
 写真は掘り割り水路の吾妻島側を撮影したものですが、実は、パイプラインが水路の下を通っていて、対岸には、陸上輸送用の基地があります。

 そこからは、タンクローリーによって、各地のアメリカ軍基地に運ばれていきます。

(右の写真は05/08/06撮影)



  | 目次と地図へ |


 上の写真と反対側の地点にあるアメリカ軍の航空用燃料の移動施設です。
 吾妻島から海中パイプラインでここに運ばれた航空用燃料は、タンクローリーに積載されて、横田・厚木などの海軍・空軍の基地へ輸送されます。
 そういえば、空母キティホークが横須賀入港中は、艦載機は厚木基地に着陸して、訓練しています。港につながれたままの空母からは離発着ができません。

(左の写真は05/08/28撮影)
   | 目次と地図へ |


 吾妻島の掘り割り水路。
 地図のG地点からF方面を撮影。

 遠くに先ほど見てきた、アメリカ軍第7艦隊の護衛艦群が見えます。
(右の写真は05/08/28撮影)





  | 目次と地図へ |




 クルーズ船は、掘り割り水路を抜けて、長浦湾に入ります。
 まず、目にとまったのは、湾の真ん中
地点の潜水艦。

 
ゆうしお型潜水艦で、この艦はすでに退役し、スクラップされるのを待っているのだそうです。
 自動車ほどではありませんが、何百億円もかけて建造した自衛艦も25年から30年で、寿命がやってきます。
 (右の写真は05/08/06撮影)


   | 目次と地図へ |


 地図の地点に停泊中の123護衛艦しらゆき。(しらゆきの写真は05/08/06撮影。以下同じ。)
 この艦は、横須賀を母港としていますが、見聞記4で説明した、第1護衛隊群の艦ではありません。

 自衛隊の根拠地である、横須賀・舞鶴・呉・佐世保は、自衛艦隊の中の護衛艦隊の基地となっているほか、それぞれの地方隊の基地ともなっています。
 地方隊とは、それぞれの管轄する地域を守ることを任務とする部隊です。
 
 横須賀地方隊には、第21護衛隊という部隊がいて、
護衛艦はつゆきしらゆきさわゆきが所属しています。
 
 
しらゆきは、はつゆき型の2番艦です。
 このタイプは、1970年代から構想された
新8・8艦隊を実現すべく、ヘリコプターを搭載した汎用護衛艦として初めて設計され、1980年代に続々と完成しました。
 しばらくは、護衛艦隊の主力護衛艦でしたが、新鋭艦の出現によって、現在は地方隊の護衛艦に回っています。


 この地区は、船越地区と呼ばれますが、海上自衛隊司令部、護衛艦隊司令部、第1護衛隊群司令部、潜水隊司令部など司令部機能が集まっている地区です。                   | 目次と地図へ |


 しらゆきが、ちょうど頃合いいいところに、しかも真横をこちらに向けて停泊しているせいか、クルーズ船はスピードを緩め、説明役のおじさんは、ここぞとばかりに、しらゆきの装備(兵装)について説明を始めました。

 艦主にあるのは、76mm単装速射砲です。

 艦橋の前にある四角い箱のようなものは、8連装対潜水艦魚雷アスロックです。ロケットで発射され目標潜水艦の近くまで飛翔し、パラシュートで着水して、入水後潜水艦を追尾します。  | 目次と地図へ |


 艦橋の後ろにあるのが、近づいたミサイルなどを最終的に防御するCIWS(高性能20mm機関砲)です。

 20mm機関砲が6つ束になっており、レーダーと射撃装置が一体となって全自動で射撃し、1分間に3000発の弾幕を張って、艦を防御します。


 | 目次と地図へ |


 
 

煙突の左右両舷にあるのが、ハープーン対艦ミサイルです。
 射程距離はおよそ90km。

 映画「亡国のイージス」では、「反乱」したイージス艦が、このミサイルによって、自衛艦を撃沈しました。


    | 目次と地図へ |


 ハープーン対艦ミサイルのすぐ下に装備されているのが、3連装魚雷発射管です。


   | 目次と地図へ |


 艦尾のヘリコプター甲板の後ろにあるのが、シー・スパロー、個艦防御用近接対空ミサイルです。8連装です。
 このほかにも、写真では確認できませんでしたが、12.7mm機関銃というのも搭載されています。

 2005年8月10日の『朝日新聞』夕刊に、マニラ沖を航行中の護衛艦
しらね(この横須賀を母港とする第1護衛隊群のDDH)で、この12.7mm機関銃の実弾射撃訓練をしていたところ、銃に異常が起こり、訓練中の2等海曹の左胸に薬莢の破片があたり、負傷するという事故が起こったという記事が掲載されました。

  | 目次と地図へ |

 実は、自衛艦は、以前はこのような機関銃は搭載していませんでした。
 ところが今は全艦に搭載されているそうです。

 理由はというと・・。

 1999年、護衛艦が能登半島沖で北朝鮮の不審船と思われる国籍不明船を追跡したとき、機関銃を搭載していなかったため、有効に停戦させることが出来なかったという事件がありました。
 そりゃ、よもや、北朝鮮の漁船のような船相手に、ミサイルをぶっ放すわけにはいかんでしょう。この反省から、停戦させるための威嚇射撃を行う武器として、12.7mm機関銃が全艦に搭載されることになったそうです。

 それにしても、薬莢の破片が当たって負傷されたことが新聞の記事になるわが日本は、この上なく平和ないい国です。

 なにが、平和を生んでいるのか。いろいろ考えることができる授業をしたいものです。


 地図の地点に停泊中の168護衛艦旗艦たちかぜ。(05/08/28撮影)      | 目次と地図へ |


地図の地点に停泊中の125護衛艦さわゆきと468掃海母艦うらが(05/08/28撮影)  
 掃海母艦は、掃海部隊の旗艦として掃海艇への補給等を行います。

   | 目次と地図へ |


上の写真の
125
護衛艦さわゆき
468
掃海母艦うらが
(05/08/28撮影)
  
 掃海母艦の巨大さが分かります。基準排水量5650トンです。

  | 目次と地図へ |


| 横須賀軍港めぐり目次と地図へ | | 一つ前へ | |  次へ |