これは、私が2002(平成14)年9月18日(水)〜9月22日(日)に研修で出かけた北方領土色丹島の訪問記と、ついでに回った、北海道東部の旅行記です。


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N あの時のこと それからのこと 2 「東」について 

 
○東の端その1 鉄道の駅

 根室は日本で一番東の都市。
 東の端という思いこみは、錯覚を起こします。
 
 根室駅は一番端の駅。これは正解です。 
 根室駅のはずれの線路の終点の写真はこちら。

 写真を撮影したとき、ホームページに載せる写真の説明は、これにしようと決めていました。
 「根室駅は日本の鉄道の一番東の駅。これはそのはずれにある線路の終点。これより東に鉄道線路はない。」
 しかし、このカッコウつけた文章は、実は間違っていることにすぐ気が付きました。

 根室駅の次には駅はありません。また、駅構内にはちゃんとおおむね東西に線路が通っています。しかし、それでも、その線路の端は、東の端ではないのです。

 秘密は、JR根室本線(花咲線)の経路にあります。実は、その線路は、右の地図のようになっています。
 つまり、納沙布岬に入った根室本線は、半島の南側をとおり、東根室駅から大きく西にまわって、根室駅に入ります。

 この結果、JRの最東端の駅は、実は根室駅ではなく、その一つ手前の東根室駅となります。
 また、根室本線の線路は、根室駅の西で、終点になっているのです、
 
 したがって、先の写真の説明は、「JR根室本線の終点。これより先に線路はない。」としか書けません。西とか東とか書くとややこしくなってしまいます。

○東の端その2 領土
 では、これはどうでしょう。納沙布岬は、北海道の最東端です。この先には北方領土しかありません。そこで、「納沙布岬は、北方領土を除くと、日本最東端の領土である。」

 これも実は間違っています。
 日本の最東端の領土は、南鳥島です。これは、たとえ北方領土が返還されても変わりありません。

 何しろ南鳥島は、東経153度59分ですから、これは勝負になりません。

 しかし、南鳥島は、誰も住んでいない岩礁です。したがって、人が住んでいるところという点では、納沙布岬が最東端であり、もし、北方領土を含めれば、択捉島の一番東の端が、最東端となります。
 択捉島の端は、北海道の稚内より北にあり、実は、地図には正式に最北端と記入されています。北緯45度33分です。

○東の端その3 日の出
 2001年の元旦、21世紀を迎えるというわけで、根室では、「日出ずる国フェスティバル」が開かれました。
 では、「納沙布岬は、北方領土を除いた日本の領土で人が住んでいる所の中で、一番初日の出が早く見える所である。」というのは事実でしょうか。

 実はこれも事実ではありません。 
 冬の地球は、御存知のように、北半球は、太陽と反対側に傾いています。そのため、日の出は、東南へ行くほど早くなります。地図中の、赤い曲線は、標高0メートルと仮定して、午前7時に初日の出を迎える地域を線で表したものです。(以下の時間は2002年の元旦のデータ。毎年大きな差はありません。)
 
 実際には、南鳥島の、5時27分は別にしても、小笠原諸島父島は6時20分に日の出を迎えます。

 これに対して、納沙布岬は6時49分ですから、それより随分遅くなります。
 小笠原諸島という特別な所でなくても、千葉県の犬吠埼では、6時46分、つまり、納沙布岬より3分早く初日の出を迎えます。

 もちろん、平地より高い所の方が早く日の出を迎えますから、富士山頂は、6時42分に日の出を迎えるというわけです。
 ちなみにわが地元、金華山山頂は、6時59分が日の出です。

 では、夏至の日はどうでしょうか。(正確には、夏至の少し前が日の出が一番早くなります。)
 夏至の小笠原諸島父島の日の出は、4時36分。根室は、3時37分です。
 つまり、冬とは反対に、夏は、北半球が太陽に近く傾いていますから、北東に行けば行くほど、日の出は早くなり、根室や納沙布岬は、小笠原諸島父島より1時間も早い日の出となるのです。ちなみに、我が町岐阜市の夏至の日の出は、4時37分です。

 では、納沙布岬は、夏至の日には北方領土を除くと、一番早い日の出を迎えるのでしょうか?

 これが判定が難しくて、困っています。
 つまり、知床半島の最北端とほぼ同じだからです。ちょっと調べてから、また書きます。


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