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地図01全行程図||地図02黒部峡谷と周辺図||地図03立山黒部アルペンルート説明図
説明図01黒部水系ダム発電所等模式図||地図04宇奈月温泉地図||地図05黒部峡谷詳細図
地図06欅平駅周辺地図||地図07欅平駅イメージ図

 黒部峡谷鉄道宇奈月駅 | 全行程目次・地図へ || 先頭へ |

 最初に、あらためて黒部峡谷鉄道の紹介です。
 この鉄道が敷設された目的は、言うまでもなく黒部川の電源開発のためです。
 大正時代の第一次世界大戦中に、高峰譲吉博士によって着想された黒部川電源開発は、
日本電力株式会社に引き継がれ、大正末年にはダムや発電所の建設が進みます。
 これに合わせて、
発電所建設の資材運搬用鉄道として、この軌道が整備されました。1926年のことです。厳しい地形を考慮して、軌道の幅は、日本で通常使われている1067mmよりかなり狭い、762mmとされました。
 以下次のように発展していきました。

1926年

(大正15)

宇奈月〜猫又間 運転開始 11.8km

1930年

(昭和5)

猫又〜木屋平間 運転開始

1937年

(昭和12)

小屋平〜欅平間 運転開始(宇奈月からの総延長 20.1km

1941年

(昭和16)

電力一貫管理の国策から、日本発送電株式会社発足。軌道の経営も受け継がれる。
1951年 (昭和26) 電力会社は地域別9電力秋社に分割され、軌道は関西電力に受け継がれる。 
 1953年 (昭和28) 関西電力、地方鉄道営業法に基づき、専用軌道で旅客営業を開始黒部鉄道と称す。 

1971宇

(昭和46)

関西電力は黒部鉄道の営業内容を資材等の運搬から旅客輸送主体に切り替えるため、専用子会社として黒部峡谷鉄道を設立。 

 
 運行路線距離・経営規模は大手私鉄とは比べものにはなりませんが、
車両保有数では、この会社は中小私鉄の中で第1位となっています。
 平成20年4月現在で、車両総数322両、機関車277両、客車138両、貨車155両、特殊車2両です。


 写真03−01  宇奈月駅前道路(撮影日 10/05/02)

 写真03−02  宇奈月駅正面(撮影日 10/05/02)

 早朝7時過ぎの宇奈月駅です。駅前のこの駐車場は、やがて自家用車や観光バスで満車となります。私たちは、ペンションの亭主の指示で別の所にうまく止めておくことができました。


 写真03−03 駅前のモニュメント(撮影日 10/05/02)

 写真03−04  始業前点検 (撮影日 10/05/02)

 駅舎の東側には、鉄橋を渡るトロッコ列車を模した模型があります。ここで団体客が記念撮影をするためのモニュメントです。


 写真03−05  通常の時刻表(撮影日 10/05/01)

 写真03−06 工事関係者専用 (撮影日 10/05/01)

 左は、通常の旅客列車の時刻表です。土日は、1日19往復です。
 右は、
関西電力の工事関係者専用列車時刻表です。1日7往復です。この列車には、もちろん一般のお客は乗れません。 


 写真03−07 往復のチケットです (撮影日 10/05/02)

 チケットはインターネットで予約しました。予約するとメールで確認事項が届き、その中に振込先銀行が明記してあって、そこに金額を振り込むと予約できるシステムです。
 この前売り乗車券そのものは、乗車直前に窓口へメールを印刷した用紙を持っていき、入金を確認して発行してもらったものです。当日朝は混雑するとまずいと思い、前日に窓口で発行してもらいました。
 ゴールデン・ウィーク中などは、当日切符を買うことはほとんど不可能です。
  ※黒部峡谷鉄道のオフィシャルサイトです。http://www.kurotetu.co.jp/index.html

