| 未来航路Topへ | | メニューへ | | 前へ | | 次へ |

各地の鉄道あれこれ07
 全国各地の鉄道の話題あれこれについて紹介します。

 東京駅と踏切5題 その7特別編 地下鉄銀座線の踏切

 東京駅と踏切シリーズの特別編です。これが本当の最後です。これを含めると、「東京駅と踏切6題」となります。
 前ページの5番目の踏切、越中島貨物線件線27号踏切のレポートがしょぼいものとなってしまったので、予定通り新たに追加します。

 今までは、JR線と東京駅に限って踏切を紹介してきました。
 最後の踏切は、
JR・私鉄・地下鉄を問わず、東京駅から一番近い踏切です。いよいよ決定版です。
 
 ではその踏切はどの路線のどこにあるのでしょうか?
 ここまで、さんざんJR線についての踏切を見てきたわけですから、もうJR線にはないはずです。
 では私鉄線か?
 いえ違います。なんと、その踏切は、地下鉄線にあるのです。
 「地下鉄に踏切???」
 鉄道に興味のない方は大きな疑問を持たれるはずです。そうなんです。常識では考えられない、地下鉄に踏切があるのです。
 そこで、特別編を加えると、
踏切ラインナップは次の表になります。

 1

 東海道線のNo.1、品川道踏切(東京駅から東海道線に乗った場合一番近くにある踏切)

 2

 山手線唯一の踏切、第二中里踏切(東京駅から普通に電車に乗った場合に一番近い踏切)

 3

 山手線の内側、旧貨物線現埼京線の厩道踏切青山街道踏切(東京駅から特別な電車に乗って通ることができる直線距離で東京駅に一番近い踏切)

 4

 常磐線のNo.1踏切、金杉踏切(東京駅から電車にのって、途中で乗り換えて向かった場合の一番近くにある踏切)

 5

 越中島貨物線の幹線27号踏切(電車は走っていないので通常では一般人が鉄道で通過はできませんが、直線距離で東京駅に一番近い踏切)

 6

 JR上野駅から歩いて7分の所にある地下鉄銀座線の踏切(JR・私鉄・地下鉄を問わず、東京駅から最も近いところにある踏切)

 では6番目の特別の踏切を紹介します。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | 
 JR・私鉄・地下鉄を問わず東京駅に一番近い踏切です

 この踏切は地下鉄の踏切と言うことで、かなり有名な踏切です。どこにあるのかといいますと・・・。

 この地図07は、これまでの説明の地図のどれよりも東京駅に近い部分を示したものです。
 黒はJR各線の線路を示しています。東京・神田・秋葉原・上野と山手線・京浜東北線が通っています。
 
橙色の線は地下鉄、東京メトロ銀座線です。
 1927(昭和2)年、日本で最初に開業した地下鉄が、この
銀座線です。最初は、浅草−上野間の開業でした。
 のちに
新橋まで延長されましたが、1941年別の地下鉄会社の路線(渋谷−新橋)と会社ごと合併して、一緒になりました。新会社名は帝都高速度交通営団です。現社名になる前は長いこと、「営団地下鉄」でした。

 もっとも、帝都高速度交通営団としての2番目の地下鉄、丸の内線が開通するまでは、「銀座線」という名称は存在しませんでした。丸ノ内線開通直前の1953(昭和28)年に、銀座線という名称が決まりました。 


 踏切は地下鉄東京メトロ銀座線の支線にあります。
 では、銀座線のどこにあるのでしょうか?
 地下鉄の踏切というものにまったく知識のない方のために、少し詳しく説明します。よくご存じ方は、読み飛ばして写真だけを見ていってください。

 地下鉄の踏切といっても、もちろん、地下の本線に踏切などあるはずはありません。地下鉄の中には、郊外に出ると地上に上がる場合もあり、それなら踏切は存在可能です。
 しかし、そもそもこの
銀座線は、浅草渋谷という東京の都心を結ぶ全路線距離14.3kmの路線です。郊外に出て地上へというほど、郊外へは行きません。もっとも、正確には渋谷駅の手前で地上に出ますが、これは渋谷地区が丘と谷の標高差が激しい谷地のための現象で、線路はすぐそのまま渋谷東急百貨店の3階にある渋谷駅ホームに入って終点となります。(地下から出て百貨店の3階というのが、地理を教える地歴公民科教師にはたまらない点です。何がって、とにかく面白いです。いつか写真に撮ります。(^_^))
 この銀座線は、ほかの路線とは違って、私鉄との相互乗り入れはやっていません。

 ということは、本線には踏切は存在不可能です。

 実は、
JR上野駅の東に、地下鉄銀座線の車庫(検査場)があり、銀座線上野駅東から分岐し、そのあと地上に上がってその車庫に入る際、一般道路を横切る部分が1カ所だけあり、そこに踏切があるのです。
 下の説明図をご覧ください。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |

