| 旅行記のメニューへ  | | 全行程目次・地図へ | | 一つ前へ | |  次へ |

 ついに行きました 東北地方震災被災地 | 先頭へ ||旅行行程図(目次)へ|12/03/04

 2011年のあの日あの時から1年がたとうとしています。
 あの時、自分が何をしていたか、今でも覚えている方が多いと思います。
 私は、たまたま職場で県議会のTV中継を見ていました。そのTVに地震の警戒情報が流れました。そしてまもなく、ゆったりとした長い周期の地震を感じました。
 程なく、TVが東北地方で地震があり震度7が観測されたと伝えました。
 そしてすぐに流された津波警報。それでも、それまでの過去の津波情報がそうであったように、「きっとたいしたことはないだろう」と思っていました。
 ところが、予想に反して、3時10分過ぎからTVのニュース映像で、津波の襲来の様子が流れ始めました。釜石・宮古などの映像は、未だかつて見たことがない規模の津波の襲来を示していました。
 それからは、もう驚きの連続の映像が続きました。

 あの時から1年がたとうとしています。
 この1年、あの震災とどう向き合うか、いろいろ考えてきました。
 昨年の5月のゴールデンウィークや夏休みには、妻とボランティアに行くことを考えました。しかし、二人とも仕事の関係で、十分な休暇を取ることは不可能で、結局は行くことはできませんでした。義援金はあちこちでお出ししたものの、自分で何かをするということは、ついにできずに来ていました。

「やがて1年になる。もうここまで来たら、ここで機会を逸したら。気分的に東北を訪問する意義はなくなる。」

「ボランティアというわけには行かないけど、とにかく行ってみよう。」

「観光でも、単なる見物でもなんでもいい。失礼かもしれないけど、自分の目で見てくることが重要ということでいいんじゃないだろうか。」

「TVでも東北地方の方が、『東北に観光に来て下さい。それだけでも私たちは元気になれます。』と言っていた。」

「そうだな。マクロ経済から言っても、東北へ行くことが、間接的な支援になる。」

「賛成。」

 

「うだうだ悩まずに、とにかく東北へ行って、見る、聞く、感じる、記憶に残す、そして復興を考える。よし、行くぞ。」 

 かくて、通常の土日の2日の間に、東北観光と震災地訪問という、いささか強硬スケジュールの計画が立てられました。訪問地は、宮城県遠刈田温泉(とおがったおんせん)、蔵王岩手県一関陸前高田、そして宮城県気仙沼となりました。


 土曜日の朝に出発するという計画では、宮城県到着は昼頃になってしまいます。
 そこで、金曜日の夜に夜行バスで出発し、まず朝には東京にいるという、以前子どもたちを東京ディズニーランドに連れて行った時の方法を再び用いることにしました。
 ただし、その時よりは自分たちの年齢が10歳ほど高くなっていますので、あとの疲れを考えて、格安夜行バスではなく、3列シートのゆったりバスを選択しました。これならリクライニングもかなりできて、ゆっくりできると思ったからです。
 ただし、費用はそれなりに高く、格安バスだと東京-名古屋の片道は4000円ぐらいですが、今回は片道7000円でした。
 また、新幹線の駅から三陸海岸へ向かうには、JRのローカル線では時間のロスが多すぎるため、一関でレンタカーを借りました。
 一関から陸前高田-気仙沼を巡り、また一関まで帰る間、5時間ほど南三陸に滞在しました。

ページ2 陸前高田へ||ページ3 気仙沼へ


 写真01-01 3列座席バス  (撮影日 12/02/24)

 写真01-02 足置き台付き (撮影日 12/02/24)

 片道7000円だけのことはあって、豪華なバスでした。「プライベートカーテン」が付いていて、左右から覗かれる心配はありません。ただし、やはりバスの中で眠るわけですから、ぐっすりというわけにはいきません。また、東名高速で途中2回トイレ休憩がありますから、どうしても睡眠は分断されます。しかも朝5時頃には最初の目的地横浜についてお客が降りますので、朝も早くなります。いいバスでしたが、それでもやはり疲れがたまって、25日の夜は、遠刈田温泉のホテルで爆睡しました。 


 まずは蔵王の樹氷見学 雪上車で樹氷原めぐり | 先頭へ ||地図と目次へ

 このページでは、震災被災地訪問の前に、宮城県遠刈田(とおがった)温泉から向かった蔵王の樹氷めぐりについてレポートします。


 遠刈田温泉(宮城県蔵王町) | 先頭へ ||目次と地図へ||日程と費用へ

 白石蔵王駅はこの日は大雪でした。ここから宮城交通バスで遠刈田温泉へ向かいました。

 写真01-03 白石蔵王駅  (撮影日 12/02/25)

