○東の端その1 鉄道の駅
根室は日本で一番東の都市。
東の端という思いこみは、錯覚を起こします。
根室駅は一番端の駅。これは正解です。
根室駅のはずれの線路の終点の写真はこちら。
写真を撮影したとき、ホームページに載せる写真の説明は、これにしようと決めていました。
「根室駅は日本の鉄道の一番東の駅。これはそのはずれにある線路の終点。これより東に鉄道線路はない。」
しかし、このカッコウつけた文章は、実は間違っていることにすぐ気が付きました。
根室駅の次には駅はありません。また、駅構内にはちゃんとおおむね東西に線路が通っています。しかし、それでも、その線路の端は、東の端ではないのです。
秘密は、JR根室本線(花咲線)の経路にあります。実は、その線路は、右の地図のようになっています。
つまり、納沙布岬に入った根室本線は、半島の南側をとおり、東根室駅から大きく西にまわって、根室駅に入ります。
この結果、JRの最東端の駅は、実は根室駅ではなく、その一つ手前の東根室駅となります。
また、根室本線の線路は、根室駅の西で、終点になっているのです、
したがって、先の写真の説明は、「JR根室本線の終点。これより先に線路はない。」としか書けません。西とか東とか書くとややこしくなってしまいます。
○東の端その2 領土
では、これはどうでしょう。納沙布岬は、北海道の最東端です。この先には北方領土しかありません。そこで、「納沙布岬は、北方領土を除くと、日本最東端の領土である。」
これも実は間違っています。
日本の最東端の領土は、南鳥島です。これは、たとえ北方領土が返還されても変わりありません。
何しろ南鳥島は、東経153度59分ですから、これは勝負になりません。
しかし、南鳥島は、誰も住んでいない岩礁です。したがって、人が住んでいるところという点では、納沙布岬が最東端であり、もし、北方領土を含めれば、択捉島の一番東の端が、最東端となります。
択捉島の端は、北海道の稚内より北にあり、実は、地図には正式に最北端と記入されています。北緯45度33分です。
○東の端その3 日の出
2001年の元旦、21世紀を迎えるというわけで、根室では、「日出ずる国フェスティバル」が開かれました。
では、「納沙布岬は、北方領土を除いた日本の領土で人が住んでいる所の中で、一番初日の出が早く見える所である。」というのは事実でしょうか。
実はこれも事実ではありません。
冬の地球は、御存知のように、北半球は、太陽と反対側に傾いています。そのため、日の出は、東南へ行くほど早くなります。地図中の、赤い曲線は、標高0メートルと仮定して、午前7時に初日の出を迎える地域を線で表したものです。(以下の時間は2002年の元旦のデータ。毎年大きな差はありません。)
実際には、南鳥島の、5時27分は別にしても、小笠原諸島父島は6時20分に日の出を迎えます。
これに対して、納沙布岬は6時49分ですから、それより随分遅くなります。
小笠原諸島という特別な所でなくても、千葉県の犬吠埼では、6時46分、つまり、納沙布岬より3分早く初日の出を迎えます。
もちろん、平地より高い所の方が早く日の出を迎えますから、富士山頂は、6時42分に日の出を迎えるというわけです。
ちなみにわが地元、金華山山頂は、6時59分が日の出です。
では、夏至の日はどうでしょうか。(正確には、夏至の少し前が日の出が一番早くなります。)
夏至の小笠原諸島父島の日の出は、4時36分。根室は、3時37分です。
つまり、冬とは反対に、夏は、北半球が太陽に近く傾いていますから、北東に行けば行くほど、日の出は早くなり、根室や納沙布岬は、小笠原諸島父島より1時間も早い日の出となるのです。ちなみに、我が町岐阜市の夏至の日の出は、4時37分です。
では、納沙布岬は、夏至の日には北方領土を除くと、一番早い日の出を迎えるのでしょうか?
これが判定が難しくて、困っています。
つまり、知床半島の最北端とほぼ同じだからです。ちょっと調べてから、また書きます。 |