年 |
月 |
事件 |
2003
(H15)
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1 |
・名鉄が、揖斐線沿線の市町、岐阜市・北方町・真正町・大野町の各役所を訪問し、撤退の可能性を示唆した。3路線の中で揖斐線の輸送人員の減少率(対10年前比)は56%と最も大きく、年間6億9000万円の赤字が出ていると説明。(3路線全体では年間赤字総額約17億円) |
2 |
・3路線の沿線市町、関市・岐阜市・大野町・北方町・真正町・糸貫町(現在、真正町・糸貫町は、他町村と合併して、本巣市となっている。)の2市4町による「揖斐線・美濃町線・岐阜市内線等沿線市町対策協議会」が設立される。会長は、小野崎弘樹岐阜市助役。以下、対策協議会と表記。)
・名鉄の木村社長は、3路線の存続の可能性について、「地元自治体が赤字を補填するという話が出てくれば、検討に値する」と言及した。 |
4 |
・対策協議会、3路線の存続を求める66,772人の署名を名鉄へ提出。 |
5 |
・名鉄、関係市町に対して、3路線からの撤退について、協議を進めたい旨、申し出る。 |
10 |
・岐阜市、総合型交通社会実験を実施。市内線新岐阜駅前・西野町停留所に仮説電停(「安全島」と表現)を設置。また、市内3カ所で、軌道敷内自動車通行禁止区域を設置。 |
2004
(H16) |
3 |
・名鉄、市内線・美濃町線の廃止許可申請書、揖斐線の廃止届出書を国土交通省に提出。(いわゆる、「廃線手続き」に入る。)
・対策協議会、「公設民営方式」(基礎部分の投資を公共が行い、運行は民間会社)と「第3セクター方式」の2方式について、収支の試算を行って近く関係市町議会に提示すると発表。
・名鉄、沿線市町村による「継続」は、国の手続きの期限等から逆算して、6月までに決定される必要があると表明。
・対策協議会、試算を発表。
公設民営方式(上下分離) |
第3セクター方式 |
自治体が基盤維持など3億1000万円設備投資費1億円を毎年負担。運行会社は当初の1億4000万円の赤字、毎年2000万円。 |
05年には5億2000万円、14年には7億3000万円。 |
・名鉄は、土地(41億円)や車輌(41億円)の資産売却価格を合計82億円と公表。
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5 |
・揖斐線沿線4市町、廃線は受諾できないと表明。
・19日、岐阜市の細江市長は、両備グループ代表で、岡山電気軌道の小嶋光信社長訪ね、地域交通の確保を打診。
(両備グループは、岡山県内に鉄道、バス会社など47社を経営。岡山電気軌道は、岡山市内に路面電車2系統を運行し、2002年には超低床式車輌を導入。) |
6 |
・名鉄、資産売却価格を、19億7800万円に譲歩(土地代など13億500万円、車輌など6億7300万円)。「車輌など市場価値のある資産もあり、無償譲渡はありえない。」
・対策協議会、資産譲渡価格を8億円前後を上限としたいと希望。名鉄、19億7800万円が最終回答と言明し、値下げを拒否。
・3路線の存続を求める市民団体、「未来をつくる路面電車を訴える緊急ネットワーク」は、公設民営方式で存続する場合の経営収支の試算を発表。利用者増により、2008年には営業収入が10億4000万円となり、営業費用10億円を上回って黒字となると主張。
・揖斐線沿線の高校4校(国立岐阜高専、県立本巣松陽高校、県立岐阜農林高校、私立岐阜第一高校)の校長ら、細江岐阜市長に「存続」の要望書提出。
・市民団体「名鉄揖斐線・市内線を存続させる会」(安藤浩代表)、北方町体育館で、「存続と利用を目指す」緊急総決起集会を開催。沿線住民900人が参加。
・岐阜市、3路線の沿線3市2町が線路や車両などの施設を保有する主体となり、岡山電気軌道が運行を担当する枠組み案を明らかにする。この方法の場合、3市2町の財政負担は2005年度に13億円、2010年度以降は5〜6億円が必要とすると試算を発表。 |
7 |
・対策協議会、電車の廃止を選択した場合のバス代替交通の検討を開始。
・国土交通省、自治体が進める高齢化社会に対応した街づくりで、低床で乗りやすいバリアフリー化された次世代型路面電車(LRT)の新線建設を支援していくことを決定。
・22日、細江岐阜市長、市議会各派と沿線自治体に3路線存続断念の意向を伝える。
<主な理由>
初期投資ランニングコストなど自治体の経費負担が大きい。10年間で負担は、84億円と推定される。
利用者増は見込めない。
・これに対し、経営継承を打診されていた岡山電気軌道は、「廃止は残念。将来LRT(超低床路面電車)を導入する機運があれば協力したい」とコメント。
・名鉄木村社長、「代替交通は岐阜バス(岐阜乗合自動車)で考えていきたい。また、市ノ坪の車庫などの跡地については地元自治体への有効活用を望んでいる」とコメント。 |