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地図06欅平駅周辺地図||地図07欅平駅イメージ図


 本来は関西電力の資材運搬用の軌道です | 全行程目次・地図へ || 先頭へ |

 黒部峡谷鉄道の本来の任務は、関西電力の発電所やダムを維持するための資材や人員を運ぶことです。
 下の写真はその時刻表です。


 写真04−01  時刻表 (撮影日 10/05/01)

 写真04−02 新やまびこ橋 (撮影日 10/05/01)

 左:工事関係者専用列車の時刻表です。1日7往復です。
 右:新やまびこ橋を渡ってまもなく宇奈月駅に到着する、欅平16時22分発、宇奈月17時37分到着の工事関係者専用列車客車と車両が違います。


 写真04−03  資材運搬列車 (撮影日 10/05/01)

 これは、上の時刻表にはない、資材運搬用の貨物列車です。桜満開の宇奈月ダム横の斜面を欅平方面へ向かいます。撮影時刻は、17時40分過ぎです。こんな時刻にどこへ行くのでしょうか?



 写真04−04 貨車 (撮影日 10/05/02)
 出し平駅に停車していた資材運搬用の貨物列車です。

 写真04−05 作業車 (撮影日 10/05/02)
 猫又駅の少し上流の引き込み線に停車していたショベルカーのような作業車を積載した車両です。

 写真04−06 作業車 (撮影日 10/05/02)
 これは削岩機のような機械です。


 冬の間はどうするの? | 全行程目次・地図へ || 先頭へ |

 黒部峡谷鉄道の営業期間は、4月半ばから11月末までです。
 12月始めから4月半ばまでは、冬期の休業期間となります。ただ列車の運行をやめるだけではありません。黒部峡谷の冬は過酷です。大量の雪が積もり、雪崩も頻繁に起きます。このため、上流の危険地帯の鉄橋やレールや架線は、全部取り外されてトンネル内の安全な所へ運び込まれます。そして、トンネルにも扉があって、安全のため封鎖されます。

 
冬期の営業休止期間中はどうなっているのでしょうか?
 クイズ2題で考えます。

 まずは、工事関係者の移動です。
 冬とはいえ、ダムや発電所を維持するための要員は必要でしょうし、また、資材もある程度は運ばなければなりません。それはどうやっているのでしょうか。
 ヘリコプター?それとも別の交通手段?黒板の下にヒントになる写真があります。


 ※例によって、黒板をクリックしてください。答が現れます。


 写真04−07  出し平駅のそばにある謎の構造物 (撮影日 10/05/02)


 写真04−08  冬期歩道の窓(撮影日 10/05/02)

 写真04−09  案内看板 (撮影日 10/05/02)

 コンクリートの構造物は、実は中がトンネルになっています。左の小さな黒い四角の穴は、トンネルの明かり取り窓です。


 冬期歩道が軌道のトンネルの中でつながっていることは、電車がトンネルに入った時に山側の壁面(川側とは反対)をよく見ていると、通路の接続部分が視認できて分かります。


 このトンネルのおかげで、積雪を心配する必要はありません。
 しかし、いくら雪の心配はなくても、宇奈月から欅平までは20.1kmあります。これを徒歩で登るのは大変な苦労です。


 もう一つ疑問点があります。
 関西電力の各発電所やダムの要員は、上述のようにトンネルを通って歩いて現場へ向かえばいいのですが、そもそも、黒部峡谷鉄道の従業員、つまり乗務員(運転手や車掌)、駅員(ホーム係・切符売場の女性なども含む)さんは、冬期休業中は何をしているのでしょう。
 トロッコ列車は動かないのですから、することはないはずです。


 ※例によって、黒板をクリックしてください。答が現れます。


 これについては、実は、トロッコ列車の中で「解説」が行われています。
 トロッコ列車は、通常の旅客列車とは違い、乗客は観光客です。通勤客はほとんどいません。そこで、観光地の列車によくあるように、車内放送で、「右手をご覧ください。・・・・」式の案内が、要所要所で流れます。
 黒部峡谷鉄道の場合、この案内の声は、車掌が直接発しているのではなく録音テープです。ただし、何でもない方の声ではありません。その声は、会社のウグイス嬢ではなく、
富山県出身の女優、室井滋さんです。
 これがまた名案内で、実にうまく案内をされています。こういう所に金をかけるセンスは、企業としてなかなかのものです。

