| 未来航路Topへ | | メニューへ | | 前へ | | 次へ |

各地の鉄道あれこれ21
 全国各地の鉄道の話題あれこれについて紹介します。

 東京駅から一番近いトンネルその112/07/16

 テーマの説明
 東京の地形 武蔵野台地と谷地
 JR東京駅から在来線に乗って行ける3番目に近いトンネル中里トンネル
 何故こんなところにトンネルがあるのか
 中里トンネル通過
 トンネルの位置をどう定義づけるか
 このトンネルはいつ掘られたのか 
先頭へ戻る
 テーマ設定の説明

 またまた、普通の方にはどうでもいい話題を、テーマにしてしまいました。
 
JR東京駅から一番近いJR線のトンネルはどれかという問題です。
 インターネットで「JR東京駅から一番近いトンネル」「JR東京駅に一番近いトンネル」で検索しても、「それは○○です」と言った明確な正解はヒットしません。
 それもそのはずです。このテーマの設定には、ちょっと注釈が必要です。
 そもそも、
東京駅には地下ホームがあって、横須賀線総武線快速電車やあの東京ディズニーランドへ向かう京葉線は地下ホームから発着しています。この路線を、「トンネル」と表現してしまえば、もはやこのテーマの設定はあり得なくなります。
 つまり、このテーマで言う「トンネル」とは、そのような地下にわざわざ掘削したトンネルではなく、常識的に
丘陵や山のあるところを通過するためのショートカットとして掘られたトンネルを意味しています。したがって、東京駅を出発した東北新幹線が上野地下駅に入るための駅前後の地下部分もこの場合で言うトンネルには含めません。
 
 「え~、そんなこというと、東京には、そんな山や丘を貫通するトンネルなんかあるの?まさか、中央線の八王子の向こうのトンネルのこと?」
 言えそうではありません。中央線の東京・神奈川県境には確かに高尾山を抜けるトンネルがありますが、それでは、あまりにも遠すぎます。そうではなくて、もっと、ずっと近いところにあるのです。
 そんなトンネルは、どこにあるのでしょうか?
 それを理解するためには、東京在住の人には当たり前のことですが、まずは
東京の地形を確認しなければなりません。最初は地理の勉強です。


 写真21-01 東京地下駅に向かう横須賀線・総武線電車。           (撮影日 12/07/06)

 電車は逗子発千葉行きです。品川駅13番線を出て、直ぐにトンネルに入ります。新橋・東京・新日本橋・馬喰町と地下駅を過ぎて、両国駅の直ぐ東で地上に上がり、総武線につながります。総武線の地上駅としての最初の停車駅は、錦糸町です。
 品川駅の北から両国駅の東まで、およそ
9.9kmが地下トンネル部分です。
 同じ東京地下駅からは、東京ディズニーランドへ行く時に利用する
京葉線も出発します。こちらは、八丁堀・越中島と地下駅を経て、潮見駅の手前(越中島貨物駅の南隣)で地上に出ます。そこまで約5.2kmが地下トンネル部分です。
 これら、いわゆる「
地下駅につながる地下鉄道のためのトンネル」は、この特集の対象ではありません。悪しからず。

先頭へ戻る
 東京の地形 武蔵野台地と谷地

 東京の地形の魅力は、中心部から東の荒川のデルタ地帯と、西の武蔵野台地の浸食地形との対比です。
 以下の地図をご覧ください。



カシミールはこちらです。→http://www.kashmir3d.com/


 多摩川の堆積物によって形成された扇状地に関東ローム層が堆積することによってつくられた武蔵野台地は、いくつもの河川によって浸食され、台地と谷という東京の「山の手」の独特の地形を生み出しました。
 こういう地形の東京ですから、低地の方や海岸地帯には、丘陵をくりぬいたトンネルというのは、ありようもないことは理解いただけると思います。つまり、東京から海沿いに進む東海道線にはなかなかトンネルは登場しませんし、また、隅田川・荒川を渡って、千葉方面へ向かう総武線にも、そう簡単にはトンネルは登場しません。
 逆に言えば、正統なトンネルは、当然、台地側にあるものです。
 では、どこにあるのでしょうか。次の地図2をご覧ください。 




