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各地の鉄道あれこれ26
 全国各地の鉄道の話題あれこれについて紹介します。

 各地の路面電車その9 鹿児島市交通局 電車と城6

 各地の路面電車のシリーズ、第9作です。8月5日・6日・7日に鹿児島に旅行た際に乗車した、鹿児島市交通局の市内電車(以下、鹿児島市電と表記)のレポートです。
 ただし、前もっていっておきますが、「
電車と城」については、もともと鹿児島の鶴丸城には天守閣がありませんから、熊本や高知や松山や岡山のような「天守閣と路面電車」というわけにはいかず、しょぼい写真となっています。悪しからず。


 鹿児島市電の魅力

 鹿児島市電の魅力を上げると次の点でしょうか。
  1 市内を巡回できる路線(以下の地図参照、路線が二股になっています)
  2 バスとのコラボによる便利な輸送(電車・路線バス・シティビューの輸送ネットワーク)
  3 新型車の導入(2002年ユートラム、2007年5連接3台車のユートラムUの導入)
  4 恵まれた軌道環境(軌道芝生化、センターポール化


 路線

 まずは、路線です。
 南北に長い鹿児島市街地の地形に合わせて、北の鹿児島駅前から南の谷山まで、南北に長い路線が運行され、途中、
高見馬場郡元の間は、路線が二股ととなっており、鹿児島中央駅側と海側(交通局側)に分かれています。

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 左が鹿児島市交通局の路線図です。郡元高見馬場では、次の図のように、線路が三方向のいずれへも行けるようになっています。


 
 実際には、大きな路線系統は、
  
@鹿児島駅前-谷山
  
A鹿児島駅前−鹿児島中央駅前−郡元
の2系統であり、富山鉄道市内線のようなループ線的路線運用にはなっていません。
 しかし、観光目的なら、途中で乗り換えれば、ぐるっと巡回することができます。
 私達は、時間がなかったので、郡元から以南は乗ることができませんでしたが、それ以外の所は、ぐるっと回ってきました。

 ※このページの記載は、鹿児島市交通局のサイトを参考にしています。
   鹿児島市交通局 http://www.kotsu-city-kagoshima.jp/ 

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 運賃は、全線均一で、160円です。
 私達は、迷わず、「
市電・市バスシティビュー一日乗車券」を買いました。4回乗ったらもう元が取れます。
 市バスシティビューというのは、通常の市営路線バスと「
シティビュー」という特別のバスの二つを意味しています。
 
シティビューは、ザビエル公園前・西郷洞窟前・西郷銅像前・仙巌園・石橋記念公園等を回る観光スポット巡りのバスです。
 比較的狭い市街地に濃密に観光名所が分布する鹿児島ならではの観光バスです。
 
市電シティビューとを乗り継ぐと、1日かければいろいろな観光スポットを僅か600円で回ることができます。一日乗車券は、いくつかの施設の割引券にもなっています。 

 写真25−01 年月日をスクラッチして提示し、降りるときには、この面を見せます。(撮影日 12/08/07)

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 電停・駅、車両、軌道の魅力

 鹿児島市電の 見所の一つは、路線の両端にある屋根付きの立派な駅、鹿児島駅前谷山です。
 このうち、
鹿児島駅前は二つの路線の発着点になっているため、市電の駅にしてはとても豪華なことに、3本の電車が同時に停車できるホームの造りとなっています。


 写真25−02 鹿児島中央駅前電停に近づく2113号 右は留学生の像    (撮影日 12/08/05)
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 写真25−03 鹿児島中央駅の整備に伴って線路も移動し美しい景観となった駅前電停(撮影日 12/08/05)

 電停に停車しているのは2101号。
 これを撮影したのは旅行初日の8月5日であり、この日は駅前からレンタカーを借りて知覧・山川方面へ向かいましたので、市電には乗りませんでした。
 最初に市内電車に乗ったのは、山川から帰ってきた旅行2日目です。レンタカーを返して、
鹿児島中央駅前電停から、ホテルに最寄りの天文館通電停まで向かいました。

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 写真21−04・05 電車通りと芝生化された軌道敷(撮影日 12/08/07)

 天文館通と交差する鹿児島市内の目抜き通りは、片側4車線で中央にセンターポール形式の架線柱があり、軌道敷は芝生化されていて、とても美しい景観となっています。
 
センターポール化は、全国に先駆けて、1988年から始められ、1992年に完成しました。
 軌道敷緑化整備事業は2004年から始められ、2012(平成24)年度中には、全線の内、専用軌道がある涙橋-谷山間を除いたすべての区間が芝生化される予定です。全線芝生化も日本で初めての試みです。
 左の写真の一番手前は高見橋電停、右は
1016号。
 いずれも観覧車の室内からプラスティックの窓越しの撮影のため、薄暗くなっています。
 


 写真25−06 鹿児島市交通局の最新型7000形7003号       (撮影日 12/08/05)

 7000形は、2007年に導入された最新型のLRTです。5車体3台車の車両で、定員は78人、阪急阪神グループのアルナ車両の製造です。現在は、7001号から7004号まであります。愛称はユートラムUです。

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 写真21−07・08 天文館通電停。緑の芝生がきれいです。左2122号、右601号(撮影日 12/08/07)

