まず、氷河期時代(旧石器文化の時代、岩宿文化の時代)から縄文時代の移り変わりについて、少し詳しく説明します。
最後の氷河期は、今から2万年前に最も寒い時期を迎えましたが、それ以降は、気候は次第に温暖化に向かいます。
今から1万5000年前を過ぎてからは気温の上昇も速まり、約1万1000年前に少し「寒の戻り」があったものの、約1万年前には、現在とほぼ同じ気候となりました。(縄文時代の時代区分は以下のようになっています。)
ちょっと余分な、しかし大事な気温の話です。
最も寒かった2万年前は、日本の気温は平均で現在よりも6、7度を低かったと考えられています。氷河時代というと、何か、地表がすべて雪と氷に覆われていると勘違いされるかもしれませんが、そんなことはないのです。
しかし、気温が6、7度低いと言うことは、日常生活上は大きな違いです。
次は各地の現在の年平均気温と、それを氷河期並に補正したものとの比較の表です。
<現在の年平均気温と氷河時代の想定平均気温の比較>
都市名 |
現在の平均気温 |
氷河時代(6度低いとして) |
今でいうとどほぼこと同じか |
稚内 |
6.4 |
0.4 |
イルクーツク |
高山 |
11.0 |
5.0 |
モスクワ |
東京 |
15.6 |
9.6 |
青森、ロンドン |
名古屋 |
15.1 |
9.1 |
函館 |
沖縄 |
22.4 |
16.4 |
大阪 |
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東京や名古屋が、青森や函館と同じになるというのは、どんな感じでしょう。
実感では、名古屋と函館の気温差は、なんとなくわかりますが、食糧事情ということになると、よくわかりません。
1つ具体例を出して、考える材料としましょう。
1993年といえば、冷夏によって、お米が大凶作となり、ついには、タイ米の輸入とという事態にまでなってしまった年です。
この時、6月〜8月の平均気温は、平年に比べてどのくらい低かったでしょう?
また、黒板で考えてみましょう。
ご自分の答えが決まったら、黒板をクリックしてください。
いかがだったでしょう。
平年との違いは、それほど大きくなくても、食糧資源には大きな影響をあたえるということが、少しわかって頂けたと思います。
これについても、授業で生徒諸君に質問すると、「マイナス10度」「マイナス15度」とかいう、”天真爛漫”な答えが多く返ってきて、授業のしがいがあります。
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岡村道雄著『日本の歴史01 縄文の生活誌』(講談社 2000年)P084
年平均気温データは、気象庁のHPの「報道発表資料」の平成17年の年気温等を参考にしました。 |
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