 では、上の地図に表示された、6つのトンネルについて、これから順に紹介します。

地図01 東京の地形-台地と低地-||地図02 東京の主なJR路線とトンネル||先頭へ戻る|
 JR東京駅から在来線に乗って行ける3番目に近いトンネル 中里トンネル

 最初は、JR東京駅から在来線電車に乗って通ることができる3番目に近いトンネル、中里トンネルです。
 このトンネルについては、実は、目から鱗の各地の鉄道あれこれの別のシリーズ「東京駅と踏切5題 その3」で、山手線の唯一の踏切、駒込-田端間の第2中里踏切を紹介した時に、ついでに、その近くのトンネルとして、何回も取材しかなり詳しく紹介したことがあります。
  ※→「各地の鉄道あれこれ03 山手線と踏み切り5題 その3」

 しかし、その時は思い込んでしまっていたおかげで、このトンネルを「東京駅に一番近いトンネル?」と表記してしまいました。
 そのあとで、この未来航路の鉄道関係のアドバイザーをしていただいている東京在住の方から、「一番近いトンエルは中里トンネルではない」というご指摘をいただきました。それが、2010年のことです。
 それ以後、さらに他のトンネルを取材し、このたび目出度く、「
中里トンネルは東京駅から3番目に近い」という結論を得ました。
 そのため、先の「各地の鉄道あれこれ03 山手線と踏みきり5題 その3」のページを修正し、そこにあった写真や説明をこちらに移して、再構成したのがこのページです。したがって、上記ページをご覧になったことがある方は、半分ぐらいは見たことがある写真が登場します。しかし、半分は新しく取材したものです。

 まずは、中里トンネルの位置です。 

地図02 東京の主なJR路線とトンネル 

上の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、田端駅・駒込駅周辺の地図です。
写真中央のかまぼこ板が8枚並んでいるような部分が、
中里トンネルです。


 上の航空写真中央の白い屋根とグラウンドは、東京都北区立田端中学校です。
 東南から西北方向には、
京浜東北線東北上越新幹線東北本線が走っており、この中学校を挟むように、田端駅北で分岐した山手線がぐるっと回って駒込・池袋方面へ向かいます。
 
中里トンネルは、それとは別の、山手貨物線(本来は山手線の貨物輸送専用線、現在は、湘南新宿ライン・埼京線などの電車も利用)のトンネルでです。山手貨物線は、池袋・駒込方面から、山手線とは逆に北側へ向かい、トンネルを通って、京浜東北線に接続します。
 
田端中学校は、2本の鉄道と中里トンネルで囲まれた三角地に立地しています。
 こんなところにトンネルがある理由はというと、上の地図01でもう一度確認してみましょう。

|地図01 東京の地形-台地と低地-||地図02 東京の主なJR路線とトンネル||先頭へ戻る|
 なぜこんなところにトンネルがあるのか?

 上越・東北新幹線、京浜東北線が通り、田端駅があるところは、荒川デルタ地帯の西の縁に当たり、この場所から西は、一気に高くなって武蔵野台地に入ります。台地の一番北端にある上野台です。


 写真21-02 田端駅北の上野台、東北新幹線の車両内から撮影        (撮影日 12/02/25)

 丘陵を切り割りで通過しているのは山手線です。田端ー駒込間です。中央下の線路は、京浜東北線の下り線(大宮方面)です。手前は新幹線の防護壁です。マックスやまびこ号の2階建て車両の2階からの撮影です。
 手前京浜東北線の線路の場所の標高はおよそ6m、台地上は、21m~23mです。15m以上の落差があります。


