西濃鉄道石灰石専用列車と
大垣赤坂金生山08
 通称「矢橋ホキ」って知っていますか?貨物列車の1編成から産業と故郷を考えます。
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 西濃鉄道2 乙女坂駅 石灰石積み込み開始  

 このページでは、乙女坂駅に着いた矢橋ホキがどのようにして石灰岩を積んでまた出発していくのかについて説明します。
 また、このページの最後の部分で、
年間の石灰石輸送量を学習します。
 まずは、短いながら乙女坂駅までの道中の復習です。


 写真08−01 本町踏切  (撮影日 08/08/02)

 写真08−02 元町踏切  (撮影日 08/07/26)

 左:DD402号機が中山道を横切る本町踏切を通過して乙女坂へ向かいます。
 右:DE10501号機が元町踏切を通過します。石引神社前からの撮影です。
   運転手の他に作業するための人員も乗っておられます。何の作業?

 写真08−03 元町踏切  (撮影日 08/07/19)

 写真08−04 石引神社境内 (撮影日 08/07/26)

 左:元町踏切を通過する矢橋ホキ9711。旧中山道側からの撮影です。
 右:石引神社境内を通過する矢橋ホキ9768。


 写真08−05   石引神社境内のDD403         (赤坂石引神社@空 撮影日 08/07/26)

 石引神社境内をゆっくりと通過するDD403号機。鳥居の朱色と車体の黒コントラストがきれいです。夏の一番列車で、朝焼けが社殿を染めています。P9で説明しますが、正確にはこの神社の部分から乙女坂駅の区域となります。 

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 乙女坂駅と石灰石積み込みの概要
 写真08−06 産業道路踏切(撮影日 08/07/12)

 
 地図11は
西濃鉄道乙女坂駅の説明地図です。

 西濃鉄道市橋線は全線単線ですが、写真08−06の産業道路踏切(昔使われた踏切番小屋があってレトロな踏切です)を越えると、地図の
@(説明者が便宜的につけたポイントの番号)からは側線が分岐して、それ以北はずっと複線になります。この部分が乙女坂駅の本体です。ただし駅といっても、乗客が乗り降りするわけではありませんから、プラットフォームはありません。
 
 美濃赤坂から入線してきた矢橋ホキを牽引するDDもしくはDE機関車は、
@ポイントで側線に入って、そのままずっと北の猿橋駅構内まで進みます。
 そこで機関車だけ分離し、機関車は
Cポイントで本線に入り、そこから逆進して矢橋ホキの横をとおり、再び@ポイントまで戻ります。
 
@ポイントからもう一度側線に入った機関車は、矢橋ホキの反対側に連結して、これで、石灰石積載の準備完了です。

 矢橋ホキはホッパー車ですから、石灰石は貨車の上から工場に備え付けの積載用のホッパ−(じょうご)から落とし込んで
積載します。
 矢橋工業乙女坂工場の場合、積載ホッパーは2基あります。つまり、貨車2両へ同時に積載することができるわけです。
 矢橋ホキは、毎日3本の列車のうち、1番列車と3番列車は、24両の編成です。したがって、この場合、12回に分けて積載することになります。
 すなわち、最初の停車位置において1両目と2両目の石灰石の積み込みが始まります。その2両分が一杯となると、機関車が24両全体を牽引して2両分を動かします。そして次の空の2両(3両目と4両目)が積み込みホッパーの下に来ると、次の積み込みが始まります。
 これを12回くり返すと全車両への住み込みが終了します。2両1回分の積み込み
時間はおよそ10分ほどです。ということは、24両12回分では、約2時間かかることになります。時刻表で矢橋ホキの乙女坂駐車時間がおおむね2時間と少しになっているのは、この積み込みにかかる時間によるものです。
 
 機関車が動く際にはサイレンが鳴らされます。矢橋ホキが乙女坂駅に止まっている間は、約10分間隔でサイレンが鳴り響くことになります。
 
 

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 積み込み準備 機関車の付け替えです

 それではまず、積み込み準備のための機関車の付け替えです。
 下の写真に写っている切り替えポイントは、上の地図11の
@ABCの切り替えポイントのうちどれでしょうか? 