 料金は、乗る車両によって異なります。
 写真03−06の一番右に、「車両ご案内」という欄があります。
 そこに、
特別車リラックス車パノラマ車普通車とあります。これがその違いです。
 普通車は開放型の客車、いわゆる本当のトロッコ車両です。他のは密閉型の客車です。
 私たちの切符を見てください。
 行きは
リラックス車、帰りは普通車を選んでいます。これは作戦成功でした。行きは朝7時32分の一番電車であるため、ゴールデンウィークの季節ではたぶん寒いだろうと考え密閉型のリラックス車にしました。この車両は寒さ対策という点からは、ねらい通りでした。ただし、ガラス窓があるため、写真撮影という点では全く不自由な車両でした。
 帰りは、普通の
開放型のトロッコ車両でしたので、トンネルの中はちょっと寒かったですが、写真撮影はかなり自由にできました。おおむねねらい通りでした。


 写真03−08  リラックス車 (撮影日 10/05/02)

 写真03−09 普通車 (撮影日 10/05/02)

 密閉型リラックス車には、当たり前ですがちゃんと乗降扉があり、内部は中央に通路があって、背もたれのある座席です。もちろん窓もあります。気温が低くても風は直接は当たりません。
 
普通車は、開放型トロッコですから、出入り口の扉などはありません。座席も、ベンチ風です。寒い時は、本当に寒いと思います。


 やまびこ橋・新やまびこ橋 | 全行程目次・地図へ || 先頭へ |

 宇奈月駅のすぐそばには、黒部峡谷鉄道の絶好の撮影ポイントの一つ、新旧のやまびこ橋やまびこ展望台があります。
 着いた5月1日の夕方と、翌日、乗車の日の早朝と、2度にわたって出かけました。



 上の地図は、いつも利用させていただいている、国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムのカラー空中写真閲覧の写真から作成しました。国土情報ウェブマッピングシステム・カラー空中写真閲覧のページはこちらです。 http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/index.html  


 写真03−10  黒部川にかかる旧やまびこ橋からみた宇奈月駅 (撮影日 10/05/02)

 宇奈月駅のすぐ上流には、新旧二つのやまびこ橋が並んで架かっています。現在は、上流の新やまびこ橋の方を軌道が通っていますが、以前は、この写真を撮影した旧やまびこ橋の上を軌道が通っていました。旧やまびこ橋は遊歩道となっています。
 山の上にはまだ残雪があります。


 写真03−11  新旧やまびこ橋 (撮影日 10/05/02)

 トロッコ列車の中から撮影した新旧のやまびこ橋です。私の乗っている列車はこのあとトンネルに入って大きく左カーブし、写真手前の新やまびこ橋を渡って、宇奈月駅に入ります。
 背景の立派なホテルは宇奈月ニューオータニホテルです。


 写真03−12  新やまびこ橋を渡るトロッコ列車 (撮影日 10/05/01)

 旧やまびこ橋上の遊歩道からの、定番のアングルの撮影です。
 夕方17時16分宇奈月到着の列車なので、すっかり夕陽が山陰に入ってしまっています。2両の機関車の次に白い色のリラックス車をつないでいます。


 写真03−13  新やまびこ橋上のトロッコ列車2 (撮影日 10/05/01)

 トンネルを出て、新やまびこ橋を渡ったトロッコ列車は、また小さなトンネルをくぐって終点宇奈月駅に到着します。その小さなトンネルのある小丘の上に、やまびこ展望台があります。ここも、定番の撮影スポットです。
 2両の電気機関車の後は、
特別車両です。17時58分宇奈月着の下り列車です。


 写真03−14  新やまびこ橋に向かう下り電車 (撮影日 10/05/01)

 宇奈月ダム横の斜面を新やまびこ橋に向かう、写真03−13と同じ下り電車です。やまびこ展望台からの撮影です。


 写真03−15  新やまびこ橋を渡る上り工事関係者車両 (撮影日 10/05/02)

