名鉄揖斐線・廃線物語16
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 □廃線後その2 嫁ぎ先、豊橋
    
 市ノ坪検査場 平成17年11月                  

 2005年11月、廃線から7ヶ月あまりの時間が経ち、市ノ坪の車庫は寂しくなりました。

 旧揖斐線、美濃町線の電車の半数以上は、豊橋鉄道や福井鉄道などに運ばれ、一部はそこで活躍しはじめました。
 今回は、市ノ坪の現在の様子と、両鉄道での旧名鉄線車両の活躍をレポートします。


左:2005年4月10日の市ノ坪検査場。
 この時はまだ、市内線、美濃町線、揖斐線のすべての電車が滞留していました。(撮影日 05/04/10)

上:2005年5月8日の市ノ坪。
 左の写真の赤い塗装は美濃町線の
モ880形。右端は、揖斐線のモ770形。
 右の写真の左側は、揖斐線の
モ780形。モ780形は、全部で7両でしたが、この時すでに3両は、豊橋鉄道に運ばれていました。右は、モ770形です。(撮影日 05/05/08)


 上と下の写真は、2005年11月初めの市ノ坪検査場の様子です。
 上は東側の様子で、停車線の一番奥に、解体予定や行き先不明の、
モ570形、モ600形(モ606)、モ870形(札幌市電から来た車両)などが残されています。
 写真の右手には、やがて、福井鉄道に譲渡される予定の
モ880形が留置されています。(撮影日 05/11/05)

 下は、検査場西側の様子で、旧美濃町線の市ノ坪駅のホームに、
モ510形の2両、モ513モ514のみが主役になって止まっています。(撮影日 05/11/05) 

 モ510形について、補足します。
 
モ513モ514については、前ページで紹介したように、私も応援する「丸窓電車を保存する会」が活動しており、募金が集められています。(ホームページはこちらです。
 ところが、『岐阜新聞』10月14日付け朝刊によると、「赤い電車友の会」の役員の方々が、「丸窓電車を保存する会」とは別に、「赤白電車保存委員会」を結成され、谷汲駅にモ510形を保存しようと運動を開始されました。

 「赤い電車友の会」は、谷汲線の廃止後、谷汲駅に昭和初期製造のモ750形を保存することに成功した皆さんです。
 今度はその隣に、モ510形をならべて保存しようと計画されています。


 くれぐれも共倒れにならずに、1両ずつ保存ということになればいいのですが・・・。


 以前の写真に写っていた車両のうち、嫁ぎ先が決まった30両は、次のように移動していきました。(一部はこれから)

車両名

移動先・時期

モ591・592

2両

旧式ながら冷房化されていた、この2両は高知県の土佐電鉄に譲渡。05/11現在は、大阪の工場で改装中。未冷房化車両のモ593は行き先不明。

モ770形

4×2=8両

全4編成が福井鉄道へ。すでにすべてが運ばれ、改造中。

モ780形

7両

全7両が豊橋鉄道へ。05/11現在、改装がすんだ3両が運転中。

モ800形

3両

1両は豊橋鉄道へ。改装が済み、05/08/02より運転中。
2両は、福井鉄道に運ばれ、改装中。

モ880形

5×2=10両

福井鉄道へ譲渡決定。(2005/11現在、まだ市ノ坪にいます。)


2005/11/27現在、行き先が不明な車両は以下のようになっています。(11両)

車両名

説明

モ510形(モ513・514)

2両

大正時代製の丸窓電車

モ570形(モ571・572・574)

3両

市内線線用だった赤電車

モ593

1両

美濃町線専用だった旧塗装車両

モ606

1両

名鉄最初の600V・1500V併用車両

モ870形(モ871・872、875・876)

2編成4両

札幌市電出身


 11月26日には、旧美濃町線市ノ坪駅付近には、上の表にある「行き先不明車両」群が、まるで陳列されるように置かれていました。
 左:
モ593、中央:モ606、2列目:モ514、3列目:モ572 (撮影日 05/11/26)


 上の写真と同じ車両群を東側から撮影した写真です。
 左から、
モ574モ571モ513モ593モ606  (撮影日 05/11/26)


