色丹島との草の根交流記05

 これは、私が2002(平成14)年9月18日(水)〜9月22日(日)に参加した北方領土色丹島訪問以来、友人となった色丹島のロシア人英語教師一家との間に続いている草の根の交流について記録したものです。


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005 2003年6月27日(金) ハロー、ナタリヤ

 「ハロー、ナタリヤ、this is Mizuno. Are you fine?」

 札幌のJICA国際センターにいるナタリヤに電話が通じたのは、6月16日(月)の夜9時過ぎでした。

「きみが3度も電話かけたのに、つながらなくてゴメン。今日は、北方圏センターで許可をもらって、かけている。」
「今日の夕方に北方圏センターのAさんから、近々あなたから電話があると教えてもらったわ。電話をかけてくれてありがとう。」

「日本語の勉強は大変かい?」
「月曜日から金曜日まで、毎日朝9時から夕方16時半まで、昼の休憩を除いて6時間半の授業なの。特に、水曜日は、スピーチをしなければならないので一番大変だわ。国後、択捉、色丹の3島から10人が来ているけど、私は、他の4人と一緒にアドバンスト・グループにいるの。中には漢字も分かる人がいて、私の力では、授業に着いていくのがなかなか大変なのよ。」

「先生は、日本人?英語やロシア語は話すの?」
「先生は日本人。英語もロシア語も話さないわ。そのかわりに日本人のロシア語通訳がいて、授業を助けてくれているの。」
 なるほど、日本語は、ちゃんと日本語の先生に習っていて、通訳さんとは違うわけです。

「語学研修の終わりに試験のようなものは、あるの?」
「試験はないわ。そのかわりに、研修の最後に長い日本語のスピーチがあるの。この時は、TVや新聞記者の取材が入るそうよ。とても緊張すると思うわ。」

「教室では日本語の研修ばかりかい。他に何かすることはないの?どこかにいくとか?」
「金曜日の午後は、日本の文化に触れることができるように、生け花とか折り紙とかの活動があるの。それから、土曜日は、小旅行が計画されていて、先週は、札幌市内のお寺と博物館へ行ったわ。その後お寿司を食べた。いくらとか、鮭とかとても美味しかったわ。」
「お寿司を食べたの?生魚は食べることができるの?」
「ロシア本土の人たちは、生の魚はあまり食べないけど、色丹島は海産物に恵まれていて、食べるのよ。」

「私の方から質問があるわ。色丹島へもう一度来たい?」
「もちろん。もちろん、もう一度行きたい。」
「え、本当?なぜ?」
「色丹島は、とても美しい島。自然がきれいな島。そして、何より、そこにきみがいるから。」
 このセリフって、本音ですが、日本語だと言えない言えない。英語の会話だから、むしろすっと言えてしまいます。(^.^)


  秋の色丹島穴澗湾。

 穴澗港へ向かうロシア貨物船を、ナタリヤ自身が撮影したもの。
 この美しい自然をもっとゆっくり満喫してみたい。


 「夏の休暇は、どのくらいとることができるの?」
「もし、学校に勤めているとすると、休暇は比較的まとめて取ることができる。今の職場に転勤する前の職場でも、連続6日間の休みを取って、2000年にはアメリカへ、2001年にはパリとロンドンへ行ってきた。」
「今年は、何日ぐらい休みが取れるの?」
「今の職場は夏休み中も忙しいので、土曜、日曜を挟んで連続4日ぐらいかな。」
「そうなの、忙しいのね。残念だわ。」
「残念って、何が?」
「そんなに忙しいと、私が札幌にいる間に、札幌に来ることはできないわね。」

 ナタリヤ、そういう意味の夏休みだったのか。
う〜ん、行けないことはないよ。土曜日の朝一番で名古屋空港を立って、日曜日の深夜に帰ることにすれば・・・・。
 ANAの往復特割運賃51600円+ホテル代10000円+・・・・・。
 忙しいし、駄目だな。う〜ん、でももうこのチャンスを逃がしたら、一生会えないかも・・・。

「電話はあまりかけることはできないけど、メールは一杯出すよ。」
「もし迷惑でなかったら、私の勉強を助けて。私が話したいことを英語で書くから、日本語とローマ字で教えて。」
「そんなこと、いつでも言って欲しい。」
「では、またね。」「さようなら。」 


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