 写真01-04 遠刈田温泉行きバス(撮影日 12/02/25)

 白石蔵王駅に到着。雪の朝です。宮城交通の遠刈田温泉行きバスは雪の中をそろりと出発です。途中何回も渋滞に出会い、バスは遅れました。 


 写真01-05 遠刈田温泉神の湯(撮影日 12/02/26)

 写真01-06 足湯 (撮影日 12/02/25)

 バスを降りたのは、宮城交通バスの遠刈田温泉本町バス停。
 そのすぐそばに、遠刈田温泉の公衆浴場、神の湯があります。遠刈田温泉は、江戸時代初めに開かれた温泉です。
 左の鳥居は、刈田嶺神社(蔵王権現)の鳥居です。
 この神の湯で、樹氷見学の出発地である、すみかわスノーパーク行きの送迎バスに乗り換えです。
  

日程と費用へ

蔵王地域の地図
 遠刈田温泉から蔵王連峰の五色岳の南側を通って、山形県へ蔵王エコーラインが通じています。

 上の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、蔵王地方の地図です。

日程と費用へ

 写真01-07 遠刈田温泉中心部(撮影日 12/02/25)

 写真01-08 蔵王ロイヤルホテル(撮影日12/02/26)

 ホテルは、豊かな温泉と夕食・朝食バイキングで、一人9,500円とお値打ちでした。温泉は硫酸塩泉で足腰の病に効能があるとされています。膝も腰も調子の悪い私は、十分につかりました。
 露天風呂は、上空から雪の降る中での風情のある入浴となりました。
 


 写真01-09 宮城蔵王ロイヤルホテルの11階の客室からみた蔵王 烏帽子岳     (撮影日 12/02/26)


 樹氷めぐり(すみかわスノーパーク)| 先頭へ ||目次と地図へ||日程と費用へ

 遠刈田温泉神の湯から送迎バスで40分ほど上ると、すみかわスノーパークにつきます。ここが雪上車による「樹氷めぐり」ツアーを企画しています。
 山形県側の蔵王スキー場にはゴンドラがあって、樹氷見学はそれに乗っていくことになりますが、普通のスノーボーダーやスキーヤーがいるゲレンデで見学することになります。ここでは、ゲレンデから離れて、冬季は閉鎖中の観光道路まで上ってそこで見学をするのです。


 写真01-10 スノーパーク(撮影日 12/02/25)

 写真01-11 ゲレンデ案内板 (撮影日 12/02/25)

 すみかわスノーパークは、初級者から上級者向けまで、いくつかのゲレンデがある大きなスキー場です。ここが樹氷めぐりの出発地です。 


 写真01-12 雪上車  (撮影日 12/02/25)

 写真01-13  雪上車の乗降口(撮影日 12/02/25)

 樹氷めぐりのツアーは、午前11時と午後1時の2回催行されます。私たちは1時のツアーに参加しました。雪上車には4列の席があり、すし詰めで30人程が乗車しました。 

日程と費用へ||蔵王周辺の地図へ

 すみかわスノーパークから出発する樹氷めぐりツアーの雪上車は、最初はスキー場のゲレンデの中を上ります。先導役のスノーモービルが走り、上から滑り降りてくるスキーヤーやボーダーに向けて警戒のサイレンを発しながら慎重に上ります。
 やがて、ゲレンデを離れて専用道路に入り、それをしばらく進むと、遠刈田温泉と山形県側を結ぶ蔵王エコーラインにつながります。この道路は、遠刈田温泉の宮城蔵王ロイヤルホテルのすぐ西にある大鳥居から県境を越えて山形側を結んでいます。蔵王のメイン観光道路ですが、冬季は4~5mの積雪のため、閉鎖となっています。
 そのエコーラインへ途中から乗り上げて、樹氷原へ向かうのです。 
 
 すみかわスノーパークの標高は、1100m程です。樹氷は温度が低い標高1600m程のところから見られるようになります。雪上車で約500mの標高差を上るわけです。ちなみに蔵王という場合、蔵王山という特定の山があるのではなく、宮城県・山形県境南部にあるいくつかの山の総称です。最高峰は、熊野岳の1841mです。
 雪上車はその手前の五色岳(1674m)の頂上近くを目指すことになります。