 ところが、台地は平坦ではなく、所々に浸食によってできた谷地があります。
 上野台のすぐ西南側には、北区西ヶ原を水源とする谷田川(藍染川水系、上野不忍池に注ぐ、現在は暗渠)がつくった谷があり、田端駅の次の駒込駅はその谷地に立地しています。駒込駅の標高は、およそ12m前後です。
 つまり、両駅の間には、直線距離にして1,000m程の間に、高さ10m以上の「山」があることになります。
 山手線はこの「山」を切り割りで通過していますが、山手貨物線(湘南新宿ライン)は、そこをトンネルで通過しているのです。


 写真21-03 駒込駅から東方(上野台の丘陵方面)を写した写真         (撮影日 08/05/30)

 左、緑色の電車は、田端から上野台を切り割りで乗り越えてきた山手線電車。
 右、赤い電車は、赤羽方面から中里トンネルを抜けて来た成田エクスプレスです。この特急は、東北本線の大宮駅発です。山手貨物線に入ってトンネルをくぐってやって来ました。池袋→新宿→渋谷→品川と山手線をぐるっと半周して、横須賀線に入り東京の地下駅から総武線方面、成田へと向かいます。 


 写真21-04 (撮影日 08/08/13)

 写真21-05 (撮影日 08/08/13)

 左:山手線の駒込駅横を通過する湘南新宿ラインの快速電車の先頭から第二中里踏切及び中里トンネル方面を撮しました。道路は、左側山手線を踏みきりでクロスし、右側山手貨物線はガードで上を越えています。
 右:山手線は、坂を上がって丘を乗り越え、次は坂を下って田端駅に向かいます。湘南新宿ラインは、踏切と同じ道路をガードでくぐって、トンネルへ向かいます。山手線線路の方は、かなりの勾配です。
 


 写真21-06 (撮影日 08/05/30)

 写真21-07 (撮影日 08/08/13)

 左:山手線の線路は、なんと、25/1000の急勾配でした。
 これが連続する東海道線の関ヶ原は迂回線を作ったくらいの急坂でした。(この話はこちらです。→)駒込-田端間のこの勾配が山手線中の第1位の急勾配ということは確認できませんでしたが、
第1位グル-プであることはほぼ間違いありません。
 右:山手貨物線は第二中里踏切に繋がっている道路のガード下をくぐって、中里トンネルに向かいます。
 


 現在山手線そのものには、トンネルはひとつもありません。ガードの下をくぐることはあっても、トンネルはないのです。
 ところが、この駒込-田端間に昔はトンネルがあったという説があります。
 池袋と田端の間に線路を敷設するときの話です。

「 低地の大塚~巣鴨間では、河川で浸食した谷間があちこちにあり、大規模な築堤を施し橋梁をかけて横断することにしたり、高地では、軌道面を地面より平均約5メートル掘り下げたりもして対応した。
 一方、田端近くの道灌山(現・荒川区西日暮里付近)一帯はとりわけ丘陵が険しかった。線路敷設には大地を削るだけでは限界があった。技師達は曽我に確認を求めた。
「蒸気機関車は、蒸気による動力を用いて走行するので急勾配があっては昇りきれません。品川線では施工しませんでしたが、この区間では隧道を掘るしかないと思われます。」
 トンネルが必要というのだ。そこで、田端~巣鴨(現在では、田端~駒込)間には山手線で唯一のトンネルを掘って走らせることにした(その後トンネルを掘り起こして切り割りに改修しているため、現在トンネルを見ることはできない。ただ一部には最初からトンネルを掘らなかったという説もある。現在同地にトンネルがあるが、これは宇都宮線・高崎線であり山手線ではない。」

