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日本人のアイデンティティを考える2
   
 □酒に強い人弱い人 01/06/03作成 
 アルコール分解に関連する遺伝子 | 関連ページの案内へ |

縄文人と渡来系弥生人の違い、つまり、古モンゴロイド新モンゴロイドの違いは、日本人のアイデンティティを考えるT「現代日本人のルーツ」で説明しました。寒冷地適応した新モンゴロイドは、手足が短い・一重まぶたなどの特色を持ちました。その特色のひとつに、酒に弱いという特色があります。

 ヨーロッパ人はもちろん、アフリカ・東アジア以外のアジア人、アメリカ人などほかのどこの地域の人と比べてみても、日本・韓国などは、酒に弱い人が多くいる民族とされています。
 その理由は、寒冷地適応した新モンゴロイドの遺伝子の中に、アルコールを分解していく酵素の働きが欠落した遺伝子が突然変異で発生し、子孫に受けつがれてしまったからです。

 縄文人は酒が飲めたはずですが、米作りを本格的に初めて米の発酵による酒造りが容易になったはずの弥生系渡来人は、皮肉なことに酒を飲めない遺伝子を持ってしまったのです。 
  
 ここでアルコールを分解する仕組みを説明して、何故酒が飲めない理解していただきます。


 飲まれて胃に入ったアルコールは、おもに十二指腸・小腸で吸収され、血液中に入ります。(何も食べていないと=胃の中に何もないとすぐに酔うというのは、アルコールが簡単に胃を通過して腸に入り、すぐに吸収されて、血液中のアルコール濃度が急激に増えるからです。)

 血液中のアルコールは、おもに肝臓で分解され、無毒の酢酸と水にされます。その過程は上図のように、まず、アルコールがアルコール分解酵素によって、アセトアルデヒドに分解されます。さらにアセトアルデヒドがアセトアルデヒド分解酵素によって酢酸と水になります。

 アルコール自体、濃度によっては体に毒なものですが、一次分解によって生じたアセトアルデヒドは、少量でも顔面紅潮や吐き気や頭痛をもたらすやっかいな物質です。
 アセトアルデヒド分解酵素には、高濃度になって働くALDH1と、低濃度から働くALDH2があります。両方備わっていなければ、アルコールの分解によって生じたアセトアルデヒドを着々と分解することはできません。

 寒冷地適応した新モンゴロイド遺伝子には、ALDH2が働かない「ALDH2不活性型」を作ってしまう命令が書き込まれてしまったのです。したがって、この遺伝子を持った人は、お酒を少量のんだだけでアセトアルデヒドが処理されないでたまってしまうため、顔が真っ赤になって、吐き気・動悸・頭痛が起こり、それ以上飲めなくなってしまうのです。
 これが酒に弱い人のメカニズムです。

 それでは、この遺伝子を持った人は、日本にどのくらいの割合でいるのでしょう。

 研究者によってその数値は異なりますが、両親からALDH2不活性型(■とします)を引き継いでしまった、■■型の人はおよそ10%。片親から■を受けついだ■□型は40%。両親からALDH2活性型(□とします)をともに引き継いだ、□□型はおよそ50%とされています。
 
 言うまでもなく、■■型は、全く酒が飲めない人。■□型は、少し飲める人。□□型は普通に飲める人ということになります。
 ■■型の人は、おちょこ一杯で終わりとか、養命酒・ウィスキー入りのチョコレートでアウトとか言う人です。(幸か不幸か我が妻はこのタイプです。)■□型の人は、訓練によって少しずつ酒が強くなる可能性があります。
 
 ちょっと念のために付け加えます。□□型の人は、飲める人なのですが、すごく飲めるかどうかは、アルコール分解能力にもよります。したがって、日本人の50%がすごく飲めるというわけではありません。

 ところで、この飲める飲めないの比率の分布も、ほかの特色と同じように広がっています。つまり、弥生時代以降の渡来系の人との混血が進んでいる地域は、飲めない人が多いわけですから、理論上では近畿地方を中心として日本の中心部ほど、飲めない人が多いことになります。反対に九州南部・四国・東北・北海道などでは、飲める人が多いということになります。
 我が岐阜県は、一人あたりのアルコール消費量も少なく、酒に弱い人(いわゆる下戸)の比率は、50%近くあるとの研究発表もなされています。一方酒の消費量の多い宮城県では、□□型が75%にもなるそうです。
 ※岩田一平著『縄文人は飲んべえだった』(1992年朝日新聞社)
 ※『科学朝日』編『モンゴロイドの道』(1995年朝日新聞社)P217
 
 私は思うのですが、天皇家の人々は、当然お酒は飲めないのではないでしょうか?何しろ、渡来系の支配者階級であるわけですから。

 ところで、どの本にも書いてない私の疑問です。
 新モンゴロイドは寒冷地適応の結果、何故お酒が飲めなくなったのでしょう。寒冷地とお酒が飲めないとの因果関係はなんでしょう。
 酔っぱらってそこらで眠ってしまって凍死しないようにという配慮なのでしょうか。納得できる説をご存じでしたらお教え願います。 
 


<関連ページ案内>
目から鱗 日本人のアイデンティティを考えるT 「現代日本人のルーツ」
目から鱗 日本人のアイデンティティを考えるV 「酒に強い人弱い人」の東西分布
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