原始〜古墳時代10
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<解説編>
 

001 ナウマン象の足跡の大きさ、肉の量                          | 問題へ |

【ナウマン象シリーズ2】 
 1991年11月、大阪府南部の大和川沿いの台地にある住吉区山之内遺跡と平野区長原遺跡から、合計100個以上のナウマン象の足跡が発掘されました。それぞfれ地表下7メートル・3メートルから発見されたもので、ともに約10万年前のものと見られています。もっとも保存状態のいい足跡は、
長さ34センチ・幅28センチ
 当時大阪平野の大部分は海中に没していましたが、台地にあった両遺跡は水辺の湿地帯になっていたようです。
 ※『朝日新聞』1991年11月2日朝刊など
 
 この問題を生徒諸君に質問すると、とても面白い結果が出ます。
 生徒諸君は象というものの大きさがわからず、足跡の長さ1メートル以上という、とんでもない誤答が目立ちます。彼らが恐竜のような「ナウマン象」像を持っていることがわかります。正解の大きさと同じ足形を段ボールなどで切り抜いて作った「現物」を見せると、授業効果は抜群。

 ナウマン象の骨格。岐阜県博物館の展示品。体高は3メートル余り。

左の写真の足下にある、ナウマン象の復元モデル。現物の7分の1模型。


 写真01−01−01                                 (撮影日 08/06/13)

 この写真は、クイズ01−17 【ナウマン象シリーズ1】 で説明した野尻湖ナウマン象博物館にある、ナウマン象の足跡のレプリカです。長さを示すスケールが付属していませんでしたので、そばに私の名刺を置きました。
 名刺の長辺は約9cmですから、結果的に、横は名刺長辺の横の4倍ほどで36cmとなります。
 また、名刺の短辺は35mmで足跡の縦は、名刺短辺の縦の約9倍ですから約30cmです。 

 この現物教材「実物大説明図」の作り方については、
現物教材:世界史原始・古代・地域11「ナウマン象の足跡実物大説明図」にあります。こちらです。→

 ※野尻湖ナウマン象博物館http://www.avis.ne.jp/~nojiriko/


018 ナウマン象の足跡の大きさ、肉の量                          | 問題へ |

【ナウマン象シリーズ3】
 成獣のナウマン象を一頭捕獲すると、どれぐらいの肉が手に入るのでしょうか?
 
 
ナウマン象の成獣一頭の体重は、4トンから5トンあったらしく、骨や内臓を除いた食べることができる部分の量、いわゆる肉の量は約1.7トンと推定されています。
 これは、野牛の7頭分、野ウサギの7000羽分に相当します。

 次に、この
1.7トンは、人間何人分の食料となるのでしょうか?
 2001年の日本における一人一日あたりの食料供給量表に於いて、肉類は、76グラムとなっています。これを、365倍して年換算すると、
27.7kgとなります。
 これが、現代の日本人の1年間の肉消費量と考えてよいでしょう。この数値を使うと、ナウマン象1頭分は、1.7トン÷27.7kg=61.3 となり、
61人分の年間消費量をまかなうことになります。

 言い換えれば、毎日63人が1年間ナウマン象肉を食べ続けて消費できる量というわけです。(こういういいかたすると、ナウマン象肉を見たくもなくなって、「もうよしてくれ」といいたくなりますが・・。)

 ただし、現代は、肉以外に他に食べるものがたくさんあります。旧石器時代人は、1日76グラムというわけにはいきません。
 
成人が1日に必要なカロリーを2000カロリーから3000カロリーとして、これを肉だけで摂取すると、肉塊約1000グラム(1kg)必要となります。

 ということは、1.7トン÷1kg=1700 となり、
ナウマン象一頭で1700人分の1日分の食料を手に入れたことになるわけです。
 これは、365日で割ると、4.6となり、
4.6人分の1年間の食肉量となります。 

岡村道雄著『日本の歴史01 縄文の生活誌』(講談社 2000年)P35

『日本国勢図会 03/04年版』(矢野恒太記念会 2003年)P446

 
ついでに、
最近の肉消費量の変化の話です。
 原始時代の授業でナウマン象の話をしているだけでは、生徒の知のネットワークは広がりません。(現代の話題とつなげること、これが、「未来航路」の売りです。)
 下の図を見てください。
 平成13年にBSEが問題となって以来、一人あたりの牛肉の消費量は、
それ以前の7割−8割の水準にとどまっています。

 消費量で言うと、平成12年までは一人年間3000グラム強の消費量がありましたが、平成13年・14年・15年は、2300〜2400グラム程度になってしまいました。
 とりわけ、
2003年12月からアメリカからの牛肉輸入禁止措置がとられてからは、さらに減少しています。
 吉野家が「牛丼」を止めたのは、2004年2月のことです。
 最近は輸入再開へ向けて交渉が行われていますが、どうなるのでしょうか?