参考文献2 中村建治著『山手線誕生』(イカロス出版 2005年)P109-110

|地図01 東京の地形-台地と低地-||地図02 東京の主なJR路線とトンネル||先頭へ戻る|| 参考文献一覧へ | 
 中里トンネルを通過

 それでは、中里トンネルの南北出口の詳細を紹介します。


 写真21-08 (撮影日 10/01/27)

 写真21-09 (撮影日 08/10/25)

 左:電車の上の黄緑色の部分は、山手線が山手貨物線を橋梁でまたいでいる部分です。中里トンネルはその裏側にあり、入り口は見えません。駒込駅から緩い坂をえっちらこっちら歩いて、トンネルの出入り口が見えるポイントに行きました。
 さらに線路に沿って取り付けられているフェンス越しにカメラを構えるため、ガードレールの上に登って、撮影したのが上の写真です。湘南新宿ラインの上り電車が、赤羽駅方面へと向かうところです。
 右:中里トンネルの南側入り口。先頭車両からの撮影です。ちょうど、山手線のガード下を通過しているところです。
  


 写真21-10 (撮影日 09/06/25)

 写真21-11 (撮影日 10/02/06)

 左:上の写真21-09とは反対の、トンネル北側の入り口です。この写真は、上野から大宮方面へ向かう上越新幹線、Maxとき311号の2階席からの写真です。群馬県前橋への出張の際に、ちょうどうまい具合にMaxの2階席がとれましたので、のぞき込んで撮影に成功しました。といっても、電車が通っているという具合には行きませんでした。残念です。
 右:赤羽から池袋方面へ向かう湘南新宿ラインの電車がトンネルへ入るところです。左上の線路は、京浜東北線です。
 撮影場所のこのトンネル上の道路には、安全のため背の高さ以上の高さのフェンスが設置してありました。ここでひるんではなるまいと、無理矢理ガードレールに上って撮影しました。たまたま近くを通った少年とお父さんから、非難の目で見られました。大人げなくて済みません。
 


 写真21-12 (撮影日 08/08/13)

 写真21-13 (撮影日 12/07/05)

 左:この写真の線路右側のコンクリートの部分が、中里トンネルの上部です。この写真は、京浜東北線の上中里から田端へ向かう電車の先頭車両から撮影しました。
 
湘南新宿ラインは、この地点の手前までは、上の写真21-13のように京浜東北線と平行して東側(写真で言う左側)を通っていますが、ここで京浜東北線をくぐって、トンネルへ入っていくのです。京浜東北線からトンネル入り口を撮影するのは、これが限界です。
 右:湘南新宿ライン電車(新宿方面行き)の先頭からの撮影です。先のカーブからトンネルに入ります。右上を京浜東北線電車が通過中です。
 


 写真21-14 (撮影日 12/07/05)

 写真21-15 (撮影日 12/07/05)

 左:湘南新宿ライン電車が、京浜東北線の下をくぐるところです。直ぐ向こうに中里トンネルが見えます。
 右:中里トンネルの北側の入り口です。
 

地図01 東京の地形-台地と低地-||地図02 東京の主なJR路線とトンネル||先頭へ戻る|
 トンネルの位置をどう定義づけるか

 さてこのトンネルですが、東京駅からどれぐらいの距離と位置づければいいのでしょうか?ちょっと、JR路線事情に詳しい人なら、「なるほど、これは難しい」と思われるはずです。
 その前にちょっと寄り道です。


 写真21-16 (撮影日 08/08/13)

 写真21-17 (撮影日 08/08/09)

 左:京浜東北線上中里駅の北側を駅に向かって走行中の電車の先頭から撮影です。
 
京浜東北線は、南から北へ説明すると、上野-鶯谷-日暮里-西日暮里-田端と山手線と平行して走り、田端を過ぎると山手線がカーブして西側に離れ、京浜東北線はほんの一瞬単独行となります。(正確には、写真左手に写っている東北・上越新幹線の高架が平行しています。また、その東には田端の電車区の車両基地が広がっています。)
 田端の次の駅が写真の
上中里です。
 
