岐阜の原風景・現風景4
 写真を題材に、岐阜の「名所」を紹介します。
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 岐阜シティ・タワー43 −新しい岐阜のランドマークタワーの誕生−その2
 
 岐阜駅前再開発ともう一つの高層ビル

 JR岐阜駅前の再開発は、この岐阜シティ・タワー43にとどまりません。

 2007年6月25日、「
問屋町西部南街区市街地再開発準備組合」(山内道夫理事長)が繊維問屋街の一角を占める1.1haの土地に、地上37階地下1階建ての136mの高層ビルを建設することを発表しました。場所は、シティ・タワー43の通りを挟んですぐ北側です。

 このビルにはアパレル関係の商業施設と住宅などからなる複合ビルとなる予定です。1、2階が商業施設、1−6階が業務施設、7−37階が分譲マンション(約200戸)という構想です。
 当初は25階建ての計画でしたが、シティ・タワー43の分譲マンションが即日完売したことから、マンション部分がさらに12階分が上乗せされました。
 2009年度着工、
2011年度完成とのことです。
  ※以上の記述は、『中日新聞』2007年6月26日朝刊によりました。

 これが完成すると岐阜駅前に「
双子摩天楼」ができあがることになります。 


 シティ・タワー43は岐阜駅北口駅前広場の西に隣接しています。新ビルは、そのすぐ北側に建設される予定です。

上の地図は、グーグル・アースGoogle Earth home http://earth.google.com/)の写真から作製しました。


 再開発の地価への影響

 この岐阜駅前の再開発は、岐阜市の地価の動向にも影響をあたえました。

 毎年8月2日に発表される「
路線地価」の岐阜市の最高価格地点は、昨年2006(平成18)年から、その前年までの「パルコ前神田町通」から、「吉野町5丁目大岐阜ビル前岐阜駅前通」(大岐阜ビルは上の写真に示してあります)へと移りました。 
 つまり、JR岐阜駅前通が岐阜市内の地価の最高点となったのです。これは、今年2007年も同じ結果となっています。
 しかも、2007年には、バブル崩壊以来15年ぶりに
最高路線価は上昇に転じました。

 駅前再開発の好影響です。 


 【岐阜市の路線地価の最高点の変遷】
 バブル期までは、
路線価格の最高地点は、全国的に有名な繁華街、柳ヶ瀬通のビクタービル前(左の地図の地点)でした。
ちなみに、この場所の、1992(平成4)年の地価(1平方メートルあたり)は424万円でした。
 翌1993年からは路線価最高価格地点は、
パルコ前の神田町通9丁目(地図地点)に移ります。
 1993年からはバブル崩壊による地価の下落が始まり、同地点は93年から2005年まで連続最高価格地点となるものの、地価そのものは、
93年358万円→05年42万円と大幅に下落し続けます。
 そして、2006(平成18)年からは、最高価格地点は
吉野町5丁目の大岐阜ビル前駅前通(地図地点)に移りました。06年の価格は、05年より更に下がって、41万円となります。そして、07年は、同じく大岐阜ビル前となりましたが、地価は、バブル崩壊以後15年ぶりに上昇し、42万円となりました。

地価の変遷や、最高路線価格については、クイズ現代社会:「現代経済の諸相 地価」で説明しています。
こちらです。→

上の地図は、グーグル・アースGoogle Earth home http://earth.google.com/)の写真から作製しました。


 タワーに登ってみました

 さてさてお待たせしました。
 シティ・タワー43の
43階からの眺望です。

 シティ・タワー43の売りの1つは、最上階の43階が岐阜市の管轄となっていることによって、
無料の展望室が設けられており、1階からの直通エレベーターで登ることができ、43階からの眺望が楽しめることです。

