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各地の鉄道あれこれ22
 全国各地の鉄道の話題あれこれについて紹介します。

 東京駅から一番近いトンネルその212/07/23
 JR東京駅から在来線に乗って行ける2番目に近いトンネル田端トンネル
 田端トンネルとは
 いつ なぜこのトンネルは掘られたか
 田端トンネルを通る 短いトンネルです その位置は
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 JR東京駅から在来線に乗って行ける2番目に近いトンネル 田端トンネル

 JR東京駅から一番近いトンネルのシリーズその2です。東京駅から在来線に乗って通過できる、2番目に近いトンネルは、京浜東北線の田端トンネルです。
 「えっ、こんがらがりそう」
 とおっしゃる方は、このシリーズその1をよく読んでいただいた方です。シリーズでは、
3番目に近いトンネルとして、山手貨物線の中里トンネルを紹介しました。
 この時、このトンネルの最寄りの駅として、
山手線の駒込駅・田端駅をさんざん登場させました。山手貨物線そのものは、もともと貨物線ですから、現在運転している湘南新宿ラインの電車も、池袋の次は赤羽という、たいへん駅の少ない路線となっていますが、中里トンネルは、駅の位置関係からいえば、山手線駒込駅東端から直線距離で約720m、京浜東北線・山手線田端駅北端から直線距離で500m程のところにあります。
 そして、今回の2番目に近いトンネルが、また
「田端」トンネルです。きっと、またなんらか田端駅と関係があるに決まっています。
 これはややこしい。

 まずは、田端トンネルの位置です。

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 まず上の地図04をご覧ください。
 
田端トンネルは、中里トンネルのほんの少し東南にあることがおわかりいただけると思います。
 
荒川の低湿地と上野台地の境に立地しています。こんなところでどうしてトンネルが必要なのでしょうか?
 右の地図05をご覧ください。
 この地図では、JR線路は上下複線は2本の線で示してあります。
 田端駅では、線路は台地側から
京浜東北線大宮方面行山手線池袋方面行き山手線東京方面行き京浜東北線東京方面行きと4本の線路が並んでいます。
 このうち、一番西側の
京浜東北線大宮方面行き線路にのみトンネルがあり、山手線は、そのトンネルの北側で、大きく西側に曲がっています。  

 何気なく電車に乗っていると、ただ単に山手線をくぐっているだけと錯覚しますが、そうではなく、れっきとしたトンネルです。


上の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、上野-田端駅周辺の地図です。
日陰になっていて見づらいですが、一番西(写真上で下側)に、京浜東北線大宮方面線路が走っていて、緑の木のところからトンネルに入ります。

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 田端トンネルとは

 田端トンネルの紹介ページなのですから、田端トンネルの写真だけを掲載すればいいのですが、せっかくですから、もったいぶって、東京駅からスタートします。ただし、同じ電車に乗ってずっと一貫して撮影した写真ではなく、いろいろな電車や場所からの写真のつなぎ合わせです。


 写真22-01 東京駅(撮影日 10/01/27)

 写真22-02 上野駅(撮影日 11/08/08)

 左:東京駅一番線の中央線電車先頭からの撮影です。
 右:上野駅は、東京駅から出発した山手線内回りの電車から初めて接する台地、
上野台の隣接しています。駅正面(東側)は平地ですが、上野公園口改札(西側)は台地上です。写真右手は駅正面、山手線・京浜東北線の高架の向こうは、上野のお山(上野台)です。

|地図04 上野・池袋周辺の地形-低地と台地-||地図05 田端トンネルへ

 写真22-03 山手線(撮影日 08/08/09)

 写真22-04 常磐線(撮影日 08/08/10)

 左:上野駅の北側では、JR線の線路数が急に増えます。この写真は、日暮里方面から逆に上野・東京へ向かう京浜東北線の先頭車両からの撮影です。写真右から、京浜東北線大宮方面線、山手線内回り新宿方面線、山手線外回り東京方面線、京浜東北線東京方面線、東北本線複々線と合計8本の線路が並んでいます。JR線路群の上を斜めに横切るのは、京成電鉄の本線です。上野台地に渡って、地下に入って京成上野駅につながります。
 右:線路の数でいえば、もっとすごいのが、
日暮里駅です。この写真は日暮里駅常磐線下り線のホーム北端からの撮影しています。
 常磐線複線、東北本線複々線、東北・上越新幹線複線、山手線複線、京浜東北線複線と合計12本の線路です。ついでにいうと、この写真の右には、京成電鉄本線が並んでいますので、7複線(14本)の線路が並んでいて、
日本最大の線路併走区間です。


 あまり寄り道せずに、田端駅に向かいます。

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 写真22-05 田端駅(撮影日 12/02/25)

 写真22-06 田端トンネル南口(撮影日 12/02/25)

 左:田端駅の立地も、上野駅と同様、上野台地の端に接しています。手前の京浜東北線電車が通っている部分は、標高5.7m~6.0mです。一方、背景の台地上端の道路は、一気に高くなって、標高21m~22mになります。
 右:その田端駅の北側に、田端トンネルがあります。右の写真の黄色い枯れ草の生えている丘陵面にトンネルがあります。
 この2枚の写真は、いずれも東北・上越新幹線の車内からの撮影です。 


 写真22-07トンネル北側1(撮影日 09/06/25)

 写真22-08 トンネル北側2(撮影日 12/02/25)