京浜東北線の左側(東側)の線路が、駒込の東から山手線をと別れ、中里トンネルを抜けて北上してきた山手貨物線(湘南新宿ライン)の線路です。
 右:
上中里駅のホームから撮影した写真です。貨物線の方には、電車ではなく本来の貨物列車が通過中です。EF210電気機関車に牽引されたコンテナ貨物列車は、トヨタ自動車の専用コンテナ列車です。
 ここでちょっと脱線して、高校公民科政治・経済の勉強です。
 このコンテナはトヨタが独自に開発したもので、2006年秋から走り始めた貨物列車です。名古屋周辺で製造された自動車部品を集めて、名古屋臨海鉄道名古屋南貨物駅でコンテナに積み込み、岩手県盛岡市の盛岡貨物ターミナルまで鉄道輸送し、トヨタグループの関東自動車工業岩手工場(岩手県金ヶ崎町)まで運ぶものです。
 自動車会社のトヨタが鉄道輸送を使うというのもおかしなものですが、従来のトラックやカーフェリーを使った方法に比べ、それぞれ年間CO
2排出量を1万トン及び2000トンも削減できるそうです。
 名古屋南貨物駅を22:50に出発し、盛岡は翌日14:02着です。上中里駅横通過時刻は、05:50頃です。

名古屋臨海鉄道とトヨタのコンテナについては、近々掲載の
岐阜・美濃・飛騨05「西濃鉄道石灰石専用列車と大垣赤坂金生山 13名古屋臨海鉄道1」でも説明します。

 この写真21-17は、隣の写真の 08/08/13撮影 ではなく、その4日前の 08/08/09撮影 です。
 実は2008年8月8日夜から11日の朝まで、妻と新潟の佐渡まで旅行に行きました。8日夜に夜行バスで岐阜を発ち、翌朝東京まできたのですが、早朝あまりにも早く、05:30に東京駅に着いたしまったので、ちょっと電車で探検している時に、偶然この貨物列車に遭遇しました。


 写真21-18 (撮影日 08/04/28)

 写真21-19 (撮影日 08/04/28)

 左:1989年撮影の航空写真の中里トンネル部分のアップ。右下は田端駅です。
 右:トンネルは地表から掘られたのでしょう。その跡は、現在はほとんどがJR東日本の所有地で、今は使われていない古いアパート群が並んでいます。一番南の二つだけは、別の不動産屋さんのアパートとなっています。

写真21-18の航空写真は、国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムのカラー空中写真閲覧から引用しました。こちらです。→国土交通省ウェブマッピングシステム http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/)


 さて、本題に戻ってトンネルの位置です。
 正式な位置や長さは、通常はトンネルの入り口に掲示してあります。次の写真です。


 写真21-20 (撮影日 12/07/06)

 写真21-21 (撮影日 12/07/06)

 この写真の撮影日は、2012年7月6日です。5日から1泊で東京出張があり、例によって、2日目の日は早朝に起きて、東京探検をおこないました。この写真の撮影は、午前5時45分頃です。(^_^) 


 この表示によれば、中里トンネルは長さ222m距離20km052mです。これは、起点駅からの距離です。これはどこからの距離でしょうか?
 すでに、→「東京駅と踏切5題で学習したように、山手線の起点は品川駅です。並行して走る山手貨物線の場合はどうでしょうか?同じ距離のキロポストでしょうか?


