旧名鉄揖斐線・美濃町線車両の嫁ぎ先のうち、最大手は、福井県越前市に本社のある福井鉄道です。
以下、合計20両が福井へ向かいます。
車両名 |
数 |
モ770形 |
4編成×2=8両 |
モ802、803 |
2両 |
モ880形 |
5編成×2=10両 |
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そのうちの、第一陣として、9月下旬から、10月上旬にかけて、モ802とモ803の2両と、モ770形の4編成8両が岐阜から運ばれました。(これらの車両は、05/12/03現在、武生市の福井鉄道武生車両工場に留置されています。)
福井鉄道は、どうして、一度に20両もの車両を購入することになったのでしょうか?
そもそも、福井鉄道とはどんな会社でしょうか?
福井鉄道は、福井市近辺の中小私鉄が合併して1945年に設立され、1962年には名鉄系列に入っています。以前は、複数の鉄道路線をもっていましたが、モータリゼーションの波に押されて廃線となり、現在は、鉄道路線は福武線のみとなりました。バス路線はたくさんもっています。
福武線は、福井市内とその南にある武生新駅(越前市)を結ぶ21.4kmの路線です。
福井市街地は道路との併用軌道、郊外は専用鉄道線という形体で、まるで、旧岐阜市内線と揖斐線を彷彿とさせる路線です。
ところが、珍しいことに、福武線では鉄道線用の床が高い鉄道線用の大型車両がそのまま市内地の軌道に入っていて、大型車両が道路の中央を、脇に自動車を従えて走っています。
そのため、路面区間の交通量と乗降客が多い場所では、乗り降りが非常に苦しい状況となっていました。また、車両の老朽化も進んでいました。
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写真で見ると、本当に、町の中の道路を普通の大きな電車が走っています。 私はまだ福井鉄道には乗ったことがありません。他の方のHPを参照ください。
taniguchiさんの「北陸私鉄紀行」はこちらです。 その中の福井鉄道のページはこちらです。
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このままでは、地域住民にも見放されて、経営危機に陥ると判断した同社は、名鉄車両が大量に放出されるのを好機ととらえました。すなわち、これまで所有している24両のうち20両を名鉄からの購入車両と入れ替え、さらに、その車両の高さに合わせて、鉄道駅のホームを従来の鉄道線用の高さ88cmから、旧名鉄線用の32cmに下げる工事も行うという、起死回生の作戦を考えたのです。
これには総費用3億3000万円が見込まれ、国や沿線自治体の補助も得るとのことです。
つまり、沿線自治体の理解を得て、「少子高齢化が進む中、安全で乗りやすい電車として生き残りを図る」というビジョンです。
※『岐阜新聞』2005年11月22日朝刊の記事を参考にしました。
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