黄河文明
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殷墟(殷王朝の旧都)から発見された印章、「殷璽」とされる印章が伝わっているが、確証はない。
一般的には、春秋・戦国時代の戦国時代(紀元前8世紀から5世紀)からおもに銅製の印章が使用されたとされる。形状は官印・私印ともに方形印が多く、一部に円形もある。文字印が大部分で、肖形印は少ない。
紙の発明後、朱肉を使って文字印を押す文化が確立する。印面に漢字を描く特性上、方形印が主流となる。 |
インダス文明 |
インダス文明(紀元前2300年〜同1800年)の有名な遺跡であるモエンジョ・ダロ遺跡からは、1230点もの印章が出土。材質はほとんどは滑石で、正方形のスタンプ印(ただし紙ではなく粘土板に押す印)である。
中国と違って文字印よりも肖形印が多く、動物が描かれている場合が多い。ただし、動物等の図柄の上部に1行だけ古代インダス文字を印した印章も多い。 |
メソポタミア文明 |
メソポタミア文明における印章使用は、すでに同文明の古い時代のものに当たるハラフ文化(紀元前6000年期末〜5000年紀)の時代のものが確認されている。スタンプ印で形状は方形・円形のものが出土している。
時代が下がってシュメール文化時代(紀元前3500年〜同24世紀)の時代になると独特の円筒印章が使用される。これは円筒型の回りにぐるりと図柄が彫ってあり、これを柔らかい粘土の上にローラーのように転がしていくと、粘土板の上に帯状の印影が付くものである。円筒にはメソポタミア文化の文字であるくさび形文字、人物・動物などが彫られていた。
円筒印章はバビロン王朝時代を経てアッシリア帝国(前7世紀)時代まで使用されたが、同帝国の時代にはスタンプ印が復活し、次の新バビロニア王国の時代には、スタンプ印が主流となった。形状は円形印もしくは方形印である。 |
エジプト文明 |
エジプトでは、紀元前3000年頃には、メソポタミアより早く統一国家が作られたが、印章文化そのものは、メソポタミアの印章文化を受け入れ、初期には円筒印章が用いられた。もちろん、刻まれた文字は、くさび形文字ではなく、エジプトのヒエログリフである。
しかし、古王国第6王朝時代には、円筒型印章に変わってスタンプ印が主流となった。
そして、その派生型として、エジプト独特のスカラベ形の印章が使用された。これは、直径1cm〜3cmの石を加工したもので、上面にスカラベ(コガネムシの一種、別名ふんころがし)を彫刻し、印面にヒエログリフなどを刻んだものである。 |