 早朝にホテルを出た私達は、天文館通から市電に乗り、鹿児島駅前方面へ向かいました。

 写真21−09・10 601号の内部。後乗り前降りです。 (撮影日 12/08/07)

 早朝だったので、この電車は私達の貸しきりになっています。 

 写真21−11・12 朝日通電停付近を走る黄色の1019号、赤色の2113号(撮影日 12/08/07)

 いずれも601号の車内からの撮影です。
 赤色の
2113号は、鹿児島市電の中では4番目に古いタイプ2110形です。1989年から製造された26年ぶりの新造車である2100形3番目に古いタイプ)をもとに1991年から製造されたのが、この2110形です。この形はさらに少しずつ改善されて、2110形・2120形・2130形・2140形がグループとして扱われています。
 
2111号から2131号までは姉妹・友好都市の愛称が付けられそれぞれのシンボルカラーに塗装されています。2113号は「鹿児島市姉妹都市号ナポリ」です。  


 写真21−13 谷山行き9512号(撮影日12/08/07)

 写真21−14 100周年(撮影日 12/08/07)

 左の9512号は、鹿児島市電の中では5番目に古いタイプ9500形です。1995年から15両が製造され、さらに改造型として9700形も製造されました。
 右の看板は鹿児島駅前電停で撮影した「100周年記念感謝」の看板です。鹿児島市内の路面電車の運行は、1912(大正元)年12月1日から始まりました。もうすぐ100周年です。 
  

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 写真25−15 3本の電車入線できホームの4面ある鹿児島駅前      (撮影日 12/08/07)

 3電車とも、「100周年記念」の丸いヘッドマークを付けています。また、この塗装が鹿児島市交通局標準塗装です。
 行き先は、左の
501号が鹿児島中央駅前経由郡元行き、中央の9503号が交通局前経由谷山行きです。
 一番右の
614号は、交通局止まりです。私達は、ここで、中央の谷山行きに乗り、郡元へ向かいました。
 
501号は、現在の鹿児島市電(58両を保有)の中では1番古いタイプ500形の車両です。この形は、昔の東京都電7000形をモデルにしたもので、1955(昭和30)年(私の生年)・56年に製造されました。未だ4両が現役で活躍しています。
 
601号は、2番目に古いタイプの、600形です。500形の改良形として、1959年から製造されました。未だ10両が現役です。
 
9503号は、上記の9512号と同じ、9500形(1995年から製造)です。


 写真25−16 鹿児島駅前に到着した1018号           (撮影日 12/08/07)

 1018号は、2002(平成14)年に導入された新型車両1000形のひとつです。上記の9500形・9700形に次ぐ、21世紀に入ってからの初めての新造車両です。
 100%低床車としてアルナ車両が開発したリトルダンサーA3形で、
ユートラムの愛称が付いています。


 写真25−17 郡元駅に停車中の7003号、交通局前経由鹿児島駅前行きです (撮影日 12/08/07)

 鹿児島駅前から郡元へ向かう電車の車中からはいい写真は撮影できませんでした。乗る時点から、灰混じりの雨が降り始め、暗くはなるは、窓ガラスは汚れてしまうはで、とても撮影なんてできる状況ではなくなってしまったからです。
 郡元駅について、鹿児島中央駅前方面への乗り換えを待っていると、
7003号がやってきました。写真25−06と同じ、7003号です。最新鋭のユートラムUです。

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 鶴丸城址と電車

 さて、いろいろな車両を見て楽しんでいただいた最後は、鶴丸城址と電車のカットです。
 これまで、「
電車と城」シリーズで、熊本高知松山富山岡山の5カ所で、路面電車と城の撮影に成功してきました。
 この鹿児島でも挑戦しようと思って出かけてきましたが、はじめから大きなハンディがあることがわかっていました。鶴丸城には近世の当時から天守閣はなく、他の都市のように、「天守閣と路面電車」という構図は、はじめから成り立たないのです。
 そのためか、ネットなどで探しても、鹿児島城と路面電車とうたっているものはありません。 


 写真21−18 これが鶴丸城址です(撮影日 12/08/07)


 しかし、上の写真の交差点、城山入り口の一つ東、200m先の桟橋通交差点を市電が走っていますので、いわゆる「絵になる」かどうかは別として、この城の石垣と市電が一緒に映る写真は撮影可能です。
 桟橋交差点で、20分ほど時間をかけて撮影したのが次の写真です。 


 写真21−19・20 城址と電車 左:1015号 右:9507号 (撮影日 12/08/07)


 写真25−21 桟橋通交差点を通過する9500形         (撮影日 12/08/07)

 電車右手奥が旧鶴丸城址です。緑の樹木の手前の交差点が、上の写真21−18城山入り口交差点です。この写真では、「電車と城」というより、「電車と石垣」になってしまいました。(-_-;)
 これでもこの写真の撮影までに、20分以上かかりました。交差点ですから、電車だけが真ん中を通過するというタイミングがなかなかおとずれなかったからです。

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 整備された軌道敷ユートラム1000形)、ユートラムU7000形)の導入。
 鹿児島市交通局は、市内の観光資源を生かす積極的な「経営」をしているようです。路面電車の未来にエールを送りたく思います。


 【各地の路面電車09 参考文献一覧】
  このページの記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。

服部重敬編著『路面電車新時代 LRTへの軌跡』(山海堂 2006年)


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