岐阜県の東海道線あれこれ3
 写真を題材に、岐阜県の東海道線についてあれこれ紹介します。
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 JR「中山道線」と県境2

 JR「中山道線」の続きです。
 旧中山道と現JR東海道線が交差する踏切は、岐阜県内に3カ所しかありません。
 一つは垂井町の出屋敷踏切です、残る二つは?


 残る二つは関ヶ原町内の県境手前にあります

 岐阜県内にあるJR東海道線と旧中山道がクロスする踏切3カ所のうち、残る2カ所は、関ヶ原町の県境側にあります。
 関ヶ原町山中の
山中踏切と今須の車返(くるまがえし)踏切です。三カ所まとめて以下の地図に示します。 

 岐阜県・滋賀県境の旧中山道とJR東海道線・新幹線の路線の比較図です。
 上に登場した、垂井町の
出屋敷踏切、また、下で紹介する山中踏切車返踏切、そして、新幹線が旧中山道を高架で越え次にJR東海道線の下を通過しているという珍しい光景が見られる、山中集落のポイントを示しました。

上の地図は、NASAのWorld Wind( NASA World Wind http://worldwind.arc.nasa.gov/index.html)の写真から作製しました。


 関ヶ原町山中の山中踏切

 現関ヶ原町の中心部、旧関ヶ原宿では、北から順にJR東海道線・国道21号線(旧中山道とほとんど重複)・東海道新幹線の順となっています。

 西進すると宿の西に山中集落がありますが、ここでは、北西側からJR東海道線、旧中山道、国道21号線と並び、その3線を貫く形で東海道新幹線が最短距離で通っています。

 上からJR東海道線、その下をくぐる新幹線、そして、旧中山道(手前の道ではなく中央の家の前の道)です。
 新幹線が在来線の下をくぐっている場所は、そう多くはないと思いますがいかがでしょうか?(撮影日 07/12/08)


 山中の集落を抜けて西へ進むと、JR東海道線を渡る踏切があります。山中踏切です。

 旧街道の旅を楽しみには絶好の小春日和のこの日、親子連れが、旧中山道ウォークを楽しんでおられました。
 通過するのは米原行きの普通電車です。
(撮影日 07/11/23)

 同じ場所を通過する富山発名古屋行き上り、しらさぎ8号。
(撮影日 07/11/23)


 この写真については、「えっ」と思っていただくと撮影者の苦労が報われます。
 
上り電車が通過中なのに撮影者の私は、下り線の上、踏切の中にいます。これは一体・・・・。
 もちろん、遮断機が下りているのにそれをくぐって入ったなどと言う
ルール違反はしていません。

 実は、しらさぎ号が通過しているにもかかわらず、山中踏切は、遮断機は降りておらず、警報機もなっていませんでした。ではそのからくりは?


 上り線を特急が走っていても、下り線に普通に立って写真撮影ができる山中踏切の謎とは・・・・。
 正解は、上下線と旧中山道が下の地図のようになっているからです。

上の写真は、国土交通省のウェブマッピングシステム(試作版)のカラー空中写真から引用しました。国土交通省ウェブマッピングシステム http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/)の写真から作製しました。

 つまり、この踏切のすぐ北側(関ヶ原側)で上下線が2本に別れ、旧中山道はその間を通っているからです。言い換えれば、山中踏切は、下り線のみをクロスする踏切だったのです。 


 関ヶ原町今須の車返踏切

 さて、もう一カ所、岐阜県にある、旧中山道とJR東海道線がクロスする三カ所目の踏切、車返踏切は、関ヶ原町今須集落から県境へ向かう場所にあります。
 まずは地図で確認しましょう。

上の写真は、国土交通省のウェブマッピングシステム(試作版)のカラー空中写真から引用しました。国土交通省ウェブマッピングシステム http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/)の写真から作製しました。

 下がその車返踏切です。

 旧中山道今須宿の西端から現在の国道21号線を越えて、車返踏切を撮影。南から北を向いて撮影しています。
(撮影日 07/12/08)

 この写真を撮影した場所は、旧中山道の今須宿の出口の所です。バス停は「西今須」です。
 横切っている広い道は
国道21号線です。
 
 踏切の向こうの赤い屋根の工場に沿って道は西に向かい、100mも行かないうちに、
岐阜県と滋賀県の県境に至ります。昔なら美濃と近江の国境です。 


 美濃と近江の境です

 かの川端康成の名作、『雪国』に出てくる国境、上野と越後の国境は、長いトンネルを抜けていかなければなりませんでした。
 しかし、中山道の
近江美濃の国境にあるのは、下の写真の通り、幅30cm弱の溝です。

 県境(国境)の標識。
 写真の
左側(東側)は岐阜県(美濃国)、右側(西側)は滋賀県(近江国)

 標識の後をJR東海道線普通電車が通過中です。
(撮影日 07/12/08)
 


 単なる境ではありません 文化圏の境です

 しかし、この国境は実は、偉大な境目です。

 左は、岐阜県関ヶ原町今須の田中菓子舗、右は滋賀県米原市柏原のコンビニ・ローソン。

 国境を挟んで2km程の距離にある上の写真の二つのお店(地図で位置関係を確認してください↑)では、同じ商品でも、まったく異なるタイプのものを販売しています。
 それが下の商品です。


 これが噂の、日清「どん兵衛」のWEST版とEAST版です。
 有名な話ですが、東日本と西日本とでは食文化が違うことにより、食べ物にいろいろな違いがあります。その典型例のひとつが、きつねうどんなど麺類の味付けです。

 日清食品は、どん兵衛の製造・販売にあたり、東海道筋の駅のうどん屋さんをくまなくマーケティングし、スープの違いに着目して、
東日本と西日本とでは異なる仕様のどん兵衛をつくりあげました。

詳しくは、「目から鱗の話『日清どん兵衛きつねうどん」の東西比較』をご覧ください。このページは、2001年に初版を作りましたが、これを契機に、この度、2007年改訂版にパワーアップしました。

 その東西「どん兵衛」の境がこの岐阜(美濃)と滋賀(近江)の国境です。
 もう少し詳しく境界を言うと、西日本=和歌山・奈良・滋賀・福井・石川・富山、 東日本=三重・岐阜・新潟・長野です。


EAST版(東日本版) WEST版(西日本版)
 

 
 パッケージの中央左端に(E)の印。
「鰹だし」です。
 関ヶ原超今須の町の駄菓子屋さん、田中菓子補で購入しました。この店が、JR中山道線沿いの美濃の国の中で最も西よりです。

 
 パッケージ中央左端に(W)の印。
「鰹・昆布だし」です。
 左の駄菓子屋さんから、国境を越えて国道21号線を2kmほど西に行ったところにある、ローソンで購入しました。近江の国で最も国境よりの店舗です。

 つまり、岐阜(美濃)と滋賀(近江)のこの国境は、東日本文化圏と西日本文化圏の境界となっているのです。
 いろいろ寄り道をしましたが、これで岐阜県内のJR「中山道」線とそれとクロスする踏切等の話題を終わります。

 次は、長良川鉄橋と揖斐川鉄橋についての話です。

 夕陽を浴びながら美濃と近江の国境(くにざかい)を越えて、岐阜県から滋賀県に入る米原行き快速電車。カーブの部分、先頭から3両目と4両目あたりが国境です。(撮影日 07/12/08)


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