 10月28日と11月18日に登ってみました。以下はその時の写真です。

 43階に上る専用エレベーターの入口は、ビルの北側の通りに面した入口から入ります。
 10月の誕生当初は、1時間待ち、2時間待ちという大人気でしたが、その後はそれほどのことはありません。左の写真の10月28日(日)は30分待ち(歩道に少し行列ができています)、11月18日(日)は5分待ちでした。
 今後も特別な日(例 クリスマスイブ)以外は、大行列にはならないでしょう。(撮影日 07/10/28)


 よくあるパターンですが、エレベーター内部には、階数表示と地上からの高さ表示があります。
 もちろん、高速エレベーターですから、あっという間に到着です。今まで経験がない岐阜県人ですから、「お〜」となりますが、東京の方なら、あちこちで経験しておあれることでしょう。(撮影日 07/10/28)


 名古屋方面の眺望です。
 中央地平線上の小さな2本の点は、名古屋駅前のJR東海ツインタワーです。

 手前の森は、岐阜市内加納城址の公園です。

 その中間の緑の帯は、木曽川の堤防です。(撮影日 07/10/28)


 JR岐阜駅と長良口(北口)の駅前広場です。
 現在まだ整備中です。完成すると、スカイデッキ(2階建ての歩道)やバス・タクシー乗り場、駐車場等が整備されます。
 駅から真っ直ぐ東に延びている線路はJR高山線です。名古屋へ向かう東海道線は、右へ90度カーブしています。JRの駅の東で名鉄本線が下をくぐっています。左手が名鉄岐阜駅で1番線に特急電車が停車しています。(撮影日 07/10/28)


 金華山及び柳ヶ瀬等岐阜市の中心部方面です。
 左手の高い白いビル(屋上に明るいネオンサインがある)は岐阜高島屋です。その手前の杜は、金(こがね)神社の社叢です。(撮影日 07/10/28)


 北西方面の眺望です。中央の川は長良川、橋は、大縄場大橋です。
 遠方の山々の手前までが濃尾平野です。
 山々は、手前から岐阜市と本巣市の境の小丘陵の船木山、本巣市の山々、一番奥は福井県との県境をなす揖斐の山々です。船木山の麓に私の家があります。(撮影日 07/10/28)


 早くも10万人目

 シティ・タワー43の43階の展望室へ登った人は、2007年11月21日で10万人となりました。

 晴の10万人目となった岐阜県下呂市の女性には、記念品が渡されました。10月13日の開業から、40日目の達成で、岐阜市当局の予想より2週間早い達成だそうです。この1ヶ月あまりに毎日平均2500人が展望室へ訪れたことになります。
  ※『岐阜新聞』11月22日朝刊30面)

 というと、何も問題なく順調に見えますが、いろいろ課題もあります。
 確かに、43階からの眺望は魅力的です。
 昼は昼なりに、また、下に示すように夜景も見応えがあります。 

 夜景です。
 左端の通りは、忠節橋通り、中央やや右の明るいビルが岐阜高島屋です。その周辺が柳ヶ瀬です。高島屋の屋上のネオンのすぐ上が、金華橋です。長良川が横に黒く帯状に見えます。
 三脚を持ち込んで、シャッタースピード4秒で撮影しました。(撮影日 07/11/18)


 名古屋方面の夜景です。中央の高いビルは、名古屋駅前のJR東海ツインタワーなどです。私のカメラの12倍ズームでは、これが限界です。(撮影日 07/11/18)


 課題1 展望室は観光施設に成り得るか

 しかし、この43階の展望室が、横浜ランドマークタワーのような、観光客を集める施設として十分かどうかというと、答えは、「No」です。

 43階にはレストランがあり、開闢以来人気は上々です。
 しかし、展望室は、正直言って、小さなものです。東京タワーや渋谷サンシャイン、横浜ランドマークタワーなど、
首都圏の高層ビル等のそれとは、まったく比べものにならない貧弱なものです。

 これが展望室。(撮影日 07/10/28)
 窓は、東側のものです。私は、北側の窓を背に立ってこの写真を写していますから、大きさはおよそ想像が付くと思います。43階の北東側の一画です。
 左手奥のカウンターの所より南の部分が、レストランです。レストランは、南半分の東西に渡ってあるそうです。

