気候変動対応の先進国イギリスが、環境教育の分野で進めているのが、サスティナブル・スクールの取組です。
国連では、2002年に「国連持続可能な開発のための教育の10年(DESD:Decade of Education for Sustainable Development、Decadeは「10年間」)」が決議され、主導機関であるUNESCOによってDESD国際実施計画が発表されました。これにおいては、次の4つの重点領域が提示されています。
(1)質のよい基礎教育へのアクセスを向上させる。
(2)既存の教育を持続可能性に向けて新たに方向づけをする。
(3)市民の理解や意識を向上させる。
(4)市民社会のすべてのセクターにプログラムを提供する。
イギリス教育技能省(DfES)は2006年に、「持続可能な教育へ向けての国家的な枠組み」を発表し、2020年までの長期目標を8つのドアウェイ(Doorways、導入テーマ)別に示すとともに、推進機動力として3つのCs(Curriculuam Campus Community )を紹介しました。
イギリスの取組の特色について、佐藤真久(東京都市大学環境情報学部准教授)は、次のように指摘しています。(赤太字は引用者が施しました)
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サステイナブル・スクールは、欧州や他の地域でNGOによって様々な国で任意に取組まれているエコ・スクールとは異なり、英国の教育政策の一つとして英国国内で取組まれている。
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サステイナブル・スクールは、エコ・スクールとは異なり持続可能な開発の視点が強調され、国連の持続可能な開発のための教育の10年(DESD)の流れをうけ、英国国内のESD活動の一翼を担っている。、 |
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英国の全ての学校が持続可能な開発に取組むことを目指している。 |
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サステイナブル・スクールは、国家的な取組みではあるものの、英国の教育自体が地方分権主義的な教育システムであるため、強制的、義務的な要素はなく、あくまでも各学校が、政府から提案されたサステイナブル・スクールの国家枠組みを参考にしながら発展させていくというものである。したがって、共通したカリキュラムや教授方法、教材などはなく、後に紹介するサステイナブル・スクールの国家枠組みが、緩やかな指針となっている。 |
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参考文献5所収、佐藤真久「可能性としてのサスティナブル・スクールー英国における学校教育と学校外教育の連携による持続可能性な社会づくりー」
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イギリス教育技能省が、サスティナブル・スクールの取組を効果的に展開するために示した、8つのドアウェイ(Doorways 導入テーマ)と、従来のエコ・スクールの環境教育プログラムは次のとおりです。
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