 宇奈月を午前7時11分に発車する、工事関係者列車の一番列車です。旅客よりも早くこの列車が出発します。


 宇奈月ダムから黒薙・出平・猫又駅 | 全行程目次・地図へ || 先頭へ |

 新やまびこ橋を渡ってトンネルを出ると、いよいよ列車は黒部峡谷沿いの軌道を欅平駅へと上ります。前ページで説明したように、この黒部渓谷の電源開発の概要を予習して乗車すると、景観+発電所やダムの歴史が分かって、より楽しめます。
  ※前ページの黒部水系の電源開発のまとめはこちら→説明図01 黒部川水系ダム・発電所等模式図


 写真03−16  宇奈月ダム(撮影日 10/05/01)

 写真03−17 宇奈月ダム湖面 (撮影日 10/05/02)

 宇奈月ダムは、黒部川本流に作られた関西電力の発電用の4つのダム(上流から、黒部・仙人谷・小屋平・出し平ダム)とは異なり、国土交通省が洪水調節用も兼ねた多目的ダムとして建設したものです。


 写真03−18 サル専用吊り橋 (撮影日 10/05/02)
 宇奈月ダムのため谷が渡れなくなったサルのための専用の吊り橋だそうです。手すりはありません。

 写真03−19  引き湯管  (撮影日 10/05/02)
 黒薙川沿いの泉源から温泉を宇奈月に送る管です。

 写真03−20  仏石 (撮影日 10/05/02)
 仏像に似た石に信仰が集まり赤い衣が着せられました。


写真03−21 森石駅に着く欅平行(撮影日 10/05/02)

 写真03−22 森石駅を出発 (撮影日 10/05/02)

 僅か20kmあまりの短い路線ですが、運行本数が多いことと、速度が遅いので、ほとんど毎駅ごとに上下電車がすれ違います。


 写真03−23   黒薙駅に停車する宇奈月行き列車              (撮影日 10/05/02)

 急斜面にへばりつくように作られた黒薙駅。この駅の前後にある森石橋と黒薙橋は、トロッコ電車撮影の絶好のポイントです。しかし、撮影するとなると一度下車して次の電車の切符を入手しなければならず、なかなか大変です。普通の都会の電車のように気軽にはできません。
 この写真は自分の乗っている列車の機関車を撮影したものです。カーブがきつい所では、こうした写真を撮影することができます。


 写真03−24   出し平ダム             (撮影日 10/05/02)

 出し平駅の手間にある出し平ダム。関電の4つのダムでは最も新しい1985年完成です。下流の新柳川発電所へ送水します。


 写真03−25   雪崩よけの下を走る宇奈月行きの列車            (撮影日 10/05/02)

 出し平駅の少し上流を宇奈月へ下る帰りのトロッコ列車です。自分の乗っている列車の機関車です。


写真03−26 黒部川第2発電所(撮影日 10/05/02)

写真03−27 黒部川第2発電所 (撮影日 10/05/02)

 猫又駅の対岸にある黒部川第2発電所です。1936(昭和11)年に完成しています。
 1966年には新黒部川第2発電所が完成しましたが、これは地下に作られていて、トロッコ電車からは見えません。赤い橋は新しく架け直されています。


 写真03−28   発電所への引き込み線                (撮影日 10/05/02)

 本線から黒部川第2発電所への引き込み線が橋の上を通っています。右手の架線柱がよく分かります。


 写真03−29   猫又川                     (撮影日 10/05/02)

 何の説明もないと、猫又川というのがどれのことかは分かりません。赤い橋の下は、もちろん黒部川本流です。
 中央上のコンクリートの構造物の下を本線(山側)と引き込み線(川側)がくぐっています。四角い穴がその入り口です。このコンクリートの構造物によって猫又川が鉄道の上をまたいで、写真中央上の部分で本流に注いでいます。
 もともと、猫又川は普通に本流に注ぎ、その上を鉄道が鉄橋で越えていましたが、土石流によって鉄橋が流されてしまい、このようなトンネルが造られました。


 ダムや発電所、雪山や雪渓を見ている間に、列車は、欅平駅に近づきます。
 次ページでは、黒部峡谷鉄道のもう一つの面白いところを紹介します。

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