 その
室井滋さんの声で、「冬期は、運転手も車掌も、工場の中で機関車などの車両の点検業務に当たっています。」と説明しています。
 また、黒部峡谷鉄道の公式サイトの「私たちの業務」の説明の中にも、次のように書かれています。

 「

 特に車両区の仕事は、4月末から11月末までの営業運転期間においては、朝6時40分の始発パトロールから終電が帰ってきての入庫検査まで、2交代で運行車両総ての点検を実施し、翌朝の運行が可能となるよう実施しております。 12月から営業運転が休止した期間においては、車両区員が主となり運転士、車掌、宇奈月駅務員、欅平駅務員、鐘釣駅務員総勢約70人でトロッコ電車27両、客車138両の各部分解点検・手入れを行い、全社員が機関車、客車を大切に愛着を持って携わっています。
 黒部峡谷鉄道の公式サイト 「私たちの業務」http://www.kurotetu.co.jp/company/gyoumu.html
  ※赤字は引用者が施しました。

 車内で室井滋さんの説明を聞いた時は、えらいもんだなと思いました。ところが、欅平駅でふと疑問を感じました。切符売場にたくさんの女性駅員さんがいて切符を売っていらっしゃいました。
 「この人達も、機関車の分解点検業務をするのだろうか?」

 そこで尋ねればよかったのですが、ゴールデンウィークの超多忙期であったため、そんな質問をのんびり聞くのはためらわれました。
 しかし、不確かな情報ではこのページが書けません。
 家に戻ってきて何かいい手はないか考えました。
 試しに、黒部峡谷鉄道の公式サイトを見ると、「お問い合わせ」というページがありました。「これだ。思い切ってメールを送ろう。ダメもと。」

 次のメールを送りました。
「先日、ゴールデン・ウィークに欅平までトロッコ列車を利用しました。新緑の中が気持ちよく、室井滋さんの説明もわかりやすくとても感動的な旅となりました。ありがとうございました。
 室井さんの説明の中に、乗務員は冬期は機関車等の点検整備をするというくだりがありましたが、欅平駅の符売場の女性担当やホーム係の駅員さんも、同じ業務に従事するのでしょうか。差し支えなければ教えてください。」

 すぐに返事が来ました。
黒部峡谷鉄道、お客さんを大事にする立派な会社です。
冬期の営業休業中は、乗務員の他に各駅のほとんどの女性駅員も車両整備をしております。(各駅の駅長・女性駅員1名は、来年度の運行開始に向けての下準備を行っております)」とのことでした。
 
 そして、決定的なことに、その様子を撮影した次の写真を提供していただきました。本当にありがとうございました。

 次の写真2枚は、黒部峡谷鉄道から提供をいただき、また、本ページへの複写・転載を許可いただいたものです。他への複写・転載は決してなさらないでください。


 写真04−10  冬期の点検の様子 (黒部峡谷鉄道営業センター提供 複写・転載不許可

 大きく拡大して見ると、右下手前のポニーテールの方をはじめ、数名の女性の方が作業に従事しておられます。機関車がばらばらに分解されています。


 写真04−11  冬期の点検の様子アップ (黒部峡谷鉄道営業センター提供 複写・転載不許可

 モーター部分の点検ですね。この5人の方は、男性ばかりのようです。


 鉄道会社は、法律によって定期的に検査をしなければなりません。国土交通省の省令上は、全部分解して行う検査は毎年実施しなければならないものではありません。しかし、同社では、急カーブ・急勾配など過酷な条件の中で安全で確実な運行を実現するために、毎年分解点検を実施しているわけです。
 通常の鉄道会社なら、車両の運行を止めるわけにはいきませんから、機関車等を交代で休ませて点検を行うところですが、黒部峡谷鉄道では、冬期の休業期間中に一斉に実施するということになっているわけです。
 先に引用した黒部峡谷鉄道の公式サイトにある「
全社員が機関車、客車を大切に愛着を持って携わっています」ということが、とても実感を持って理解できる情景です。
 
 また、私の質問や写真転載の許可への応答など、忙しい時期に、面倒をおかけしましたが、とても快く応じていただきました。
 
気持ちのよい会社です。立派な会社です。


 写真04−12  小屋平駅と小屋平ダム (撮影日 10/05/02)

 1936(昭和11)年に建設された小屋平ダムです。黒部川第2発電所に送水します。


 さて、列車は、いよいよ最終目的地、欅平駅に到着です。

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