| 旅行記のメニューへ  | | 讃岐香川・備前岡山旅行記目次へ | | 前へ | | 次へ |

金比羅様・階段・温泉・讃岐うどん・電車・備前焼

 マンチェスター・ロンドン研修記を半年もかけて書き続けたため、その間に出かけた旅行のネタがたまってしまいました。そこで、海外旅行記が終わったばかりなのに、また、旅行記です。
 2月の終わりに、妻と二人で今年最初の旅行に出かけました。

「冬だから、温かいところに行きたい。温泉も入りたい。」

「よし、では、昨年の春の道後温泉に続いて、四国温泉シリーズ第2弾としよう。」

「どこ」

「讃岐の金比羅様、温泉もある。階段もある。」

「また、階段?土合駅よりすごい?(上越本線土合駅の話はこちらです。→「長野・群馬・新潟・富山旅行7土合駅」」)おいしい食べ物は?」

「土合駅は486段の階段だったが、金比羅様は、本宮までで785段、奥の社まで行くと1368段にもなる。そこまでは行きたくない。膝が壊れそうだ。
 名物もちゃんとある。おいしいかどうか食べてみないと分からないが、讃岐うどん。うまくお店を巡ると、あびるほど、いやと思うほど食べられる。」

「きっと、面白い電車もあるんでしょう?」 

  「あたり、古い電車も走っている。」 

 かくて、ほぼいつものメニューがそろって、讃岐香川の金比羅様と、帰りに備前岡山で備前焼を作るという体験を加えたメニューとなりました。

この香川・岡山旅行記は、右のTRIP ADVISER Japanのサイトで紹介されています。以下のURLです。(右下の「お役立ちリンク集」コーナーの「おすすめツアー・現地情報」のところです。)
http://www.tripadvisor.jp/Tourism-g298231-Kagawa_Prefecture_Shikoku-Vacations.html
 



このページの参考文献一覧へ
 今回は鉄道で  | 先頭へ ||地図01 行程と訪問地一覧へ

 これまで数年の国内旅行は、経費節減と時間・日程を稼ぐために、週末の金曜日の夜に自動車で現地に向けて出発し、深夜または早朝にに現地について、次の日は朝から観光地を訪問するというパターンが続きました。

2009年5月長野・群馬・新潟・富山旅行、2010年3月土佐高知と伊予松山旅行、
2010年5月高岡・富山・宇奈月旅行、2010年7月出雲・石見旅行、
2010年12月出雲一畑電鉄運転体験

 もうそのパターンもちょっと飽きてきました。
 しかも、この2年間に、3度も中国四国方面へ出かけています。そこで、今回は、いささか新鮮味がなくなった中国自動車道路を自動車で遠征するのはやめにして、新幹線とローカル線に乗って行くことにしました。
 以下は、、列車の旅程表と運賃・料金等(一人分)です。    


このページの参考文献一覧へ
 まずは瀬戸大橋渡って讃岐うどん  | 先頭へ ||地図01 行程と訪問地一覧へ

 朝は、名古屋発06:20ののぞみ号で出発です。

「どうしてこんな朝早い電車で行くの?」

「朝早く高松について、朝から讃岐うどんを食べ歩く。当然朝食は抜きで出発する。
 そのためには、名古屋始発ののぞみ号で、岡山まで早朝に向かわなければならない。それから高松行きのマリンライナーで瀬戸大橋を渡るのだ。」

 写真01-01   午前8時過ぎの岡山駅のホーム案内            (撮影日 11/02/26)

 私たちが乗るのは、快速マリンライナー11号です。普通料金で高松まで行く快速です。



 写真01-02・03・04
 
岡山駅6番ホームに停車中の発車直前の特急しおかぜ3号松山行きです。(撮影日 11/02/26)

 列車の横面には、NHKのドラマ、「坂の上の雲」の登場人物等が描かれています。
 大河ドラマと違って、「坂の上の雲」は、3年にわたる長期作品ですから、宣伝効果も長続きします。
 松山へは2010年の3月に行きました。
  →「土佐高知・伊予松山旅行」


