原始〜古墳時代9
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<解説編>
 
017 この湯たんぽのような化石は何?                                 | 問題へ |

【ナウマン象シリーズ1】
 下の写真は、
ナウマン象の化石ですが、体のどこの部位の化石でしょうか。湯たんぽはオーバーにしても、どう見ても、フジツボのこびりついた岩かなんかに見えます。
 ここで、ヒントです。いわゆる化石=骨と考えてしまって、どこの骨だろうと考えると、正解にはいきつきません。下の写真は、骨ではありません。骨以外のもので化石になるものといえば・・・・。

 写真01−17−01                                 (撮影日 08/06/13)

 正解は、ナウマン象の歯の化石です。正面が歯の噛む部分です。人間の歯とはまったく形状が違います。これはあとで説明します。

 

 日本でナウマン象といえば、第一に説明しなければならないのは、長野県野尻湖です。
 実は、先日長野市に出張した折に、ちょっと足を伸ばして、念願かなって、
野尻湖ナウマン象博物館に行ってきました。以下、博物館の紹介をかねて、次の項目で説明します。

【次の順に説明します】  ※クリックするとその説明へ行きます。

 野尻湖ナウマン象博物館の場所と外観

 野尻湖ナウマン象博物館の収蔵品

 象の歯


 1 野尻湖ナウマン象博物館の場所と外観

  長野県の北部、新潟県境にある野尻湖では、1962年以来長期にわたって、湖底の発掘調査が進められてきました。

基本的な内容は、博物館のサイトをご覧いただければ分かります。 026−258−2323
こちらです。→
野尻湖ナウマン象博物館http://www.avis.ne.jp/~nojiriko/
 

またこのページの解説は、野尻湖ナウマン象博物館発行『ナウマンゾウの狩人をもとめて』(2003年)を参考にしました。


 この地では、すでに戦後直後の1948年にナウマン象の臼歯が発掘されrていましたが、1962年から正式な発掘調査がはじまり、その年に早くもナウマン象とオオツノジカの化石が見つかったのを始めとして、数々の化石が発見されました。
 博物館の場所は以下のとおりです。 


 長野県野尻湖ナウマン象博物館の場所です。
 野尻湖という湖は長野県の新潟県境にあります。長野駅からJR信越本線の普通電車に乗って、最寄りの駅、
黒姫駅に向かいます。長野駅を出発し豊野駅で飯山線と別れると、信越本線は信越国境の山間部に入ります。電車は急な上り坂をゆっくり上って、長野から30分余りで黒姫駅に到着です。
 駅前からはバスに乗って10分余で野尻湖畔に到着です。私が行った日は、観光シーズンでもなかったため、バスの乗客は往復とも私一人でした。(^_^)
 


 写真01−17−02    (撮影日 08/06/13)

 写真01−17−03   (撮影日 08/06/13)

 左 新潟県上越市方面から黒姫駅に到着する長野行き普通電車
 右 
黒姫駅長野方面行きホーム。背後に見えるのはもちろん黒姫山

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上の写真は、国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムのカラー空中写真閲覧から引用しました。こちらです。→国土交通省ウェブマッピングシステム http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/)

 上の写真は、大変古くて恐縮ですが、1976年の航空写真2枚で合成した、野尻湖のほぼ全体象です。の場所に野尻湖ナウマン象博物館があります。博物館のすぐそばの海岸の場所が発掘場所です。 

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 上の写真の説明での場所が湖の中になっている理由は、野尻湖の発掘は、実は、通常は湖底となってる部分で行われているのです。野尻湖の水は、9月から3月までは利水権が発電所のものとなり、水力発電が行われるため水位は3m程下がります。このため遠浅となった現れた湖底を発掘するわけです。


 写真01−17−04                                 (撮影日 08/06/13)

 現在の発掘場所の状況。夏期は水位が上がるため発掘場所は湖の中です。白い建物の手前一体の湖底が、発掘場所です。


 写真01−17−05                                 (撮影日 08/06/13)

 野尻湖ナウマン象博物館の入り口です。博物館は、野尻湖湖畔のバスターミナルから歩いて3分です。写真の山は、黒姫山ではなく妙高山です。黒姫山は長野県ですが、妙高山は新潟県です。

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 写真01−17−06                                 (撮影日 08/06/13)

 野尻湖ナウマン象博物館の全景です。入館料は500円です。
 ミュージアムショップもありますが、参考図書以外は今ひとつです。子どもの記念品のようなものはいっぱいありますが、授業の素材になるようなグッズはありません。たとえば、このクイズの「歯の化石」値段は3000円とかがあるなら買ってもいいのですが、そういう工夫はありません。
 私が入館したときは、入館者はこれまた私一人で、貸し切りでした。 


 写真01−17−07                                 (撮影日 08/06/13)

 博物館の入り口には、当然ながらナウマン象の銅像があって、雰囲気を盛り上げます。

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 2 野尻湖ナウマン象博物館収蔵品

 野尻湖ナウマン象博物館の魅力的な収蔵品の一部を紹介します。 


 写真01−17−08                                 (撮影日 08/06/13)

 出土したナウマン象の牙(切歯)です。 


 写真01−17−09                                 (撮影日 08/06/13)

 出土したナウマン象の牙(切歯)です。 


 写真01−17−10                                 (撮影日 08/06/13)

 第5次発掘で見つかった、ナウマン象の牙とオオツノジカの掌状角(普通の鹿の角にあたるもの)です。二つの形状から、「月と星」と呼ばれています。この二つはこの位置関係で寄り添うように埋没しており、また、掌状角の1辺が直線的に断ち切られたようになっていることから、「野尻湖人」が何かの呪術的な願いを込めたものと想像されています。今、「野尻湖人」と書きましたが、この野尻湖周辺からは、下で紹介するように道具の化石は出土していますが、化石人骨そのものは出土していません。ここでは、野尻湖畔で道具を使い、ナウマン象を狩猟していただろう人々を、「野尻湖人」と呼んでいるわけです。 


 写真01−17−11                                 (撮影日 08/06/13)

 これはナウマン象の頭骨の化石です。大迫力です。


 写真01−17−12  

 写真01−17−13   写真01−17−14

 野尻湖ではナウマン象や他の動物の化石は多数出土しましたが、「野尻湖人」、つまり人の骨の化石は発見されていません。しかし、石器・骨角器は多数出土しており、当時の人間の生活の様子が確認できます。
 写真は左から、いずれも骨製の、ナイフ型石器、スクレイパー(皮なめし用の道具)、クリーヴァー(ナタ状石器)です。

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 3 象の歯

 最後にこのページの問題になった、不可思議な形状を持つナウマン象の歯について説明します。
 一番上の歯の化石は、人間とか他の哺乳動物の形状とは随分かけ離れています。あの歯は、どういう仕組みでどうやってあごに付いているものなのでしょうか。


 写真01−17−15                                 (撮影日 08/06/13)

 これはゾウのあごの化石です。両あごの上に、ゾウの歯が一対載っています。
「あれっ、人間のようにたくさん歯が並んでいるのではないのですね。」
 これに気付けば合格です。では、もう少し詳しく説明します。


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 歯の表面の模様は、ゾウの種類によって違います。

 写真01−17−16  (撮影日 08/06/13)

 写真01−17−17    (撮影日 08/06/13)

  左の古ぼけたスニーカーのようなものは、マンモスの臼歯です。右は、現在アフリカ象臼歯です。

  これで、野尻湖ナウマン象博物館の説明と、象の歯の化石の話は終わります。次のクイズはナウマン象シリーズその2です。野尻湖ナウマン象博物館内のナウマン象の模型の話が出てきます。

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