 標高1100m地点と標高の高い樹氷原とでは、植生も違います。
 1100地点では、普通の山に見られる、ダケカンバやミズナラなどの落葉樹林が茂っています。ところが、1300mを越えるあたりから、アオモリトドマツが見られるようになります。この樹木が樹氷の源になります。

日程と費用へ||蔵王周辺の地図へ

 写真01-14 赤い大黒天(撮影日 12/02/25)

 写真01-15 深い積雪  (撮影日 12/02/25)

 上の写真は雪上車の中からの撮影です。窓に紫のフィルムが貼られていますので、窓越しに撮影した写真にも色が付いています。
 左は大釜(噴火口跡)への登山口になっている大黒天(赤い布をまとっています)の石像です。雪の中にかろうじて姿が見えます。ここは、標高1432mです。
 右はエコーラインのあちこちにある、除雪の際の目印の棒です。棒と言っても、長さ4~5mだそうですから、その上端がほんの僅か見えているだけということは、それだけの積雪があることになります。
 


 雪上車で出発してからおよそ45分ほどかかって、五色岳の頂上下までたどり着きました。
 全く残念なのは、この日の天候は雪だったことです。そもそも、白石蔵王駅に降りた時から雪だったわけですから、蔵王山頂付近はもちろん雪です。
 樹氷は、晴れた日に延々と続いているのを見るに限ります。まあ、人生そううまく都合よくはいきません。


 写真01-16 さらさらの雪 (撮影日 12/02/25)

 写真01-17 固まりません(撮影日 12/02/25)

 降り積もっているのはさらさらの雪です。いくら手で固めようとしても、固まりません。この雪では雪合戦はできません。


 写真01-18 樹氷のアップです(撮影日 12/02/25)

 写真01-19 同じくアップです (撮影日 12/02/25)

 樹氷は空気中の冷たい霧の粒(過冷却状態)が、風に吹き飛ばされつつ、これまた冷たい樹木に当たって、氷となって形成されるものです。過冷却状態とは、本来ならば氷となるはずの零度を下回ってもまだ液体状態で空気中に存在している場合を言います。したがって、樹氷は雪が降り積もってできたのではありません。あくまで氷です。
 風が当たる方向に「成長」していきます。
 


 写真01-20 樹氷原 いろいろな形の樹氷が見られます               (撮影日 12/02/25)

 右側のはほとんどゴジラです。左側の丸いのは、猿の頭部のように見えます。


 写真01-21  これは大きな妖怪か、ミッキーマウスのようにも見えます        (撮影日 12/02/25)


 これで晴天ならば、蔵王連峰を背景に青空と白い樹氷群という写真ができあがったわけですが・・・・。残念。
 この点を除けば、おおむね満足の樹氷めぐりでした。


 仙台から一関へ  | 先頭へ ||目次と地図へ||旅行日程と費用へ

 おいしい食事と温泉と爆睡で満足した私たちは、26日朝は、早く起きて、三陸海岸訪問の準備をしました。
 早めの食事のあと、8時8分の宮城交通の高速バスで仙台へ出発です。


 写真01-22 宮城交通高速バス(撮影日 12/02/26)

 写真01-23  仙台駅  (撮影日 12/02/26)

 前日の雪が路面にあり、バスが遅れることを心配しましたが時間通り、仙台駅に到着しました。仙台も昨日の雪が残っていました。 


 写真01-24  秋田行きこまち (撮影日 12/02/26)

 写真01-25 貸しきり  (撮影日 12/02/26)

 仙台から一関からは、節約のため自由席特急券を購入して、はやて+こまち号に乗りました。ホームの案内放送で、「全車指定席」と聞いたので、車掌に確かめると、「仙台以北は空席ができますので、自由席特急券で指定席に乗っていただいてもかまわないことになっています。ただし、指定席券をもったお客様がおいでになった時は席をお譲り下さい。」とのことでした。
 乗ってみると、こまち号1両には、私たちも含めてお客は3人でした。(^_^)
 


 だんだん雪深くなっていく窓外の景色を眺めていると、10時21分、予定通り列車は一ノ関駅に到着しました。
 私の人生で3度目の岩手県です。そして、レンタカーで初めて向かう三陸です。
 続きは、次ページで紹介します。


このページの参考文献一覧へ

 【蔵王・南三陸旅行1 蔵王の樹氷 参考文献一覧】
  このページ1の記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。

大木邦彦著『これなんだ?しぜんのふしぎなかたち7 ふしぎなかたち』(ポプラ社 1987年)


| 一つ前に戻る | | 次へ進む |