 写真08−07  DDと矢橋ホキ 猿岩駅                 (猿岩駅@空撮影日 08/08/02)

 これは、猿岩駅構内に隣接する道路から、猿岩駅南端(乙女坂駅北端)を撮影したものです。(北側から南を向いて撮影)
 機関車の左側、後ろの茶色の矢橋ホキとの間には、うす水色の作業服を着た西濃鉄道の係員の方がいて、停止したばかりの機関車と矢橋ホキとの連結器をはずしています。この写真以下写真08−17までは、地図11の
エリアからの撮影です。


 乙女坂駅に着いたDD+矢橋ホキは、側線に入ってそのまま乙女坂機構内を走り抜けて、隣の猿岩駅構内に入ります。上の写真の左手の色の看板からこちら側が猿岩駅構内です。看板の場所は、地図11のの位置です。
 そこで、機関車を切り離します。 


 写真08−08 猿岩駅  (撮影日 08/08/02)

 写真08−09 猿岩駅   (撮影日 08/07/19)

 DD機関車は連結器を切り離した係員さんを乗せて、安全を確認しつつポイントを渡ります。


 写真08−10 猿岩駅  (撮影日 08/07/19)

 写真08−11 猿岩駅    (撮影日 08/07/19)

 本線に渡ったら、係員さんがポイントを切り替えます。


 写真08−12 猿岩駅   (撮影日 08/08/02)

 写真08−13 猿岩駅   (撮影日 08/08/02)

 今度は本線を南に向かって進行です。


 写真08−14   機関車移動                  (猿岩駅@空 撮影日 08/07/19)

 写真08−15 猿岩駅   (撮影日 08/07/19)

 写真08−16  猿岩駅  (撮影日 08/07/19)

 側線から本線へ入ったDD機関車は、そのまま矢橋ホキの横を通り抜けて、乙女坂駅南端へ向かいます。
 右の写真は、牽引されてきた最初の位置にとどまっている矢橋ホキです。
 機関車はすでに貨車編成の反対の端に向かっています。夏の一番列車ですから太陽が上がりきって明るいですが、時間は午前6時20分頃です。冬なら真っ暗です。
 矢橋ホキの右側の大きな建物は、矢橋石灰工業グループのひとつ、金生山石灰工業の生石灰製造炉です。 

 左の道路は、美濃赤坂駅前から赤坂の町を南北に縦断する市道です。元町踏切もこの道路上にあります。
 猿橋駅−旧市橋駅間の西濃鉄道の線路は、この道路に沿っています。北の旧市橋駅までは比較的広い道幅ですが、そこから先は普通の生活道路になります。

 

 写真08−17 猿岩駅から待機中の矢橋ホキの後部を撮影 (撮影日 08/07/12)
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 乙女坂南

 猿橋駅の南端から本線を戻っていったDD機関車は次はどうするのでしょうか? 


 写真08−18   乙女坂南                   (乙女坂@積 撮影日 08/07/19)

 猿橋から本線を戻ってきたDDは機関車は、乙女坂駅南部のポイント@地図11参照)の南まで来ると、一旦停止してまた進行方向を変えます。写真08−18は進行方向を変えた直後の写真です。これは地図のエリアの産業道路踏切からの撮影です。


 写真08−20 乙女坂駅 (撮影日 08/07/19)

 写真08−21 乙女坂駅 (撮影日 08/07/19)

 左:DD機関車がポイントを通過して本線から測線へ入ります。
 右:DD機関車が側線に止まっている矢橋ホキに向かいます。


 写真08−22 乙女坂駅  (撮影日 08/07/19)

 写真06−23 乙女坂駅  (撮影日 08/07/19)

 左:DD機関車が矢橋ホキに接近します。  右:機関車と矢橋ホキの再接続が完了しました。 


 さて、機関車付け替えの準備ができたました。石灰石はどうやって積みのでしょうか?
 実は、上の写真のどこかにそのヒントが写っています。どれでしょうか? 