上の説明図は、国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムのカラー空中写真閲覧から引用した写真をもとに作製しました。国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムはこちらです。→国土交通省ウェブマッピングシステム http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/)

 1989(平成元)年の航空写真ですからちょっと古いですが、基本的な位置関係は同じです。
 JR上野駅の正面駅舎の真下に
地下鉄銀座線上野駅があります。そこから駅の東を南北に走っている昭和通りに出て(その上を高架で高速1号上野線が通っていますので、写真ではそれが映っています。)、そのまま道路に沿って北北東に進み、二つ目の信号を右手(東南東)に曲がるとすぐです。の部分が踏切です。その北に検査場があります。


| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |

 銀座線の踏切の話は、結構有名な話ですから、これまでも聞いたことがある方も多いと思いますが、ここで問題にしているのは、その場所です。
 上でも説明しましたが、「地下鉄の車庫=郊外」といったイメージがありますので、この踏切は「都心からは遠いところ」という錯覚があります。しかし、この踏切の実際の場所は、
JRや地下鉄銀座線の上野駅から歩いて、僅か7分という至近距離にあります。
 このシリーズで話題にしてきた、東京駅からの距離という点では、直線距離で3780mという近さです。
 これは、
埼京線・湘南新宿ライン厩道踏切・青山街道踏切(直線距離5800m)、常磐線金杉踏切(直線距離5564m)、越中島貨物線幹線27号踏切(直線距離5340m)と比べると、これらを断然引き離して余裕の第1位です。

 つまり、銀座線の踏切は、JR・私鉄線・地下鉄線を問わず、東京駅から最も近い踏切と言うことになるのです。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |

 お待たせしました 地下鉄の踏切です

 といってもすぐに踏切の写真は出てきません。まずは上野駅です。 

 写真07−01 上野駅       (撮影日 08/08/13)

 地下鉄東京メトロ銀座線上野駅の構内です。銀座・渋谷方面行き線路のホームの先端から、上野の次の上野広小路駅方面を撮影しました。
 左のホームの柱は近代的ですが、線路と線路の間の柱は、
リベット(鋲)の頭がむき出しの鉄柱です。歴史を感じさせます。
 また、銀座線の集電方式は、電車の屋根の上のパンタグラフではなく、線路横の
第3軌条(3つ目のレール)から電気を取るタイプです。(第3軌条集電方式
 暗くてよく分かりませんが、写真の右の鉄柱の根元で第3軌条があります。漏電しないよう白い碍子が付いています。地上を走る私鉄線と相互乗り入れする場合は、このような方式は使えません。あくまで屋根の上のパンタグラフが必要です。このため、
第3軌条集電方式は、東京メトロでは、この銀座線丸ノ内線のみとなっています。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |
 写真07−02 東京メトロ丸ノ内線神田川橋梁            (撮影日 07/06/13)

 ここで突然ですが、東京メトロ丸ノ内線です。銀座線がのラインに対して、こちらはのラインです。先頭車両のこちら側に第3軌条が見えます。もちろん、反対側の線路にもあります。この撮影場所は、JR御茶ノ水駅のすぐそば、丸ノ内線が一度地上に出て神田川を渡る橋梁部分です。
 この写真は昨年撮影したものです。
 このころから地下鉄の話を掲載することを考えていたのかというと、そうではありません。これは、実は中央の木の緑に囲まれた建物を主役に撮影した写真です。この建物が何かは、また別の所でお話しします。高校の日本史の教科書にも掲載されている有名な建物です。


 写真07−03   上野駅         (撮影日 08/08/13)

 話を戻します。
 
東京メトロ銀座線の上野駅の稲荷町(浅草)側を撮影した写真です。まもなく電車がホームに入ってきます。第3軌条は、ホームの手前までは電車から見て進行方向の左側に、ホームの部分では、反対の右側となっています。
 この電車の入ってきた方向の少し奥に、地上へ出る分岐線が設けられています。


 写真07−04   東京メトロ本社ビル         (撮影日 08/08/13)

 上野駅を出ると、目の前に東京メトロの本社ビルが目に入ります。正確には東京地下鉄株式会社です。(東京都台東区東上野三丁目19番6号)
 この写真は地下鉄銀座線支線踏切に向かう途中、昭和通りの東側歩道から南を向いて撮影しています。右手の高架橋が首都高速1号線、それをくぐった写真右手奥が上野駅というロケーションです。
 踏切には、この写真の画面とは反対方向へ進みます。


 すぐに東京メトロ銀座線踏切が見えてきます。 


 写真07−05 道路と踏切           (撮影日 08/08/13)