 左:写真中央で台地面が屈曲している部分がトンネルの北口です。写真では見えません。トンネルの北口の直ぐ上を、山手線がガードで乗り越え、切り割りを通って、駒込方面へ向かいます。
 右:左の写真のやや北側からの撮影です。下の方に写っている線路は、トンネルをくぐって出てきたばかりの京浜東北線大宮方面線です。
 この2枚の写真も、いずれも東北・上越新幹線の車内からの撮影です。 

|地図04 上野・池袋周辺の地形-低地と台地-||地図05 田端トンネルへ

 写真22-09 田端トンネルの南側のアップです。(撮影日 12/02/25)

 東北旅行へ向かう途中の東北新幹線からの撮影です。

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 いつ 何故こんなところにトンネルは掘られたのか

 赤羽駅上野駅間は、上で紹介したようにたくさんの線路が走っています。
 一番最初は、1883(明治16)年7月28日に、私鉄の
日本鉄道会社によって単線の線路が敷かれ、前橋線上野-熊谷間が開通したことがはじまりです。現在の東北本線です。この路線は、1892年には複線化されています。
 1903年には山手線が開通し、池袋と田端が複線でつながります。
 さらに、1909年には、上野-田端間に
山手線分の複線線路も増設されました。
 東京駅ができると、東京-横浜間に電車運転がおこなわれ
京浜線と呼ばれました。この電車運転が東京駅以北へも延伸され、1925年には田端-東京間にも電車運転がおこなわれます。
 さらに、
田端-赤羽間に専用電車複線を敷設して、電車運転を赤羽駅まで延伸することになりました。この時、ホームと配線の都合上、一番丘陵側に新しい線路を敷設し、トンネルで丘陵を通過し、山手線の下をくぐり、さらにすでに完成していた中里トンネルを抜けた山手貨物線の上をガードでまたいで上中里駅方面へ通じるという起伏に富んだ路線が造られたのです。
  ※参考文献2 守田久盛・大八木正夫・福田光雄著『鉄道路線変せん史探訪パートⅢ』P16-19  

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 田端トンネルを通る 短いトンネルです その位置は

 田端駅を出発する大宮方面行き電車に乗って、田端トンネルを通過します。

|地図04 上野・池袋周辺の地形-低地と台地-||地図05 田端トンネルへ

 写真22-10 田端トンネル南1(撮影日 12/05/29)

 写真22-11 田端トンネル南2(撮影日 12/05/29)

 左:田端駅ホーム北端から見た田端トンネル南口。今まさに京浜東北線電車が向かうところです。
 右:山手線電車池袋・新宿方面行きは、スロープを上って、左に曲がり、切り通しを抜けて駒込駅方面へ向かいます。


 写真22-12 田端トンネル南3(撮影日 12/05/29)

 写真22-13 田端トンネル南4(撮影日 12/05/29)

 左:京浜東北線大宮行き電車の先頭からの撮影です。あと100mで、田端トンネル入り口です。
 右:田端トンネル入り口です。出口が見えています。短いトンネルです。トンネルの向こうに見えるコンクリート構造物は、山手線が上をまたいでいく橋脚です。

|地図04 上野・池袋周辺の地形-低地と台地-||地図05 田端トンネルへ

 写真22-14 田端トンネル北(撮影日 12/05/29)

 短いトンネルを抜けた京浜東北線大宮方面行き電車は、直ぐに東京方面行き線路と並び、坂をかけ上がります。
 今度は、山手貨物線線路をまたがなければなりません。
 とても起伏に富んだ路線です。

 


 写真22-15 中里トンネル北側(撮影日 12/02/25)

 写真22-16 中里トンネル北側(撮影日 12/07/05)

 左:片側だけトンネルで丘陵を通過した京浜東北線は、上下線が並んで高度を上げ、中里トンネル北では、同トンネルを抜けた山手貨物線を鉄橋で渡ります。(東北新幹線車内からの撮影です)
 右:中里トンネル北口の手前700m程の地点の写真です。山手貨物線を走る湘南新宿ラインの電車の先頭からの撮影です。京浜東北線が丘陵側の高い位置を走っています。真上は東北・上越新幹線です。


 さて、この田端トンネルですが、上の写真22-13を見れば、すごく短いトンネルのようです。どれぐらいの長さで、正確な位置はどう表現したらいいでしょうか。

|地図04 上野・池袋周辺の地形-低地と台地-||地図05 田端トンネルへ

 田端トンネルにもちゃんと標識が付いていました。
 「
l=64M 7K476M
 と書かれてます。
 これは、トンエルの
長さ64m距離7k476mということです。例によってどこが始点の距離かが問題ですが、時刻表で確認すると、東京駅-田端駅間の営業キロは、7.1kmとなっています。このトンネルは駅の少し北側にありますから、7k476mは東京駅からのものと考えて間違いなさそうです。
 位置的に見て中里トンネルよりは東京駅に近いことは自明ですから、このトンネルが「東京駅から在来線に乗って行ける2番目に近いトンネル」ということが言えます。
 

 写真22-17 田端トンネル(撮影日 12/05/29)

 ちなみに、東京駅からこのトンネルまでの直線距離は、約6.3kmです。


 これで、「東京駅から在来線の乗って行ける一番近いトンネルその2」、田端トンネルを終わります。
 次は、一番近いトンネルです。ご期待下さい。


 【東京駅から一番近いトンネルその2 田端トンネル 参考文献一覧】
  このページ2の記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。
  皆川典久著『東京「スリバチ」地形散歩 凹凸を楽しむ』(洋泉社 2012年) 

守田久盛・大八木正夫・福田光雄著『鉄道路線変せん史探訪パートⅢ』(吉井書店 1982年)


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