| 未来航路Topへ | | メニューへ | | 前へ | | 次へ |

菜の花について考える3
現代の菜の花について考えます。
 
 菜の花の現状
 菜の花の定義                               | 目次へ |       

 この「菜の花について考える」について、未来航路をいつも見ていただいてる国語のO先生からご意見をもらいました。
 普通、菜の花というのは、狭い意味ではアブラナでしょうが、昔からの一般的な使い方に従えば、春に黄色い花が咲き、菜っ葉が採れる草は、広い意味でみんな菜の花ではないかと。
 つまり、アブラナ科アブラナ属の、小松菜、青梗菜、白菜、かぶ、ターサイ、野沢菜などみんな菜の花ではないかと。
 賛成です。厳密な区分も大切ですが、それを知った上で、いろいろな「菜の花」を楽しむのが、日本の春の姿である気がします。

 ここで二つクイズです。

  1. アメリカの多くの都市で、スーパーマーケットで売られている、そのものずばり、「Nappa」とは、何のことでしょうか。
  2. 下の写真の花は、岐阜市郊外の畑で見つけました。よく畑に植えてある「菜の花」です。正確には何でしょうか。 


<クイズ1の答え>
 あるHPにジョージア州アトランタに在住の方が、アトランタのスーパーでは、「Nappa cabbage」というのが、スーパーで売られていると書いておられました。
 
 そこで、我が「未来航路」デトロイト特派員のBさんに、デトロイトではどうかと聞いてみました。

「あれあれ、デトロイトでは、単純に、Nappaと書かれて売られています。アメリカで通用する日本語の一つです。」
 
 正解は、Nappa=白菜です。

<クイズ2の答え>
「おばあさん、この黄色い花はアブラナですか。」
「ちがう、これは、菜っ葉。」
「菜っ葉、小松菜?青梗菜?」
「違うって、正月に使う菜っ葉。正月菜。」
「雑煮に使うやつですか」
「そうそう、小松菜なんかより、葉っぱそのものがちょっと黄色がかっている。」
 ※上の写真の菜っ葉の背景は、不法投棄された産廃です。詳しくは、こちらへ。 
 

 現在の日本では狭義の菜の花=アブラナはどのくらい栽培されているか? | 目次へ |  

 近代以降は、菜種油は、重要な食用油としてその利用が広がっていきました。
 日本の植物油の消費量を注目してみると、戦前から、長く、大豆油が首位でした。ところが、菜種油の消費が次第に増加し、1989年には大豆油を抜いて、国内消費量のトップとなりました。

 しかし、菜種(アブラナ)の国内生産量については、それとは逆に最近減少の一途をたどっています。
 事情は、他の農産物と同じ、割高な国内製品が、外国からの輸入製品に取って代わられていったのです。

 第二次世界大戦直後は、まだ、栽培面積と生産量は拡大を続け、高度経済成長期の初期の1960(昭和30)年ころには、作付け面積約20万haに達しました。
 しかし、その後急速に、減少を始め、最近の状況は、下表のようになっています。


 <表の説明>
 菜種の作付け面積は、1999年以降、300ha前後で推移しています。
 同じく、収穫量は、600ton前後です。
 主産県は青森と鹿児島です。特に青森のシェアは高く、80%近くになります。
 農林水産省の統計は、主産県のみの数値を把握していますので、たとえ岐阜県のように、ほとんど栽培されていない県の分は、含まれていません。
 2001年の国内収穫量652tonから、菜種油は、349tonが搾油されました。しかし、菜種油の2001年の日本での総生産量は、88万3千ton。
 


 したがって、原料の菜種のほとんどは、輸入品ということになります。
 有効数字とかを無視して計算すれば、自給率は、0.03%です。 

ちなみに、私たちが普通に統計数値を調べる時によく使う「日本国勢図会」においては、2003/4版から、菜種の項目は削除されてしまいました。(--;)

 世界の菜種の生産は、2001年統計次のようになっています。


国名

生産量

輸出量

中国

11331千ton

カナダ

4926千ton

4032千ton

1位

インド

 4187千ton

ドイツ

 4160千ton

フランス

2874千ton

2245千ton

2位


 また、世界の菜種油の生産は次のようになっています。 (2001年統計) 

国名

生産量

中国

3675千ton

ドイツ

1779千ton

インド

1251千ton

カナダ

1139千ton

日本

 883千ton



 協同製油の菜種油(純国産) 価格1000円、送料840円

 ※協同製油については、下の説明参照 


 日本では、ほとんどの農産物がそうですが、菜種もまた、ほぼ 100%輸入に頼っていることがわかります。
 ちなみに、2001年の日本の菜種輸入総量の81%、1743千tonは、カナダから輸入されています。残りはオーストラリアです。

 しかし、どこの世界でも、こだわりの生産者がいるものです。
 実は、菜種生産においては、1997年から遺伝子組み換え品種の輸入が始まっています。もちろん、政府による「安全性の保障」はなされています。

 しかし、それに「危険」を感じ、あくまで、安全な「無添加国内産菜種使用油」の生産にこだわっている業者がいくつかあります。
 そのひとつに、福島県の菜種油工房 協同製油があります。

 社長の関根さんに電話で伺うと、昔ながらの手絞り製法で、ちょっと割高ですが「安全性、品質、風味」は抜群とのことです。原料は、青森県の下北半島の陸奥湾側にある、上北郡横浜町の菜の花だそうです。
 ※協同製油 福島県石川郡浅川町背戸谷地98-5 0247-36-3208 HPはこちらです。

 次は、「菜の花について考える」最終回、お隣の滋賀県の「菜の花エコプロジェクト」を紹介します。 


| メニューへ | | 前へ | | 次へ |