「Mさん、『踊る大捜査線』の鑑賞?日記はまだですか?」
この2週間、何人かの方から、このお尋ねを受けました。
「事件は現場で起きている」をネタにあちこちでお話しをしたものですから、そういう期待をされてしまいました。(その話はこちら→、教育:「高等学校初任者のみなさんへ3 事件は現場で起きている」)
さて、この映画の封切りは、7月3日でした。1週間遅れて、7月10日に見に行きました。妻と二人です。
妻は★★、 私は★★★ですが、私の分は、かなり、情に駆られてのおまけの★★★です。
基本的にはメッセージ性の強い、いい映画です。それは間違いありません。
ただ期待が大きかっただけに、逆に今ひとつに思えてしまったというところでしょうか。何しろ前作は、日本の実写映画の興行収入記録をずっと保持している歴史的な名作です。それを超すことは容易ではありません。
今ひとつだった点を意識しながら、今作品の名シーン、名台詞を復習します。
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いなくなったいかりや長介さんの穴をどうするのか |
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亡くなってしまった和久平八郎(いかりや長介)さんの代わりに、甥っ子の和久刑事と、和久さんが残した手帳が登場します。その手帳には、和久さんの「名言」が書き連ねてあります。その名言がたびたび出てきます。中には、「事件に大きいも小さいもない」など、これまでの作品の根幹をなす大事なことばも、和久手帳に書かれていることばとして、復習されます。
それ以外にも、「被疑者を逮捕するのが俺たちの仕事だ」などの、かつての名言がいろいろなところに登場します。
これは、7年ぶりの作品ながら、「昔の精神」を継承しているというアピールには十分なりました。しかし、逆に新鮮みという点では、今ひとつになりました。 |
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今回の名言1 「俺に部下はいない。 いるのは、仲間だけだっ!」 |
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係長の青島刑事(織田裕二)が、上司から「部下を使って仕事をさせろ」と言われて、言い返すことばです。
課長や係長クラスになって、平社員時代とは手のひらを返すように、「部下をあごで使う」ような「上司」になる人がいますが、このことばの大切さを忘れないようにしたいものです。 |
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今回の名言2 「この会議室には正義はない。それぞれのご都合があるだけだ。」
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会議室と言えば、この映画のメインテーマの一つです。今回も名言が登場しました。しかし、逆説的な名言です。
警視庁の室井慎次(柳葉敏郎)は、今回は単なる管理官からさらに出世して、長官官房審議官(警視監)として登場です。刑務所に収監中の囚人を解放しろと言う、犯人の前代未聞の要求に、警察庁長官以下の幹部の会議は紛糾します。
室井は、今回も一貫して所轄の捜査を信じます。しかし、会議室自体は、理想や正義に向かってリーダーシップを発揮するのではなく、それぞれの担当のご都合主義が戦わされ、力の強いものの意見が通っていくという状況となります。
どこにでもある組織中枢メンバーの「会議室」が、本来はどうあるべきなのか。無視できない名言です。 |
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今回の名言3 「そんな仕事していて面白くないでしょ」「へっちゃまげな」
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事件が解決して、大団円を迎えたあとの、青島係長と室井審議官のやりとりです。青島は、「自分たちは現場で生き生きと仕事をしている。あなたは、管理の仕事や、会議室での勢力争いのような仕事をしていて、面白くないだろう」という意味のセリフを言います。
それに対して、室井は、秋田弁で「へっちゃまげな」と答えます。「生意気言うな、ほっといてくれ」という意味合いの秋田弁だそうです。これは映画の中では解説はありませんから、見終わって調べないと分からないセリフです。
しかし、映画の流れで何となく意味は理解できます。
「どこにいたって、現場を大切にして俺は仕事している。俺も苦労しているんだぞ、おまえたちが頑張ってくれないと、俺に立つ瀬がない」と、室井は言いたいのでしょう。現場との近い距離と信頼こそが室井の財産です。
ご都合ではなく、正義であるためには、理想と信じるものとそれを支える部下、いや仲間が必要です。 |
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今回の名言4 「あなたには誇りがない。私は、被疑者を逮捕するという仕事に誇りを持っている。」
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小泉今日子演じる今回の「事件」の黒幕とも言うべき人物、日向真奈美に対して、青島の言うセリフ。私は、この第3作中の最高の名台詞だと思います。
どんなに繕っても、権謀術数をめぐらして「勝利」をおさめようとも、自分の仕事に「誇り」がなければ、意味はありません。結局は、誇りが正義の源になり、勇気の源にもなります。これがこの映画の究極のメッセージです。 |
いや、文句を言うつもりは毛頭ありません。
十分いい作品です。今からでも是非、映画館へ。
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