これは、私が2002(平成14)年9月18日(水)〜9月22日(日)に研修で出かけた北方領土色丹島の訪問記と、ついでに回った、北海道東部の旅行記です。


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M あの時のこと それからのこと 1 

 
○船は興味津々

これは何?魚入れる網ではありません。

前進・後進切り替えスピード調節機

 先頭のポールに掲げられた謎の物体。
私「これって、何」
甲板長「これは、港で停泊しているときに、碇を降ろして止まっているということを他の船に知らせるものです。」
私「え、こんなへんてこなものが。この船だけのしるし?」
甲板長「いやいや、他の船を見てご覧なさい。みんな掲げている」
 ず〜と見渡すと、国後島古釜布湾のロシア船もみんなつけています。そんな由緒あるものなのでした。

 海がない岐阜県に住んでいると、海や船のことは、ほとんど知らないことばかりです。
 たとえば、右の写真に写っているものです。
 これは、コーラルホワイト号のブリッジのすぐ前の甲板上(通称いかり甲板)の収納箱の中に入れてありました。

 一見して、魚を入れる網のように見えます。
 ところがどっこいこれは、もっとちゃんとした、大事なものでした。正解は、右の3枚目の写真に説明してあります。

 それから、船に乗ったら、「ぜったいやるぞー」と思っていたことがありました。
 それは、あの、映画「タイタニック」の船の舳先で、気持ちよく風を受けるシーンのまねです。

 これはすぐに断念しました。
 理由1 相手がいませんでした。(^.^)
 理由2 高い、恐い(-_-;)

 あの舳先は、高所恐怖症で、しかもほとんど泳げない私には、とてもとても高くて恐くて、落ちて溺れそうで、のぼって写真なんてそんな甘い所ではありませんでした。

 もっとも、かりにやったら、やっぱ、ブリッジの真ん前ですから、船長の怒りの鉄拳が飛んできそうです。

 右の真ん中の写真は、前進・後進切り替え、スピード切り替えのためのハンドルです。
 埠頭に接舷するときなどは、さすがに船長は気を使います。

 ハンドルの表示は、写真の位置が停止状態、そこから上の黒の部分は、前進(ahead)、下の赤の部分は後進(astern)です。astern という単語は、あまり知らない単語でしたので、辞書で調べたら、船の時にのみ使う用語でした。

 後進をするときは、メカニック的にどうなるか分かります?
 昔の映画で、スクリューが逆にまわるシーンがあったので、てっきりそうかと思っていたら、船長に馬鹿にされました。
「今の船は、おめー、そんなもんじゃねーぞ」

 可変ピッチプロペラと言って、スクリューのプロペラの羽の1本1本の向きが指示どおり動いて、水を切る方向を変え、スピードの調節、進む方向の調節をするのです。
 こんなそれほど大きくない船にも、そんな装置が付いているのでした。

○ロシア語
 研修団には、大変有能が通訳さんが6名の同行していました。
 英語とかフランス語と耳慣れた言語ならそれほど感動はないのですが、ロシア語なんて全く読めない話せない言語を操る人なんか、神様のように思えてきます。
 若い人からそこそこの年齢まで、女性の通訳が3人いましたが、そのうちそこそこの年齢のKさんに伺ってみました。場所は、ブリッジです。例のべた凪の最終日、22日(日)の朝のことです。

私「この仕事にはいつも参加されるのですか。」
K「ほとんどそうです。私は大阪ですから、いつも必ずというわけではありません。」
私「友人に、大学の法学部でロシア行政法というのを専攻した奴がいて、彼は、その理由に、人のやらない珍しいのがいいといっていました。彼は、30代後半で法学部の教授になりましたから、その選択は正しかったようです。Kさんは何故、ロシア語を専攻したのですか?」
K「ロシア文学を原典で読んでみたかった。」
ブリッジにいた全員が、「かっこい〜」

同僚通訳の男性Oさんから、
「うそばっか、かっこいい男がいただけだろうが」(^.^)と異議が唱えられます。
K「まあ、若気のいたりですね。」
よく分からない結論でした。

艦長「もうすぐ中間点、連絡願います。係りは誰ですか。」
 中間点を通ってロシア施政権下から出る時も、入るときと同じく、国後島のロシア国境警備隊に無線で連絡しなければなりません。
K「はい、私が担当です。」
O「どうせ、帰るときなんか、相手も『わかっとる』ぐらいしか言わない。」

 ところが、Kさんは、結構話しており、相手もなにやら言っています。とにかく無事終了しました。
K「早口で、相手の言っていることはよく分からなかった。それでもなんとかOKでした。最後なんか、航海のご無事を祈ります。なんて、いってくれたわ。」
O「女性だと、違うねやっぱり。」ロシア国境警備隊の方も生身の人間です。

○色丹島への郵便
 色丹島のナタリヤさんにお礼の手紙を書きました。一緒の所を写してもらった写真を同封してです。(写真へ
 
 ついでに、あちこち電話して、外国への郵便がどうやって届くか調べました。
 たとえば、アメリカのアイオワ州に住む友人の所へ送るエアメールの場合、郵便は、岐阜中央郵便局から東京国際郵便局までその日のうちに送られ、そこですぐにアメリカの拠点郵便局別に振り分けられます。アイオワ州の場合はシカゴです。
 そして、成田からすぐに飛行機に積まれ、次の日には、シカゴ空港に到着です。シカゴ郵便局で行き先別に分けられ、アイオワ州に届くというわけです。今までの経験上、短いと5日、長くても8日ぐらいで届きます。

 さて、色丹島の場合、どうなのでしょう。
 東京国際郵便局の担当の方の話では、ロシア宛の郵便物はアメリカなどと比べてあまり多くなく、そんなきめの細かいシステムではないということです。

 東京国際郵便局での仕分けは、@モスクワ、Aモスクワ経由その他地方、Bウラジオストックの三つのみです。
私「色丹島に送りたいのですが、当然ウラジオストック経由ですね。」
郵「いえ、ウラジオストック経由は、ウラジオストック周辺の大陸の地域だけです。色丹島は含まれていません。」
私「ということは・・・・???」
郵「もちろん、モスクワ経由その他地方に分類されます。」

 これを聞いて、おもわず、これから差し出すエアーメールに、頑張ってくれよと頬ずりしてしまいました。
 マニュアルによれば、モスクワまでは、平均5日かかります。またそれと同じ距離を戻って・・・、どうやって戻るのでしょう、シベリア鉄道でしょうか。そして、サハリンから海を渡って、色丹島です。
「年内に届くだろうか・・・???」

 色丹島は、やはり遠くです。 


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