色丹島との手紙がやりとりが、エアーメールとは名ばかりのモスクワ経由で往復2か月もかかる便になってしまうのは、色丹島はインターネットが使えず、e−mailの交換ができないからです。
ところが、ところが、6月8日(日)にその彼女から突然メールが来ました。
「I’m in Japan.」
「ハイ、ヒデノリ。今、札幌に来て、日本語を勉強しています。6月2日(月)に船で根室に来て、3日(火)に札幌に入りました。
そして、5日(木)から、日本語の勉強が始まりました。」
なんと、驚くことに、ナタリヤが札幌にいるというのです。
「3つの島から、10人がやって来ました。10人が三つのグループに分かれて、日本人の日本語の先生と日本人のロシア語通訳とがついて、日本語や日本の文化を学んでいます。私は、ひらがなとカタカナが読めるので、adovanced group に入っていますが、漢字も読める人がいて、なかなか付いていくのが大変です。」
しかし、彼女がどういう方法で、日本語を勉強に来ることができ、いつまで滞在し、どこに宿泊しているのかは、そのメールにはまったく書かれていませんでした。
早速彼女に詳しいことを知らせてくれるよう、メールを打ちました。彼女のメールのアドレスは、ホットメイルのロシア語版のようなもので、ロシアの無料メールのアドレスでした。
ところが、ところが、それから5日間、ずっと音沙汰はありませんでした。
やっぱり夢幻だったかと思いつつ、6月13日(金)深夜に2度目のメールを送りました。
「Natalia,are you still in Japan?」
彼女が色丹島へ戻ってしまっていたら、もうメールは届きません。私は、半分あきらめの心境で、メールを待ちました。
6月14日(土)の夜、やっと待ちに待った彼女からのメールが来ました。
「You know it's my 4th attamp to send a message to you. Well, and besides I tried to call you many times. Anything the matter with oyur nnumber? Is it 090-????-????」(??はわざと数字を伏せています。)
何と彼女は、色丹島で私が彼女に渡した名刺に書かれていた、私の携帯電話に3度も電話していたのです。もちろん、携帯電話への着信は知っていました。しかし、表示は「公衆電話」で、しかも3度とも、私が携帯電話を机の上に置いて、席を離れていた時の運の悪い着信でした。
「この研修は、札幌で7月12日(土)まで、続きます。その後根室へ向かい、7月15日(火)に根室港から島へ帰ります。宿泊は、JICAの国際センターにずっといます。月曜日から金曜日までは、昼間は6時間半の授業があって、夜も宿題で大変です。土曜日と日曜日はフリータイムがあって、あなたにメールを打てます。今度はあなたから、私宿泊している、011-866-????へ電話してください。ルームナンバーは4??です。」
7月12日まで研修が続くのなら、まだまだ時間はあります。これで一安心です。
早速その晩、JICA国際センターというところに電話してみました。こちらの身分をちゃんと示したにもかかわらず、意外なことを告げられました。
「管理をしている、北方圏センターの担当者の許可がなければ、研修に参加しているロシア人との接触はできません。」
「え、許可?なんですか、その北方圏センターというのは?」
「この研修の主催者です。そちらへ連絡を取って、許可を得てください。」
一難去って、また一難です。
何で許可がいるのでしょうか?そして、一月もの間、どこがどのように彼女たちに研修の機会を与えているのでしょうか? |