 写真21-22・23 (撮影日 08/05/29)

 写真21-24・25 (撮影日 12/07/05)

 こんなことは簡単に、「山手線と山手貨物線のキロポストは同じです」といってしまえばいいのですが、確かめたくて、時間を費やしました。山手貨物線を走る湘南新宿ラインの電車に乗って、キロポストを確認しました。
 左の山手線の駒込駅の東端にあるのが、
19km300mのキロポスト、位置的にはその少し東の旧第1中跡踏切の先にある、山手貨物線のキロポストが、19km500mです。 


 ということで、このトンネルは、品川駅から、距離20km052mのトンネルであることが判明しました。JR的には、当たり前の話で、それでいいのですが、このページとしては、それだけでは終わりません。
 このページのテーマは、「東京駅に一番近いトンネル」だからです。あくまで東京駅を起点にしなければなりません。
 するとどうなるか。
 一番単純に考えれば、東京駅から山手線に乗り、新宿駅で湘南新宿ラインに乗り換えて、中里トンネル至ったとすれば、その距離は、
東京ー品川間6.8km+品川-中里トンネル間20.052kmです。有効桁数が違いますから本来は足し算などできないのですが、ここはあえていい加減にやってしまって、山手線経由東京駅から中里トンネルまでは、26.852mとしましょう。つまり、東京駅から電車に乗って、
 これがこのトンネルの位置の定義です。
 
 実はほかにも定義付けの方法があります。
 東京駅から中央線に乗って新宿駅で湘南新宿ラインに乗り換えるという場合は
、東京-新宿間10.3km+新宿ー中里トンネル間9km452mですから、中央線経由東京駅から中里トンネルまでは、19km752mとなります。
 さらに、もう一つの計算方法があります。
 東京駅から京浜東北線で赤羽駅まで行き、そこで湘南新宿ラインに乗り換えて、北側から中里トンネルに向かうという方法です。この場合は、
東京-赤羽駅13.2km+赤羽-中里トンネル間5.2kmとなります。つまり、京浜東北線経由東京駅から中里トンネルまでは、18km400mとなります。
 
 細かいところにこだわりましたが、まあ、最も短い距離を取るとして、このトンネルが、東京駅から電車に乗って通過できる3番目に近いトンネルです。
 もっとも、
直線距離では、東京駅から約6.8kmです。 


 このトンネルはいつ掘られるたのか

 最後にこのトンネルが掘られた時期を確認します。
 山手線のこの区間は、まだ国有鉄道になる前の1903年、私鉄日本鉄道の池袋ー田端間として開通しました。しかし、その段階では、現在の山手線の東側部分のうち、新橋-秋葉原間は未開通であり、東京駅も存在していませんでした。
 そのため、開通した品川-田端線は、東京市街地の拡大につれて、まもなく旅客列車と貨物列車の両方が通る、大変混雑した路線となっていきます。
 そこで、山手線の複々線化、つまり、山手貨物線の敷設が開始されます。工事開始は、1912(大正元)年で完成は
1925年3月28日です。巣鴨-田端操車場間は、最後の開通区間でしたのでした。このことから、中里トンネルの開通年月日は正確にはわかりませんが、路線としては、3月28日に開通したということになります。
  ※参考文献3 守田久盛・大八木正夫・福田光雄著『鉄道路線変せん史探訪パートⅢ』P4-19

地図01 東京の地形-台地と低地-||地図02 東京の主なJR路線とトンネル||先頭へ戻る|| 参考文献一覧へ | 

 以上、東京の台地と谷地の学習と山手線のトンネルの話でした。
 
 これで、「
東京駅から一番近いンネル」その1 3番目に近いトンネル中里トンネルを終わります。
 社会的な貢献度はあまり高くないシリーズですが、まあ、時間を費やして取材しましたので、次回以降、最後までおつきあい下さい。乞うご期待。


 【東京駅から一番近いトンネルその1 中里トンネル 参考文献一覧】
  このページ1の記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。
  皆川典久著『東京「スリバチ」地形散歩 凹凸を楽しむ』(洋泉社 2012年) 

中村建治著『山手線誕生』(イカロス出版 2005年)

守田久盛・大八木正夫・福田光雄著『鉄道路線変せん史探訪パートⅢ』(吉井書店 1982年)


| メニューへ | | 前へ | | 次へ |