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菜の花について考える4

現代の菜の花について考えます。

 
 菜の花エコプロジェクト
 滋賀県の菜の花                                   | 目次へ |       

 「菜の花について考える3」では、現在の日本でアブラナの生産が行われ統計上把握されている所は、青森県と鹿児島県だけであることを指摘しました。

 ところが、以下の写真のように、一面の菜の花が広がっている場所が、我が岐阜県の西隣の滋賀県にあります。

※3枚のデジカメ写真の合成。右手の白い建物の後方に名神高速道路が走っています。

 以下次の項目で説明します。

1 菜の花畑の場所
2 なぜここに菜の花が
3 湖国菜の花エコプロジェクトとは
4 愛東町の試み


1 菜の花畑の場所
 
 この写真の菜の花畑は、滋賀県愛知郡愛東町の役場近くの光景です。
 愛東町とは滋賀県のどこにある町でしょうか。
 右の地図をご覧ください。

 滋賀県の琵琶湖東部の中心都市彦根から名神高速道路で10分もかからないところに八日市市があり、八日市インターチェンジがあります。

 愛東町役場は、八日市インターチェンジから、北東側に車で8分ほど走ったところにあります。
 インターをでて、愛知川(えちがわ)という川を越えてすぐです。

 上の菜の花畑の向こう、距離にして1キロぐらい先を名神高速道路が走っていますので、名神の側からも、菜の花畑の黄色い帯が確認できます。

 これまでも説明してきたように、本州中央部なら、菜の花の本来の開花時期は、3月から4月はじめです。
 しかし、ここでは、後で説明する理由から、4月下旬からゴールデンウィークにかけて満開になるように調整して栽培されていますので、これから5月下旬まで、みごとな菜の花畑を見ることができます。


2 なぜここに菜の花が  (菜の花エコプロジェクト)     ↑このページの先頭へ戻る

 滋賀県では、戦後の一時期は、菜の花の栽培面積は県内で合計10000haもありましたが、一時期は、ほとんどゼロにまでなってしまいました。

 ところが、この愛東町では、2004年には、菜の花栽培面積は、8haにまで回復してきているのです。
 ただの観賞用ならともかく、これだけの面積の菜の花畑があるのはなぜでしょうか。
 採算という点からは、非常に苦しいはずです。

 愛東町の菜の花栽培は、1999年から始まりました。
 単なる観賞用ではなく、菜の花エコプロジェクトという環境保護運動のひとつとしての菜の花の栽培でした。

 そもそも、琵琶湖のある滋賀県は、県ぐるみで環境問題を考え実践する長い歴史を持った県です。
 1977年、琵琶湖で赤潮が発生しました。琵琶湖は、滋賀県民にとっては「母なる湖」であり、滋賀県民のみならず、京都や大阪にも飲料水を供給する大事な湖です。

 この衝撃に危機感を募らせた自治体や住民団体は、汚染源の中心と見られていた有リン合成洗剤の使用禁止の運動を進めていきました。また、同時に、家庭の廃食油を回収し、粉石けんにリサイクルするシステムづくりが広がっていきました。
 こうして、「母なる湖 琵琶湖」を住民一人一人が守るという意識が高まっていきました。

 1991年には、日本で最初で唯一の環境専門の生活協同組合として、滋賀県環境生活協同組合が設立されています。

 折もおり、環境保護の先進地域であるヨーロッパでは、さらに新たな試みが進められていました。 
 石油資源の枯渇への対策、二酸化炭素・硫黄酸化物の排出削減などを目的として、ディーゼルエンジンなどの燃料を、化石燃料からBDF(植物油を原料とするバイオディーゼル燃料)へと転換する試みです。

 1999年にデンマークで開かれた第8回世界湖沼会議に出席した國松滋賀県知事は、
ドイツがバイオディーゼル燃料の拡大を国策として取り組んでいるのを知り衝撃を受けました。
 アウトバーンを140キロで走っている車の燃料が、なんと菜種油だったのです。

 かくて、滋賀県では、行政と住民団体とが連携し、菜の花を中核とするエコプロジェクト(環境保護運動)、湖国菜の花エコプロジェクトがスタートしたのです。

 たんなる、資源のリサイクルだけではなく、エネルギー問題の解決も含めた、壮大な環境保護プロジェクトです。
 ※滋賀県の広報のページより 
 


3 湖国菜の花エコプロジェクトとは             ↑このページの先頭へ戻る 

 湖国菜の花エコプロジェクトは、たんなる資源のリサイクルだけではなく、エネルギー問題の解決も含めた、壮大な環境保護プロジェクトです。
 そのサイクルは多くの要素を含んでいますが、基本構造は次の通りです。

  • 休耕田・転作田に菜の花を栽培し、菜種油を搾油。

  • 菜の花畑は、観光や環境学習用にも利用。

  • 菜種油は学校給食や一般家庭で使用。

  • 菜種の絞りかすは、有機肥料として活用。

  • 廃油は「廃油燃料化プラント」で精製処理し軽油の代替燃料BDFとして利用。

 つまり、菜種油の利用と廃油処理とを絡ませて、環境浄化だけでなく、エネルギー問題の解決をも図ろうとするものです。
 この運動は、現在では、愛東町のみならず、新旭町、守山市、長浜市、近江八幡市、八日市市など滋賀県各地に広がり、全国の自治体やNPOなどの中にも、参加するところが増えています。

 2001年4月28日には、滋賀県旭町で、全国で「菜の花プロジェクト」を実践している自治体・住民団体に呼びかけて、「菜の花サミット」が開催されました。
 この時は、27府県、500人以上が集まりました。
 ※詳しくは「菜の花プロジェクト ネットワーク」のサイトへどうぞ。 
 


4 愛東町の試み

 さて、愛東町です。
 愛東町では、町内を走る国道307号線の道の駅として、1995年にあいとうマーガレットステーションというのがオープンしました。役場のすぐ西側です。

 この施設は、そもそも、「花のある田園づくり」を意図して建設されたもので、現在の菜の花畑は、このマーガレットステーションを囲むように栽培されています。
 ※道の駅あいとうマーガレットステーションのHPはこちらです。 
 


    ※あいとうマーガレットステーションと菜の花畑(東側から、3枚のデジカメ写真の合成)

    ※あいとうマーガレットステーションと菜の花畑(西側から、3枚のデジカメ写真の合成)


もちろん、町には、菜種廃油からつくった燃料、BDFで動く公用車もあります。     

 ※1996年に稼働した廃食油燃料化プラント

 ※プラントといっても、本体はこれだけ。

 ※町の公用車

  ※ちゃんと「廃食油再生燃料使用車」と表示

  ※「菜の花ふりかけ」

 ※廃油からつくった粉石けん「愛シャボン」


 あいとうマーガレットステーションは道の駅ですから、店内には、いろいろなおみやげ物があります。
 残念ながら、菜種油は、昨年度産の分は売り切れてしまい、今年度の収穫待ちです。

 そのわかりに、上の商品を買ってきました。
 右は、菜の花の花びら入り「菜の花ふりかけ」。左は、廃油からつくられた粉石けんです。

 セイヨウカラシナではない本物の菜の花、一度ご覧になってください。チャンスは、たぶん5月半ばまであります。
 ※あいとうマーガレットステーションに問い合わせすれば、教えてもらえます。
   0749-46-1110 
 


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