 しかし、展望室目当ての一般客向けには、このフロアーがあるだけです。
 もちろん、
土産物売り場はありません。「43階サブレ」も、「43階最中」も、「43階キーホルダー」も何もありません。

 そして、展望室は、北西側にもあるそうですが、私が来た2回は、北東側のみの公開でした。したがって、天気は最上でしたが、夕日は見ることはできませんでした。方向が反対になってしまいます。

 これでは、自ずと限界があることはおわかりいただけると思います。
 43階の展望室は岐阜市が管理し運営しています。
 民間資本が入らないとこんなものかなと思いますが、まったくもの足りません。

 43階展望室。JR岐阜駅1番ホームからの撮影。(撮影日 07/11/24)
 半円形の南側は東西ともレストランです。北東部分が私が2階登った一般展望室があるところです。
 撮影した時間は展望室オープン(10時)前ですから中に人影は見えません。

 北西部分(西側、伊吹山が展望できる位置)にも一般展望室があるそうですが、私はまだ入っていません。


 課題2 この高層住宅の住民の動きは

 もう一つ懸念されることは、このビルの立地条件の便利さです。
 ビル2階の出口から
岐阜駅の改札口までは歩いて3分、そして、その駅から名古屋まで新快速電車で18分です。

 タワー住民は、貧弱な岐阜市のショップを見放して、名古屋へ出かけはしないでしょうか?

 岐阜駅から至近距離、そして、名古屋駅までも近い。
 名古屋郊外に住んでいる人より、よほど名古屋駅に近いことになります。

駅名

新快速
5304F

大垣

0702

穂積

0708

西岐阜

0711

岐阜

0715

木曽川

一宮

0723

稲沢

清洲

枇杷島

名古屋

0733

 岐阜駅を発車しようとしている電車は、豊橋行き「特別快速電車」です。新快速特別快速電車は、朝夕のラッシュ時の数本を除くと、岐阜−名古屋間18分で結んでいます。
 JR岐阜駅1番ホームからの撮影。(撮影日 07/11/24)


 岐阜市は、現在躍起になって、岐阜市を魅力ある都市へ変える手だてをうっています。

 たとえば、私たちが関係する教育の分野では、岐阜市立の商業高校である
岐阜市立岐阜商業高等学校(別に県立岐阜商業高等学校もありますのでお間違えなく)を京都にある学校法人の立命館に移譲し、「立命館大学付属岐阜高等学校」(名称は私の想像)に切り替えようとする計画が進められています。

 岐阜地区は東京都や愛知県のように、公立高校より優先させて進学を考えるような有名私立高等学校は存在しません。
 シティ・タワー43のマンション分譲の募集があったとき、さる愛知県在住の方から次のような問い合わせ電話が岐阜県教育委員会にあったと噂されています。
「愛知県に住んでいるトヨタ自動車に勤めるものだが、今度岐阜駅前の高層マンションに住みたい。ついては。子どもを通学させるにふさわしい有名私立高等学校を教えて欲しい。」

 市立岐阜商業の立命館移譲は、こういう
ブランド私学志向の要望に応えるものといえるでしょう。


 いくら駅前にたくさんの
高層住宅という「村」を作っても、岐阜市そのものが魅力がない町のままでは、その住民は真の岐阜市民となってはくれないということは容易に予想されます。

 ハコモノだけ作ればそれでいいという時代は終わっています。
 さて、この先どうなりますでしょうか?

 昇る朝日とシティ・タワー43。(伊自良川の長良川への合流地点手前の堤防から撮影 撮影日 07/10/22)
 この高層ビルは本当に岐阜市の復活に繋がるでしょうか?


【追記】2008年1月20日
 上に書いた段階では、最上階43階展望室は、東側のみが一般に公開されていました。
 
2007年12月から西側の展望室の公開も始まりました。2008年1月に行ってきましたので、次のページで紹介します。


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