 写真01-05  マリンライナー(撮影日 11/02/26)

 写真01-06  瀬戸大橋から (撮影日 11/02/26)

 写真01-07 坂出の造船所 (撮影日 11/02/26)

 写真01-08 通ってきた瀬戸大橋 (撮影日 同)

 写真01-09・10 高松駅の5番線と6番線です。  (撮影日 11/02/26)

 左:5番線(左)は私たちが乗ってきたマリンライナーです。隣の6番線には普通ディーゼルカーが停車しています。
 右:マリンライナーが折り返し出発したあとの5番線には、徳島発岡山行きの特急、うずしお6号が高徳線からやってきました。高松と徳島を結ぶのがJR高徳線です。この路線は未電化のため、うずしお6号はディーゼルカーです。
 高松駅は、通過駅ではなく、終着駅です。うずしお6号は、ここでスイッチバックして、瀬戸大橋に向かいます。
 昔はここから連絡線に乗り換えました。宇高連絡線です。私は、昭和46年の11月に高等学校の修学旅行でここに来ています。それ以来、40年ぶりです。
 


 写真01-11  讃岐うどん1 (撮影日 11/02/26)

 写真01-12 野菜ぶっかけ(撮影日 11/02/26)

 記念すべき、高松最初の讃岐うどん1杯目は、駅構内にあるその名も連絡線うどん店で食べた、野菜ぶっかけうどん440円です。
 ぶっかけうどんというのは、ざるうどんを一つの器にして、ざるうどん用の付け汁の方を薄くのばして直接かけて食べるもの。麻雀荘の客のリクエストで生まれたそうです。
  ※参考文献1 香川県生麺事業協同組合監修『本場さぬきうどんの作り方』P24
 上のメニューは野菜かき揚げがのっかっているもの。
 このは、1988年の瀬戸大橋開業にともなって廃止された、宇高連絡船の中にあった讃岐うどん店を再現してできたものだそうです。
 


 最初の讃岐うどんは、私の今日の朝食でした。
 この「朝から讃岐うどんを食べ歩く」という計画には、一つだけ難点がありました。
 土曜日の朝9時頃から開店している店を探さなければならないからです。
 高松駅を出た私たちは、歩いてすぐの琴平電鉄高松築港駅に行き、そこから、市内のやや南部にある、栗林公園駅まで電車に乗り、次の早朝から営業しているお店に行きました。
 それが、
松下製麺所です。


 写真01-13・14 松下製麺所  (撮影日 11/02/26)
 ここは、いわゆるうどん屋さんと行っても、調理をする専門店ではありません。右の看板にあるように、「製造卸」です。そのついでに、来店者にも「セルフサービス」でうどんを売っているのです。


 写真01-15・16 麺をうでてほぐすところから自分でやります。  (撮影日 11/02/26)


 写真01-17・18 出汁と具を乗せます。              (撮影日 11/02/26)


 写真01-19  左が妻の「作品」、右は私のもの、1杯180円です。          (撮影日 11/02/26)

 このセルフタイプのお店は、香川県民にはおなじみでも、他県民には珍しいものです。お店の手間がかかっていませんから、とにかく安いです。香川県に行ったらこのタイプのお店に立ち寄らなければ、讃岐うどんを食べたとは言えません。
「セルフ型うどん店の魅力はなんといっても安いこと。かけうどんが130円、150円という店がざらにある。喫茶店のコーヒーよりも安い。これは、香川県のうどん店の多くが製麺所から生まれたという独特の理由による。うどん玉を卸す製麺所が工場のそばでお客の注文に応じてセルフスタイルで売り始めたため、普通の飲食店よりはるかに安い売値が付けられた。このため、香川県のうどん店の価格は安く、特にセルフ型の店は圧倒的に安いという今日の姿になった。」
  ※参考文献1 香川県生麺事業協同組合監修『本場さぬきうどんの作り方』P58
 