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 石灰石積載

 石灰石積み込みの説明です。上の写真06−23とは反対に、同じ時間帯の矢橋ホキを一番後ろの車両側から観察します。


 写真08−24 猿岩駅  (撮影日 08/07/12)

 写真06−25 乙女坂駅 (撮影日 08/07/12)

 矢橋ホキの最後尾は、最初は猿岩駅区域内にあります。乙女坂駅中央部の積み込み場所をズームで眺めても、矢橋ホキ自身が邪魔になって積み込み場所は見えません。


 写真08−26   乙女坂駅積み込み              (乙女坂@空 撮影日 08/07/12)

 積み込んでいるところをアップで写しました。中央の電柱の向こうに積み込みホッパーが見えます。はるか前方には、矢橋ホキを牽引するDD機関車が見えます。


 写真08−27 乙女坂駅  (撮影日 08/07/12)

 写真06−28 乙女坂駅  (撮影日 08/07/12)

 積み込み開始から1時間半ほどが過ぎました。積み込みが進んで、最後尾貨車が工場群の中に入っていきます。この辺でズームすれば、積み込み部分が分かりそうです。


 写真08−29  乙女坂駅積み込み                  (乙女坂A積 撮影日 09/01/17)

 これが積見込んでいる時の様子です。上の写真までとは違って冬の乙女坂駅です。


 写真08−30      積み込み                  (乙女坂@積 撮影日 08/07/12)
 線路脇から、貨車に向かって水がかけられています。石灰石から生じる熱を下げるためのものです。
 写真08−31  乙女坂駅積み込みその2              (乙女坂A積 撮影日 09/01/17)
 最終貨車の上部まで石灰石が積み込まれました。これで積み込みが完了です。  
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 1年間の輸送量

 矢橋ホキは、このように石灰石を積載して、乙女坂駅から美濃赤坂駅に向かい、そこでJRの機関車EF65に牽引され東海道線笠寺駅に向かい、さらに、名古屋臨海鉄道のND機関車に牽引されて、新日鐵名古屋製鉄所まで向かいます。
 これを日曜日を除いて、毎日3往復ずつくり返しています。
 では、
いったい1年間でどれぐらいの石灰石を運んでいるのでしょうか?


 写真08−32    石灰石を満載したホキ9709。           (乙女坂@積 撮影日 08/03/15)

 1両の積載量は35トンです。


 ※例によって、黒板をクリックしてください。答が現れます。

 近い数字が予想できましたでしょうか?
 
 実は、上の黒板のヒントには、今まで明確に説明してはいない重大な「要素」が秘密にされています。
 1日3編成が石灰石を運んでいることは言いましたが、1編成が貨車何両かは、これまでわざと触れてきませんでした。
 次の写真をご覧ください。編成の違いは分かりますでしょうか。 


 写真08−33   稲沢駅を出発する矢橋ホキ1番列車        (稲沢@空 撮影日 08/07/26)

 写真08−34   岐阜駅を通過する矢橋ホキ2番列車        (岐阜A空 撮影日 08/12/06)

 写真08−33の朝の1番列車と3番列車は同じ編成が2回行ったり来たりしますので、同じ車両数です。つまり、24両編成×48両分です。
 写真08−34の2番列車は、1番列車よりは短く、
16両編成です。
 
 つまり、1日3往復の総車両数は、
48両+16両=64両です。積載石灰石は、64両×35トン=2240トンです。
 1年の運航日が300日とすると、
2240トン×300日=67万2000トンという計算になります。
 上の黒板の答え、2007年の実績、年間
62万4171トンは、計算値よりも若干少ない量ということになります。土曜日なんかには時々運休する場合もあるとこのこですから、これぐらいなのでしょう。

 それにしても、鉄道輸送ならではの、大量輸送です。
 普通の
10トン積みダンプトラックなら、毎日200台以上が往復する勘定になります。列車輸送の威力はとても大きなものがあります。

この年間輸送実績の数値は、矢橋石灰工業総務部にお電話して教えていただきました。(08/08/19)
総務部のSさん、お忙しいところありがとうございました。(矢橋石灰工業 0584−71−1105) 

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 1番列車と2番列車の写真を比較してみると・・・・

 さて、次回へ向けて宿題です。
 上に説明したように、
矢橋ホキの1番及び3番と、2番とでは、1編成の貨車数が違います。
 実は、それ以外にも違いがあります。
 上のふたつの写真を、まるで間違い探しをするように比べると、その違いが分かります。といっても、比べる写真は、写真08−33写真08−34ではありません。
 え、「それならどの写真ですか」って?ちょっと意地悪ですが、比較できそうな写真を選んでみてください。

 正解は次のページで説明します。
 次ページは、その説明のあと、準備完了した矢橋ホキが、乙女坂駅を出発します。 


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