 上の写真と同じ車両群を東側正面から撮影した写真です。
 左から、
モ574モ571モ513モ514モ593   (撮影日 05/11/26)


 上の写真の車両群とは異なり、市ノ坪の一番東に離れて留置されている元札幌市電出身のモ870形の2編成4両。左、モ872モ871モ875モ876  (撮影日 05/11/26)


 豊橋鉄道                                      | このページの先頭へ |

 5月に豊橋鉄道に運ばれたモ801モ780形3両は、改造とラッピングが施され、モ801モ781は8月2日からデビューしました。
 続いて、
モ782モ783もデビューし、05/11/03現在、4両が走っています。

 旧名鉄車両が走る豊橋鉄道の東田線は、豊橋駅前から赤岩口までの所要時間22分の短い路線です。
 純粋な市街地の道路の上の軌道です。駅間距離も短く、もちろん揖斐線のように、時速70km以上で走るなんてことはできません。
 ただし、豊橋市内は岐阜市内と違って、軌道敷き内は自動車通行禁止ですから、渋滞でひどく遅れることはないようです。 


 モ801です。撮影場所は、赤岩車庫です。この日、私が撮影した時間帯は、たまたま車庫でお休み中でした。残念。
 
モ801は、車体全体のラッピングはされておらず、写真のように、下部に広告が付いている程度です。イメージは旧名鉄時代と同じです。
 赤岩車庫は、路線の一番東の終点、赤岩口電停から引き込み線で出入りするようになっています。(撮影日 05/11/03)


 同じく赤岩車庫にいる左モ784と右モ785
 左のモ784の方が、改装が進んでいるのがおわかりですね?そうです、連結器が取り外されています。
 改装がすむと、ラッピングです。
 黄色い電車は、旧名古屋市電の3103号です。大ベテランです。 (撮影日 05/11/03) 


 モ801の隣にいるのは、モ787、その前にいるのがモ786です。
 こちらの改装はどんな状況でしょうか。ちょっと詳しくは分かりません。 (撮影日 05/11/03)

 


 赤岩口電停で、少し待っていると、やって来ました。
 えび茶色のラップを施され現役復帰した
モ782です。赤岩口電停に停車中です。
 豊橋鉄道の他の車両ががたがたと走るのに対して、なつかしの
モ782は、「ウィーン」と心地よいモーター音を響かせて軽快に走ります。
 その気になれば、時速70km以上出せるわけですから・・・。
  ラッピングされている企業名は、「カスタムハウジングコーポレーション」。地元の会社ですね。多分。

(撮影日 05/06/10)


 モ782が豊橋駅前に向かったあと、赤岩口電停近くで昼食をとっていてちょっと目を離すと、なんとすぐにモ781がやって来て、赤岩口で折り返して、豊橋駅前に向かって出発してしまいました。
 あわてて自動車で豊橋駅前に向かっておいかけると、競輪場前電停を過ぎたところで、今度は運良く前方から
モ783がやって来ました。
 自動車内から2両のすれ違いを撮影したのが上の写真です。
 
 
モ781は「MARUEI」の、モ783は「トーリンホーム」の、ラッピングが施されています。  


 旧名鉄揖斐線車両を追いかけてきた私から見ると、こうして懐かしい車両が「現役復帰」しているのは、うれしい限りです。しかし、豊橋鉄道に旧名鉄揖斐線車両が入ったということは、それまでの豊橋鉄道の車両の中から引退する車両がでたということです。(急に車両数を増やして本数を増強するということはないでしょうから・・・。)
 そう言う観点から見ると、また、次の写真も興味深く見ることができると思います。

 何が言いたいかおわかりですね。

 車体のラッピング広告は、年度単位の契約だそうです。したがって、途中で新規導入となった旧名鉄揖斐線車両は、それまでのラッピングを受け継ぐことになります。その結果、逆に言えば、受け継がれた車両はお役ご免=引退ということになります。

 写真右から、「MRUEI」の3101号、「カスタムハウジング」の3102号、そして、「トーリンホーム」の3107号は、旧名古屋市電で活躍していた車両で大ベテランでしたが、今回引退ということになりました。

 ご苦労様でした。


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