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マンチェスターといえば二つの世界初 11/01/16記述 11/01/22補足・完成 |
さて、マンチェスターといえば、二つのことで世界で最初という名誉を持っています。
さて、この〔 ① 〕~〔 ④ 〕には、どういう言葉が入るでしょうか。 |
※黒板の上にマウスを置くと、正解が現れます。 |
蒸気機関車と鉄道は、比較的答えやすいと思いますが、運河は意外だったかもしれません。 |
イギリスの川と輸送 | 地図03M市中心部地図へ || 先頭へ ||研修記目次へ| |
このページでは、イギリスの運河について、紹介します。
17世紀末から18世紀前半には、こうしたことを背景として、各地の河川が争って整備され、河川は交通手段としての重要度を増していきました。 |
※黒板の上にマウスを置くと、正解が現れます。 |
イギリスの運河 | 地図03M市中心部地図へ || 先頭へ ||研修記目次へ| |
イギリスで最初に建設された運河は、マンチェスターからその北西郊外のワースリー(グレーター・マンチェスターのひとつ、サルフォードの西部の町)にいたる、全長約10km程のブリッジ・ウォーター運河です。これは運河の名前となったブリッジ・ウォーター公爵(1736~1803年)によって建築されたもので、公爵の所有するワースリーの炭鉱の石炭を消費地のマンチェスター中心部まで輸送するためのものものでした。彼は、若い時にヨーロッパ大陸に渡ってフランスで運河を見て感動し、帰国後、自らの炭鉱の石炭の安価供給と需要拡大を意図して、運河の建設に着手したのでした。この運河の建設を許可する法律は、1759年に議会で承認され、その2年後には、運河が完成しました。
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このウォーター公爵とブリンドリーの成功によって、かねてから望まれていた他の運河計画が具体化します。マーズィー川とセヴァーン川、テムズ川、トレント川を運河で結ぶ構想です。1766年、まずマーズィー川とトレント川を結ぶグランド・トランク運河の計画が議会で承認され、この運河は1771年に完成しました。 |
1700年代後半から1800年代前半にかけてイギリスでは運河網が発達し、南のテムズ川、エイヴォン川、中部のセヴァーン川、トレント川、マーズィー川などが運河で結ばれました。 |
ちょっと息抜きのクイズです。運河を進む船の動力は何でしょう?蒸気機関ではありませんよ。 |
※黒板の上にマウスを置くと、正解が現れます。 |
動力が馬だからといって、「な~んだ」と思ってはいけません。 |
マンチェスターの運河 | 地図05イギリスの運河網へ || 先頭へ ||研修記目次へ| |
やっと自分で見てきた話になります。 |
上で説明したイギリスで最初の運河とされる、①ブリッジ・ウォーター運河(運河の前の番号は上の地図06の番号、以下も同じ)は、当初は、ワースリー(上の地図の●)からマンチェスター中心部のリヴァプール・ロードに接したキャッスル・フィールド(上の地図の●)港(英語で運河の港は、basin)までの約10kmでした。
現在では、①ブリッジ・ウォーター運河といえば、正確には、ワースリーとランコーンの間の66kmの運河となっています。 |
写真06-01 キャッスル・フィールドの運河の港 (撮影日 10/11/13) |
ブリッジ・ウォーター運河でワースリーから運ばれた石炭は、ここから、マンチェスター市内へ運ばれました。現在では、その上を、ノーザンレイルウェイの二つの線路(写真には映っていませんが、左手で分岐しています)とメトロリンク(中央の金属の橋を通る路面電車→前ページで解説)が通っています。 |
写真06-02 跨線橋の下から(撮影日 10/11/13) |
写真06-03ロッチデール運河へ(撮影日 10/11/13) |
左上:奥の線路橋の向こうで運河は東へ分岐し、③ロッチデール運河につながります。 |
さて、①ブリッジ・ウォーター運河といえば、建造技師ブリンドリーの名誉を高めたのが、バートンにおけるこの技術です。自分で撮影できませんでしたので、Google で確認ください。 |
左の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、マンチェスター南西郊外の地図です。 |
また、この水道橋を使って、アーウェル川をまたいだおかげで、このブリッジ・ウォーター運河は、一つの水門(正確には閘門Lock、あとで詳述します↓)も使うことなく水路をつなげることができました。 |
写真06-04 L・L運河 ウィガン(撮影日 10/11/09) |
写真06-05 同左 (撮影日 10/11/09) |
これは、最初の公式訪問地、マンチェスター北西部のウィガン市にあるKeep Britain Tidy の建物のすぐ北を通っていた、②リーズ・リヴァプール運河です。(地図06↑)そんな有名なものとはつゆ知らず、偶然写真に収めました。煉瓦造りの倉庫や昔の事務所が、とてもいい風情です。 |
ロッチデール運河見聞 | 研修日程と訪問地へ || 先頭へ ||研修記目次へ| |
