岐阜県の東海道線あれこれ27
 岐阜県の東海道線についてあれこれ紹介します。
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 岐阜貨物ターミナル5 ターミナル駅・貨物列車点描1 11/11/14記述

 ここからの3ページ、27・28・29では、これまでの4ページの説明で漏れた、岐阜貨物ターミナル駅とその周辺の東海道線の貨物列車について、点描的に説明します。 
  ○岐阜貨物ターミナル駅に停車する列車  ・「表07 東海道線岐阜ターミナル発着貨物列車一覧
   ・「説明図20 岐阜貨物ターミナル時間別荷役列車
  ○例外のコンテナ列車 2071・2070列車  ・「説明図21 2071列車機回し説明図

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 岐阜貨物ターミナル駅に停車する列車

 まずは全体像を確認します。
 最初の23ページ(→)の表で確認したように、岐阜貨物ターミナル駅で見かけることができる貨物列車数は、
上下合わせて100本ほどになります。しかし、実際に同駅に着発し、荷役を行うコンテナ列車は、そのうちの一部分です。また、ずっと24時間中荷役を行っているわけではありません。
 以下の表は、岐阜ターミナル駅でコンテナの積み降ろしを行う列車の一覧です。
 これを見ると、まず本数では、岐阜貨物ターミナルで折り返し列車を各2本と数えて、
合計27本の着発・荷役があります。また、着発列車が集中する時間帯は、未明から昼過ぎまでは下り列車が多く、午後から深夜にかけては、上り列車が多くなっています。

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 上表のうち、黄色い列車は、岐阜貨物ターミナル駅で折り返す列車です。
 
2071・2070列車は名古屋貨物ターミナルから岐阜貨物ターミナルへ来てそこで荷役を行って、再び名古屋貨物ターミナルへ向かいます。
 
試2753
・2754は稲沢から岐阜貨物ターミナルへきて、名古屋貨物ターミナルへ向かいます。
 
3093・1096は名古屋貨物ターミナルから岐阜貨物ターミナルへきて、札幌ターミナルへ向かいます。
 このほかに、荷役(コンテナの積み降ろし)はしませんが、
6170(梅田-稲沢、紙返空、停車時間8:17−9:09)が中線に停車し、また、試2751・試2750(見たかぎりDD51牽引、名古屋ターミナル−稲沢、停車時間7:54−8:53)が発着一番線に停車します。二つの列車とも毎日運行されているわけではありません。また、停車時間帯が重なりますが、同じ日に2列車を同時には見ることができるのは希です。特に、試2751・試2750は素人には何のためにやってくるのかわからない、謎の列車です。(次ページで説明します。)
 さらに、深夜から早朝にかけても、
8481をはじめ4本の列車が、荷役はしませんが、荷役線などに停車します。 

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 もう少しわかりやすくするために、時間帯ごとにどんな列車が着発して荷役を行っているかを図で示した説明図をつくりました。



 これを見ると、発着線に停車して荷役する列車は、ほとんどが20分から30分前後で作業を終えて出発していくことがわかります。
 また、27本荷役列車のうち、20時から24時までの僅か4時間の間に、11列車が着発します。この時間帯が岐阜貨物ターミナル駅のラッシュアワーです。
 もっとも、通過列車という点で言うと、上り(東京方面)の0時台・1時台、下り(大阪方面)の2時台・3時台は、昼間の電車(西岐阜駅には1時間に4本停車するだけ)もびっくりするぐらいのラッシュです。
スーパーレールカーゴの上下それぞれの「電車」も、この時間帯に通過します。 


 写真27−01 23時前の岐阜貨物ターミナル駅 (撮影日 11/09/18)

 南側の着発2番線側はこの時間帯は荷役列車はいません。1番線側では荷役が行われています。コンテナホーム全体を、煌々とライトが照らします。  


 写真27−02 24時少し前の岐阜貨物ターミナル駅             (撮影日 11/10/07)

 この時間の着発線は、1番も2番も荷役中です。1番は東京発福岡ターミナル行き、2番は名古屋発新潟ターミナル行きです。  この写真は、貨物駅西の長良川鉄橋東詰にある江崎道(えざきどう)踏切(岐阜市内にある東海道線唯一の踏切)からの撮影です。 


 写真27−03・04 新潟行き列車                  (撮影日 11/09/28)

 江崎道踏切を通過する名古屋発新潟行き4085列車。米原から北陸本線に入って新潟へ向かいます。
 右はそのコンテナ列車。この写真は、シャッター速度を可能な限り速くして、何とか撮影できました。駅を出て長良川鉄橋へ向かう列車は、上り坂のためこの踏切の地点では、まだスピードが出ていません。それが撮影できる理由です。
 新潟行きが出てから12分後の0時7分に福岡行きが発車します。
 そのあとは駅は一休みの状態となります。煌々と照らし出していたライトは、半分ほどが消され、薄暗い状態となります。 

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 例外のコンテナ列車 2071・2070列車 

 説明図20を見れば、岐阜貨物ターミナル駅の場合は1時間以上停車(荷役)する列車は希であることがわかりますが、そんな中で、唯一例外的に「長居」する列車があります。
 12時42分に
2071列車として名古屋貨物ターミナルからやってきて着発2番線に入線し、16時12分に2070列車として出発し、再び名古屋貨物ターミナルへ戻る列車です。滞在時間、なんと3時間30分です。
 この列車はなかなか興味深い列車です。 