 次は、市の中心部のアーケード街にあるたくさんのうどん店のうち、「うどん市場」に出かけました。途中の公園では、菊池寛の文学碑がありました。


 写真01-20 菊池寛銅像 (撮影日 11/02/26)

 写真01-21 文学碑(撮影日 11/02/26)

 写真01-22 うどん市場 (撮影日 11/02/26)

 写真01-23 うまそうなお勧め品(撮影日 11/02/26)

 写真01-24 温玉チゲうどんと右は何でしたか?          (撮影日 11/02/26)

 朝から3杯目ともなると、ちょっと・・・・・・・。うどん行脚は、「食べるぞー」という執念の強い人にしか向きません。私のように、小学校の給食に四苦八苦していたような人間になせる業ではありません。(-_-;)


 一番驚いたのは、私たちが立ち寄った3軒の店は、その時間帯が、土曜日の9時から11時だったにもかかわらず、結構な人で繁盛していたことです。お客さんの中味は、私たちのような観光客はむしろ少数派で、ほとんど地元の人でした。特に、松下製麺所は地元の方ばかりでした。香川県のみなさんは、何とうどんがお好きなことでしょう?
 まあ、そこでクイズです。


  ※黒板の上にマウスを置くと、正解が現れます。

 この数字は、総務省統計局・政策統括官(統計基準担当)・統計研修所の「家計調査」のサイトにある、次のファイルの数字用いました。平成20年~22年の平均の数値です。
 http://www.stat.go.jp/data/kakei/5.htm
 穀類(エクセル:71KB)


 大変はっきりした数字です。

 
麺類は全国1位米は全国の最下位から2番目です。本当はうどんだけの数字が分かるといいのですが、これだけでもはっきりです。
 ちなみに我が
岐阜市は、麺類28位(17,631円)米15位(32,007円)です。いつもながら穏当な中位です。(^_^)


 うどん手打ち体験         | 先頭へ ||地図01 行程と訪問地一覧へ

 今回の私たちの讃岐うどんの目玉は、手打ち体験です。
 金比羅様へお参りする参道沿いの道に、
雄美堂というお店があります。ここでは、観光客向けに「うどん学校」を開いています。


 写真01-25 雄美堂  (撮影日 11/02/26)

 写真01-26 うどん教室  (撮影日 11/02/26)

 二つのコースがあります。

お手軽コース1,365円

・・熟成済みのうどん生地をのばし、切って茹でて食べるコース、所要時間1時間程度

職人コース1,575円

・・粉からこねて生地を作り、のばして切って、茹でて食べるコース、所要時間3時間程度

 私たちは、職人コースを選びました。僅か200円の違いですから、たくさんできる方がお得です。
 ただし、職人コースは、途中で生地の熟成の時間が必要ですから、90分間の休憩時間があります。この時に、うまい具合に、金比羅様に参拝に登るのです。


 写真01-27  「麺許皆伝」の秘技です                  (撮影日 11/02/26)

 この体験は、あとでこのサイトで報告するという点からは失敗しました。私も妻も熱中して体験に取り組んだため、途中の写真が撮れなかったのです。残念です。まあ、秘伝ですから、体験してなんぼですね。


 写真01-28 これが私たちの作品です。   ちょっと太めですね。             (撮影日 11/02/26)

 指導員の方が、「もっと細く切って」と言われても、なかなかうまく切れません。そばを作るつもりぐらいで細く細く切ると、ゆであがるとちょうどいい「うどん」になります。


 写真01-29・30 早速試食。本日4食目のうどんですが、自分で造ったものはまた格別です。(撮影日 11/02/26)


