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 009 自分の未来に優しい生き方していますか                

 008の進路指導に関しての考え方のもっと根元的な部分について話をします。
  ※この項目のリニューアル版は、「041学校で大切なこと 春雑感3 新・自分の未来に優しく」です。

 
 会社には、自社の商品を売り込んだり、自社のイメージを訴えたりするために定番の宣伝文句・キャッチコピーがあります。それなら、教員にだって、自分の教育の姿勢やら、教育方針やら、生徒への訴えかけたいことを自分なりに特色化したキャッチフレーズがあったっていいでしょう。

 私の場合、このサイトで使っている「よく分かる楽しい授業作る」というのが、キャッチフレーズのひとつですが、これは、どこにでもありそうで、今ひとつ個性的ではありません。
 そこで、次の言葉も、数年前から意図的に使っています。
「自分の未来に優しい生き方をしていますか」

 教育というのは、受ける本人の立場から経済的に見れば、自分の未来への「投資」です。何を学ぶにしろ、その理由は、それが少し先のまたははるか先の自分の未来にとって「ためになる」との思いがあるからです。それを少し言い換えたのが、上のフレーズです。

 今自分にとって楽しいこと、つまり、遊ぶことは、多くの場合決して未来の自分を作ることにはつながりません。普通の社会人が、稼いだ金を、日々の生活費としてだけではなく、何かを買うための貯金、将来に備えての保険、あるいは、すでに買ってしまったもののローンの支払などに幾分かをあてるのは、経済的には、消費ではなく投資をしていると分類することができます。

 同じように、子どもたちにとっては、お金ではなく、自分の時間を消費に使うか、投資に使うかという分類が可能です。
 つまり、今の楽しみを得るための遊びに時間を費やすことは消費であり、将来の自分を作るために勉強・学習や体を鍛えたりすることに費やす時間は、投資です。そして、この消費と投資のバランスが、自分の将来を決定づけると言えます。
  
 現代では、高校生に向かって、「こどもは学校へ行って勉強するのが当たり前だ」と頭ごなしにいっても、彼らが「ハイハイ」と行儀よく言うことを聞く時代ではありません。だとすれば、もうすこし違う言葉で、説明しなければなりません。 

 子どもの頃に限らず、勉強をする、学習をするということは、自分の将来の人生への投資であるということを子どもたちに分からせ、なおかつ実践させるのは、非常に重要なことですが、またとても難しいことです。なぜなら、誰にとっても、投資より消費の方が魅力的で楽しいことなのですから。
 しかし、それをいかに熱く語りかけることができるかは、教師に問われる力量のひとつであると思います。

 そのための訴えかけのフレーズが、「自分の未来に優しい生き方をしていますか」なのです。
 これからもいろいろなところで、これについての考え方や実践を示していきます。 
  ※関連ページ 何だこりゃったらなんだこりゃ →「3枚の写真から」 


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