 写真27−05 名古屋-岐阜の折り返し便、2071列車が着発2番線に入ってきます。(撮影日 11/10/11)

 名古屋ターミナルから僅か40分の短い旅です。コンテナ車24両を引っ張ってきます。  


 写真27−06・07 早速のお仕事          (撮影日 11/10/11)


 機関車の停止予定地点には、係員が2名、この列車の到着を待っています。到着すると早速、作業にかかりました。何が起こるかというと、名古屋からやってきた列車がまた名古屋へ帰るための機関車の付け替え、つまり、専門用語で言う、「機回し」(機関車回しということでしょうか)が行われます。
 左の写真は、連結器から切り離された直後。右は、EF66−114が、単機で反対側へ向かうところです。
 以下の
説明図21地点の撮影です。(以下、EF66電気機関車の移動経路は説明図21をご覧ください。)
 係員の方はみなさん無線機をもっていて、能率的に作業しておられます。
 無線連絡の声が聞こえてきます。
 「下引き上げ線方面、信号よし」 

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 写真27−08 EF66が下引き上げ線へ入ってきました       (撮影日 11/11/07)

 構内の機関車入れ替え時には、必ず、係員の誘導が必要です。係員を乗せてポイントを通過し、下引き上げ線に入ろうとするEF66−120。機関車の位置は、説明図21の地点の少し手前です。撮影場所は長良川の堤防の上です。
 もちろんですが、上の写真とは、機関車も違えば、撮影日も違います。個人営業してますので、カメラも撮影者も一人です。(^_^)


 写真27−09・10 駅の西側から東側へ回ってきたEF66−35   (撮影日 11/10/15) 

 撮影地点は、写真27−09は説明図の地点、写真27−10は、上引き上げ線に入った説明図の地点。ちゃんと係員が誘導しています。ここでも無線を持ちながら、ポイントの切り替えを確認中です。
 そして、機関車はその都度停止しますが、発車の際には、大きく警笛を鳴らします。うるさいというより、機関車というこんな大きな物体が動くわけですから、むしろ警笛によって、身が引き締まる感覚となり、なかなかいい感じです。


 写真27−11 地点通過のEF66−114    写真27−12 まもなく連結、地点 (撮影日 11/10/11)

 あっという間に先ほどまでの列車の最後尾に、EF66が回ってきました。これで連結が済めば、機回し完了です。


 機回しと平行して、別の係員さんがあることをやっています。これも列車が逆方向へ向かうためには、必須の作業です。次の写真です。


 写真27−13・14 作業1         (撮影日 11/10/23)

 この日の機関車は、EF66−123です。機関車が離れて行ってしまったあと、一瞬無人となります。実は、この時係員の方の一人、構内移動用のスクーターに乗って、列車の反対側に行き、ある物体をもって、またこちらへやってきます。さてその物体とは・・・・?


 写真27−15・16 作業2  (撮影日 11/10/23) 

 係員の方はスクーターで運んできた物体をコンテナ車の手すりの下部に取り付けています。その物体とは、列車の最後尾を示す「テールランプ」、コンテナ列車の場合は、二つの赤い反射板でした。 


 写真27−17・18 連結部分、コンテナの取り付け部分のチェックも重要な仕事 (撮影日 11/10/14)


 この2071・2070列車は、伊達に長く逗留するわけではありません。
 他のコンテナ列車がコンテナ満載で着発線に入ってきたとしても、停車時間僅か20分では、そう多くのコンテナの積み降ろしはできません。というよりは、列車自体としては、遠方の目的地へ多くのコンテナを運ぶうちの一つとして、岐阜貨物ターミナル駅に立ち寄ったわけですから、それほど多くのコンテナの積み降ろしをする必然性はないわけです。最多編成のコンテナ車26両のコンテナ列車(1両に12ft〔5トン〕・コンテナを5個積載)には、通常、130個のコンテナが積載されていますが、そのうち10個ほども積み替えがあればいいところです。

 ところが、この
2071・2070列車は、本当にたくさんのコンテナを積み込みます。3時間30分の時間は無駄ではありません。


 写真27−19 積み降ろし(撮影日 11/11/07)

 写真27−20 積み降ろし(撮影日 11/10/22)

 左:通常、帰りの機関車のすぐ後には、カーボンブラック専用の20ftコンテナ(10トン)が2両ほど繋がれています。これは総入れ替えです。
 右:最後部の通常のコンテナもごっそり入れ替わります。


 写真27−21 出発まであと1時間、まだまだコンテナの積み降ろしが続きます。  (撮影日 11/11/07)


 う〜ん、ほとんど趣味の世界になってしまいました。
 ついでですから、もう1ページやります。我慢して、おつきあいください。 

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 【岐阜県の東海道線あれこれ27 岐阜貨物ターミナル駅5 参考文献一覧】
  このページの記述には、主に次の書物・論文を参考にしました。

日本貨物鉄道株式会社貨物鉄道百三十年史編纂委員会編『貨物鉄道百三十年史 上・中・下巻』(日本貨物鉄道株式会社 2007年)

 

日本貨物鉄道株式会社写真で見る貨物鉄道百三十年編集委員会編『写真で見る貨物鉄道百三十年』(日本貨物鉄道株式会社 2007年)

社団法人鉄道貨物協会編『2011 JR貨物時刻表 平成23年3月ダイヤ改正 創立60周年記念号』(鉄道貨物協会 2011年)

鉄道ジャーナル取材班「鉄道貨物輸送のシステムと現状」『鉄道ジャーナル2005年5月号』


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