岐阜県の東海道線あれこれ4
 写真を題材に、岐阜県の東海道線についてあれこれ紹介します。
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 木曽川鉄橋・長良川鉄橋・揖斐川鉄橋1

 このページでは、岐阜県内のJR東海道線に架かる大きな鉄橋、県境の木曽川鉄橋長良川鉄橋揖斐川鉄橋の3つについて、いずれも、最初に架橋された当時の鉄橋を撮した写真を利用することができましたので、現在の写真と比較しながら、いろいろお話をします。
 テーマは、鉄橋の今昔です。


 まずは3鉄橋の位置と架橋年代です

 伊勢湾の一番奥まった部分で海に注ぐ木曽・長良・揖斐の3川ですが、東海道線は、上の地図8のように渡河しています。木曽川は愛知県と岐阜県の県境をなしています。
 写真のイメージでも分かりますが、川の長さ・流域面積では、
木曽・長良・揖斐の順となります。
 
 のちの東海道線と呼ばれる東西幹線が完成するのは、1889(明治22)年です。4月に静岡−浜松間が、7月に琵琶湖東岸の馬場−深谷間が開通して全線が結ばれました。
 岐阜県では、最初に西の滋賀県長浜方面から鉄道が伸びてきましたから、全線開通より早く、
揖斐川・長良川鉄橋は1886年に完成し、遅れて翌87年には木曽川鉄橋が完成しました。
 つまり、3鉄橋は、今から120年余り前に架橋されました。

 
木曽川鉄橋が完成し、愛知県一ノ宮と加納停車場(現在の岐阜駅)が結ばれた1887年の時点で、名古屋と福井県敦賀が鉄道で結ばれました。 


明治時代の東京−京都・大阪間の鉄道建設に関する年表 
年・月 開通区間及び事件
1882年 03 金ヶ崎−長浜(38.6km)※途中の柳ヶ瀬トンネルは未開通。2年後、1884年開通。(42.5km) 
05 大津−長浜間に太湖汽船開業
11 長浜停車場駅舎完成(現存する最古の駅舎)
1883年 05 長浜−関ヶ原(23km)
1884年 05 関ヶ原−大垣(13.6km)
1886年 03 武豊−大府−熱田(33.2km)  05熱田−一ノ宮  06一ノ宮−木曽川 
07 幹線鉄道建設を中山道から東海道に変更 伊藤内閣総理大臣が東海道幹線鉄道着工指令
11 横浜−大府間、建設工事開始
12 揖斐川橋梁、長良川橋梁完成(木曽川橋梁は建設中)
1887年 01 大垣−加納(岐阜) 04加納−木曽川 ※これにより金ヶ崎−武豊間開通
07 横浜−国府津(神奈川県 49.8km)
1888年 09 大府−浜松(89.4km) 03加納停車場を西へ移転 12加納停車場を岐阜停車場と改称
1889年 02 国府津−御殿場−静岡(114.8km)
04 静岡−浜松(76.3km) ※新橋−長浜間に直通列車運転開始 琵琶湖の太湖汽船を利用して新橋−神戸間の列車・蒸気船輸送完成
07 湖東線 馬場(現膳所)−米原−深谷(69.6km) 米原−長浜(7.4km)
鉄道による新橋−神戸間全通
1891年 10 濃尾大地震発生 木曽川・長良川・揖斐川橋梁損壊
  
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 木曽川鉄橋

 3鉄橋の中では一番遅くできた木曽川鉄橋を一番はじめに紹介します。
 実はあまり話題性がないので、さっさとすませてしまおうというわけです。

 ただし、当時の鉄橋の写真で、ここに掲載できるものを探すのには苦労しました。たとえば、日本国有鉄道編『日本国有鉄道百年写真史』(1972年)には、鉄橋の基部からみた大写しの写真が掲載されていますが、発行年から見て、私が無断で複写できるものではありません。
 以下の写真は、1911(明治44)年に岐阜県が編纂した『岐阜県写真帖』(P22)からの複写です。

 この写真は、木曽川北岸の笠松町の南端から東(上流方向)の木曽川鉄橋を臨んで撮影されたものです。
 
木曽川鉄橋の当時の長さは、571.2mで、3川の鉄橋中では最長です。
 しかし、同じころに建設が進んでいた、静岡県の
大井川鉄橋(島田−金谷間)や天竜川鉄橋(浜松−中泉間)は、いずれも全長1000m余りの長大橋でしたから、木曽川鉄橋は長いとはいえ、それほどの難工事ではありませんでした。

 下は上の写真の鉄橋のみの拡大図です。
 鉄橋の構造はのちに説明する
長良川鉄橋揖斐川鉄橋と同じで、公称200フィート(実長63m39.8cm)のワーレントラスを9個使っています。
   ※ちなみに最長は大井川鉄橋で、200フィートワーレントラスを19連使っていました。


 上の写真とほぼ同じ位置(現在の笠松競馬場の南側の堤防)から見たJR東海道線木曽川鉄橋。ちょっと見づらいですが、鉄橋上で上下線がすれ違おうとしています。
 ところで、左から3つ目と4つ目のトラスの継ぎ目になにやら塔のようなものが見えますが、なんだと思いますか?(撮影日 07/12/26)

 上の写真の塔のようなものは、実は観覧車です。

 木曽川の上流にある、河川環境楽園の中にある
岐阜県世界淡水魚園オアシスパーク HPはこちら→)の観覧車です。高さは70mです。
(撮影日 07/12/26)

 
橋脚がたくさん見えますが、実は、白っぽい橋脚は背後にある道路橋のそれです。

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 木曽川鉄橋は大きな鉄橋で、それなりにドラマはあると思いますが、自分の生活圏とは少し離れた愛知県との県境にあるため、撮影した写真が少なく、何のこだわりもなくこれで終わりです。
 ページを変えて、「
あれこれ5 木曽川鉄橋・長良川鉄橋・揖斐川鉄橋2」は長良川鉄橋について、「あれこれ木6 木曽川鉄橋・長良川鉄橋・揖斐川鉄橋3」は揖斐川鉄橋について、続けてお話しします。


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