マンチェスターの中心部を通っている運河は、③ロッチデール運河です。上記の②リーズ・リヴァプール運河などはマンチェスターから遠く、とても自由時間に散策できるような距離ではありませんが、③ロッチデール運河は、宿泊したホテルから至近距離を通っていましたので、2回にわたって探検しました。 |
写真06-06 balance beam (撮影日 10/11/12) |
写真06-07 gate (撮影日 10/11/12) |
この2枚の写真の、87という番号は何のことかわかりますか? |
写真06-08 第88閘門 (撮影日 10/11/12) |
閘門は、水位の高い方から低い方へ向かって番号が付けられています。これは、上の次の第88閘門のロック・チャンバーとトップ・ゲートです。 |
写真06-09 第88閘門のボトム・ゲート(水位の低い方)です。 (撮影日 10/11/12) |
写真06-10 path (撮影日 10/11/12) |
写真06-11 第89閘門 (撮影日 10/11/12) |
左上:運河の両側には、path 小径が続いています。 |
次は、第87閘門のボトム・ゲートが開いているところです。 |
写真06-12 第87閘門です (撮影日 10/11/13) |
このゲートの開閉は、誰が行うのかといえば、ボートを動かしている人間、本人です。開閉担当の「門番」がいるわけではありません。この写真では、ロック・チャンバーの内部がよくわかります。 |
写真06-13・14 第87閘門 (撮影日 10/11/13) |
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左上:トップ・ゲートをロック・チャンバー側から見た写真です。 |
写真06-15 観光用のボートです。 (撮影日 10/11/13) |
このボートは通常の「ナローボート」と呼ばれている運河航行用のレジャーボートよりははるかに大きなサイズのものです。 |
写真06-16・17 第85閘門 (撮影日 10/11/12) |
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第85閘門は、ビルと道路の下に隠れて地上からは見ることはできません。早朝は、近くの住民のジョギングルート、通勤近道になっています。 |
写真06-18 第84閘門のトップ・ゲートです (撮影日 10/11/12) |
マンチェスター・ピカデリー駅のすぐ北にあるDale street の橋のすぐ東に第84閘門があります。この閘門の東で、ロッチデール運河は、アシュトン運河と分岐します。写真のビルの後を右手を曲がると、アシュトン運河方面です。この閘門のトップゲートでは、余った水をロック・チャンバーに流す水路がなく、水はゲートの上からあふれています。 |
この第84閘門の写真を使って、ゲートの仕組みをさらに説明します。 |
写真06-19 第84閘門のトップ・ゲートのアップ写真です。 (撮影日 10/11/12) |
ゲートの上のバランス・ビームの上には、人が歩くための手すりが付いていますが、次の写真のように、水路を調節する装置は付いていません。したがって、水は、ゲートの上からあふれてアッパー・レベルからロック・チャンバーに流れ落ちています。 |
写真06-20 水位調節のパドル(撮影日 10/11/12) |
写真06-21 パドルの端 (撮影日 10/11/12) |
これは、同じ第84閘門のボトム・ゲートにある注排水装置で、パドルといいます。 |
写真06-22 船を舫います(撮影日 10/11/12) |
写真06-23 なぞの突起? (撮影日 10/11/12) |
左上:閘門に到着するとボートを舫うための小さな埠頭があり、ロープでつなぎ止めます。 |
写真06-24 第87閘門 (撮影日 10/11/12) |
写真06-25 アシュトン運河 (撮影日 10/11/12) |
左上:第87閘門のアッパー・レベルにある、水位調節用の排水路、余った水は、ここからゲートとは別の小水路を通って、ロック・チャンバーに流れるようなっています。 |
英国の運河は、19世紀半ばに最盛期を迎え、その後鉄道との競争を強いられましたが、いくつかは「善戦」し、19世紀後半までは、イギリスの産業を支える使命を果たしてきました。 |
写真06-26 いろいろな用途のボートが休むキャッスル・フィールド港 (撮影日 10/11/13) |
左手前の白いボートが普通にレジャー用に使われるナローボート(幅2m強)です。こんな細長い最も一般的に使われる理由は、閘門の最も狭いゲートが幅 7feet 2inches(2.1844m)となっているからです。ナローボートならどこへでも行けますが、それより幅広のボートは限定区域しか航行できません。 |
最後に頭の体操クイズです。 |
※黒板の上にマウスを置くと、正解が現れます。 |
【イギリスの運河 参考文献一覧】
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これで、交通ネットワークの世界発祥地、つまり運河網と鉄道網の発祥の地、マンチェスターの説明のうち、運河網についての説明を終わります。とんでもなく長い説明となってしまいました。 |
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