私は、前作映画「always 続・3丁目の夕日」の鑑賞記(→2007年11月12日)で、2作目を褒めると同時に、一緒に映画を見た次男Yの質問に次のように答えています。
Y
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この映画の続編、続々三丁目の夕日はあるかな?」
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父
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「ない。いや、ない方がいいと思う。
今回の映画は昭和34年の設定だったが、その翌年は、安保闘争。そして、経済成長の時代にはいる。オリンピックは昭和39年。『貧しくてもみんなで支え合って何とか生きていけて、そして平和だった時代』というのは、30年代の中頃が限界だと思う。」
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前作の設定年代の1959(昭和34)年からは、確かに5年が経過しました。東京オリンピックが開催された年が舞台です。貧しくなくなったという点ではその通りです。
鈴木オートの一平君(小清水一輝)は、高校1年生になっており、エレキギターに凝っています。彼の部屋にはプラモデルなどちょっとお金を出した品物があふれています。
鈴木オートの住み込み従業員六ちゃん(堀北真希)は、21歳なってオシャレになり、最後はウェディングドレスを着てお嫁に行きます。
電車通りから横町への入り口の角にあった旧作の燃料屋さんは、喫茶店に変わりました。三丁目中の氷屋さんは廃業し、コカコーラの自動販売機が置かれています。
そして、鈴木オートの社長(堤真一)は、作業場が拡張され、二階に六ちゃんの部屋が増築されました。さらに、東京オリンピックを見るためにカラーTVを購入します。
5年の間に、確かにみんなちょっぴり豊かになりました。
だからと言って、その時代に葛藤がなかったわけではありません。
豊かになっていく中で、どこへどうやって向かっていくか。今回のテーマは、何を期待すべき幸福とするか、そして旅立ちの方法です。
六ちゃんは伴侶となる相手(森山未來)に何を求め、どんな家庭を築こうとするのでしょうか。
父の死とその思いを知り、またヒロミ(小雪)との間に子どもを授かった茶川竜之介(吉岡秀隆)は、これからどんな生き方をしていこうというのでしょうか。
才能にあふれ、茶川家に居場所のなくなる古行淳之介(須賀健太)は、何を志そうというのでしょうか。
それぞれの旅立ちに涙です。期待に違わず、いい作品です。 |