 讃岐うどんの食べ方について、蕎麦の専門家の立場から興味深い本を書いた藤村和夫氏は、次のように指摘しています。
「 讃岐風「釜揚げうどん」のすすめ-うどんのおいしい食べ方
 うどんは蕎麦にくらべて、食べ方が多様です。
 蕎麦でしたら、よいところ、もりか種もので、その味つけは、ほとんど「そば汁」が主体です。もっとも最近では、マヨネーズで食べるという詰も聞きました。「わさびマヨネーズ」などというものもできておりますが、まったくうってつけです。
 うどんでしたら、辛子マヨネーズばかりかトマトケチャップでも大丈夫でしょう。
 いまから二十年ほど前に、私がうどんをチョコレートやジャムで食べさせましたら、当時は、マスメディアのヒンシユクを買いました。しかし考えてみれば、うどんはパンと同じ小麦粉製品でなんの味もしないのですから、パンにつけるものはなんでも受けつけるはずです。
 私がいちばん感心しているうどんの食べ方は、昭和四十年代から、おそらくスナックで始まったのではないかと推定される「焼きうどん」です。
 それまでは、うどんというものの主流は、関西風に昆布と鯖節(さばぶし)でだしをとって、そこに一割近く淡口醤油を入れた「おだし」で食べることになつていました。
 もし、ご家庭で自家製のうどんをこしらえたときに、いちばんおすすめできる食べ方は、讃岐風「釜揚げうどん」です。
 これは讃岐でも、ほんとうの釜揚げがなければやらないのだそうで、つまり、茹で上げてから洗われないうどんを、すぐに食べてしまう方法です。
 洗わないし、「おだし」もひかないので、いちばん簡単です。傍らでうどんができあがるのを待ちくたびれているご家族にも、きっとご満足いただけるでしょう。
 うどんが打ち上がって切られ、お鍋の中で茹ではじめられたならば、ご家族をダイニングテーブルの周りに、それぞれ丼と割り箸をもたせて待機させ、うどんが茹で上がったらロード(Lord)よろしく、肉やパンを切り分けて配ってやる代わりに、うどんをそれぞれの丼の中に分けてやります。分けられた”家来″たちはおのおの、その丼の中のうどんに刻みネギ、刻み海苔、削り節、贅沢にいくのならば卵の黄身などを好みにまかせて入れ、そこに濃口醤油を大さじ二杯ほどぶっかけてかきまわし、熱いうちに食べるのです。
 この食べ方は、讃岐の人がいうには、うどんがいくらでも食べられるそうです。たしかに、これは聞いているだけでもおいしそうです。
 現代人ならばきっと、濃口醤油ではなく、ジャンを入れたり、わさびマヨネーズや辛子明太子を混ぜたりして食べるのではないでしょうか。
 昔のマスメディアのように、私もちょつとヒンシユクしたくなります。」
  ※参考文献2 藤村数夫著『うどんの秘密 ホンモノ・ニセモノの見分け方』P180-182


 
 写真01-31・32
     (撮影日 11/02/26)

 無事「「修了証」をもらいました。じつは見事な成績とはほど遠い、なかなか難しい実習でした。
 指導員の方はなかなか分かりやすい説明で、理屈は納得できるのですが、手を動かす私たちが素人過ぎて、全然ダメでした。
 1回だけではとてもとても取得は無理です。当然ながら、何回も何回も失敗しないと身につきません。

 右上は、おまけにもらっった麺棒です。
 秘伝の技術を忘れないうちに家で復習しなければなりません。 


 このあと、金比羅温泉でホテルに宿泊しました。
 その夕食で予想通り、本日5食目のさぬきうどんが出ました。さすがにもうげっぷが出そうです。以前の富山湾の「ホタルイカ」三昧ほどではありませんでしたが、夢にまで出てきそうな、讃岐うどんです。
  ※「ホタルイカ」については、→旅行記「滑川・野麦旅行」をご覧ください。

このページの参考文献一覧へ

 【香川讃岐・備前岡山旅行記1 讃岐うどん 参考文献一覧】
  このページ1の記述には、次の書物を参考にしました。

香川県生麺事業協同組合監修『本場さぬきうどんの作り方』(旭屋出版 2000年)

藤村数夫著『うどんの秘密 ホンモノ・ニセモノの見分け方』(PHP新書 2006年)


 1ページ目は、讃岐うどん三昧となりました。2ページでは、琴平電鉄・金比羅宮そのものを紹介します。


| 旅行記のメニューへ  | | 讃岐香川・備前岡山旅行記目次へ | | 前へ | | 次へ |