 北を向いて昭和通りを5分ほど歩いて、ふたつ目の信号を右に曲がると、すぐに踏切が見えます。この写真では、どこにそんな重要な踏切があるのかな、という感じです。


 この踏切には、通常の踏切にはない仕掛けがあります。
 踏切ですから道路に信号機と遮断機はありますが、同時に、線路側にも柵があります。

 写真07−06  踏切南側          (撮影日 08/08/13)

 これがその踏切の南側部分です。
 線路が2本通っています。写真左側(東側)の線路には、駐車場の入口などにどこにでも見られるような柵があります。こちらの線路は、この道路を挟んで南側と北側にある検査場の作業用車両が通るだけで地下鉄電車は通りません。ですから、簡単な柵のみです。
 それに比べて、右側(西側)には厳重なゲートがしつらえてあります。こちらが地下鉄電車が通る線路です。普通のJR線等の線路でも、線路敷き内に入ってはいけませんが、ここの場合は、第3軌条の高圧線が足下に来ていますから特に危険です。そのために、このようなゲートが設定されているのです。「
高圧通電中 危険」です。 


 写真07−07 南側第3軌条部分           (撮影日 08/08/13)

 これがその高圧電気が通る第3軌条の末端部分です。


 踏切の北側は検査場(車庫)です

 電車は地下から上がってきて、道路(踏切)を渡って、北側の検査場(車庫)に入ります。踏切を通過する電車の写真の前に、北側の検査場の様子を紹介します。


 写真07−08  踏切北側          (撮影日 08/08/13)
 こちらは踏切の北側です。同じく西側の線路には厳重なゲートが設置されています。 

 写真07−09 検査場           (撮影日 08/08/13)

 検査場の内部です。見えるだけで地下鉄車両4編成が待機したり検査を受けています。 


 写真07−10 検査場アップ           (撮影日 08/08/13)

 検査場の車両の西側部分をアップしました。線路の幅がとても広く見えます。錯覚ではありません。銀座線は、軌間1435mmの広軌です。新幹線と同じです。


 写真07−11            (撮影日 08/08/13)

 東側部分のアップです。構内にも第3軌条が設置されていて、普通の線路のおもむきとはまた違います。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |
 地下鉄電車通過します

 さてさて、私がこの踏切にやってきたのは、2008年8月13日(水)の午後0時半過ぎです。この踏切はいつ頃どんな加減で電車が通るのでしょうか?よもや検査場へ入る時刻表が公開されているわけはありません。
 しょうがないので昼食をかねて昭和通りの角の喫茶店へ入りました。小倉トーストを注文して、美人のママさん尋ねました。

「あの、踏切を通る地下鉄を撮影したいんだけど、あそこの地下鉄の踏切って、朝夕には電車の入れ替えがあって出入りが多いのは想像できますが、こんな、昼間に通りますかね?」 

ママ

「ええ、時々は通りますから、大丈夫ですよ。何時ってのは言えませんが、ちょっと待っておられたらうまくいきますよ。きっと。」

 嬉しいことを聞いたので、トーストを食べるのもそこそこにして、午後1時18分、早速踏切に戻りました。こういうシチュエーションで、1時間ぐらい電車を待つのは、まったく平気です。


 写真07−12 地下鉄銀座線澄み切り東側から           (撮影日 08/08/13)

 踏切を通過する地下鉄電車を撮影するため、踏切の東側でスタンバイしました。奥の道路は、昭和通りです。高架上を首都高速1号線が通っています。 

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |

 待つこと数時間というとドラマチックですが、この時は、何と、たったの5分、午後1時23分頃、信号機がカンカンとなり始めました。あっけなく、地下鉄電車が検査場から出て来て、踏切をさっさと渡って地下のトンネルに潜っていきました。 


 写真07−13            (撮影日 08/08/13)

 車を何台も止めて迷惑かけるというわけではなく、また、わざわざ岐阜くんだりから撮影に来ている人間がいることも気にもとめず、銀座線電車は何事もなく、過ぎていきました。


 写真07−14            (撮影日 08/08/13)

 電車が来ない時は閉じていた厳重なゲートは、電車の通行に邪魔にならないように、一番上に上がっています。

| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |
 写真07−15            (撮影日 08/08/13)

 電車が入ってしまったトンネルの中を、厳重な柵の網越しに撮影しました。
 尾灯ではなく、前照灯のようにも見えますが、先ほど入って行った電車に間違いありません。
 線路をご覧ください。
 写真左手に1本分岐しています。解説書によれば、この
検査場は、地下と地上の2階建てになっているそうですから、きっと、地下の検査場へ向かう分岐線と考えられます。勝手な想像です。


| 東京駅と踏切5題その1の地図01へ | | このページの地図07JR上野駅と地下鉄銀座線の地図へ |

 この銀座線の踏切の紹介で、東京駅と踏切シリーズ、「東京駅と踏切5題」(実は6題)をすべて終わります。 お疲れ様でした。


| メニューへ | | 前へ | | 次へ |