2012-03
| 日記のメニューへ | | 一つ前に戻る | | 次へ進む |
132 2012年01月29日(日) 映画『麒麟の翼』とPC復活    

 前のページで紹介した、我が家のソーテックのPCですが、1月28日(土)に無事戻ってきました。
 1月18日(水)に故障し、19日(木)に購入先の家電店に持っていき、9日目に帰還しました。
 最大の気がかりだったHD内のデータは、全く無事でした。おまけに、購入店5年補償の契約を結んでいましたから、修理代金は全くの無料で済みました。めでたしめでたしです。
 修理内容は予想通り、基盤の交換です。煙が出て停止しましたから、ホコリか何かが原因だったと思われます。次に「大事」に至らないように気をつけなければなりませんが、ホコリや最近いわれている静電気が原因となれば、日常的には打つ手はありません。もしもに備えて、データをせっせと外付けHDにコピーするしかありません。いい教訓になりました。


 さて、今日のメインの話題は、先週に続き、映画鑑賞記です。
 1月29日に、前日封切られたばかりの
作品、「麒麟の翼」(東宝映画 原作:東野圭吾 土井裕泰監督作品)です。先々週あたりからTVのCM、新聞等でたくさんの宣伝がなされている期待の映画です。結果はこうなりました。

麒麟の翼
お薦め人 お薦め度
(3点満点)
コ  メ  ン  ト

★★★  ちょっと甘めですね。何しろ「刑事加賀恭一郎」のファンですから。

妻(55歳)

★★  いい作品だけど、殺人事件だからね。諸手を挙げて感動というわけには・・・・。
 ※麒麟の翼の公式サイトはこちら
          →
http://www.shinzanmono-movie.jp/aboutthemovie/index.html  

 期待に違わず、いい映画でした。
 ただの推理やトリックだけに留まらず、刑事
加賀恭一郎(主演 阿部寛)曰く、「事件の捜査は、単なる犯人捜しに留まらず、関係者全員が幸せにならなければ」という視点に貫かれています。 


 この映画は、東野圭吾原作の刑事加賀恭一郎シリーズの一連の作品、つまり、2010年4月から放送された連続ドラマの日曜劇場『新参者』、及び2011年1月に放送されたスペシャルドラマ『東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画  赤い指 〜「新参者」加賀恭一郎再び!』の続編にあたります。
 そして、時系列順に示すと、2009年の世田谷西署時代の「赤い指」(女児殺人)事件、2010年に日本橋署に異動になって、新参者として活躍したマンション殺人事件、そして、今回の2011年に起こった日本橋上殺人事件という順になっています。

 一応続き物の体裁をとっていますので、「赤い指」(女児殺人)事件で加賀の
父親(元刑事山崎努)の病死を看取った看護婦金森登紀子(田中麗奈)や、マンション殺人事件で活躍した雑誌記者の青山亜美(黒木メイサ)などが当たり前の如く登場し、このシリーズを初めて見る人は、これらの脇役の予備知識がないと、全体の理解が薄っぺらくなります。

 さて、事件は、カネセキ金属製造本部長の
青柳武明(中井貴一)が、6月13日の夜に胸部を刺されて殺されたことからはじまります。その直後、現場近くから失業中の青年八島冬樹(三浦貴大)が同居中の中原香里(荒垣結衣)に電話し、「やばいことをした」と告げたあと、特別警戒中の警察官に追われ、交通事故にあって意識不明となります。(のち死亡)当然ながら、八島は被疑者となります。
 やがて、捜査が進むと、被害者青柳と容疑者八島の接点が見つかります。八島は派遣社員としてカネセキ金属の工場で働いたことがあり、その際に工場でのケガをしましたが、労災認定をしてもらえなかったことが判明します。
 青柳は被害者から、一転して、「不正があったため殺される理由があった人物」とされ、青柳の家族、長男悠人(松坂桃李)らは周囲の冷たい視線に晒されます。
 また、容疑者の同居人中原から見れば、「八島が人を殺すはずがない」という思いが捨てきれません。
 
 映画がはじまって65分、事態は膠着し、観客のフラストレーションも高まります。一方、捜査本部首脳は逆に安易に、「被疑者死亡」で書類送検をやってしまおうと焦ります。
 その時、
加賀刑事と本庁捜査一課の松宮刑事(溝端淳平)は、いつものように素朴な疑問から、真実に迫っていきます。
 被害者青柳は、なぜ、刺された場所(日本橋東側の江戸橋地下道)から数百メートルも歩いて、
日本橋の中央にある麒麟の像の前で倒れたのか?
 そもそも、自宅は練馬、勤務先は新宿の青柳が、何故土地勘のない日本橋に来たのか。
 八島は本当に青柳部長を殺害する程の動機を持っていたのか?  


 写真-01 映画の舞台、高速道路の下の日本橋。西側の呉服橋から撮影。 (撮影日 07/05/23)

 翼のある麒麟像は、橋の中央にあります。もともと日本橋は、江戸時代以来全国の街道の起点です。これは現在も変わっていません。(→詳しくは、目から鱗の話:「街道を歩く01 もちろん最初は「お江戸日本橋」」をご覧ください。)
 現在の日本橋は、1911年に架橋されましたが、この時に橋の中央に翼のある麒麟像がデザインされました。日本の道路の起点ですから、「日本のどこへでも飛び立っていける」との思いを込めての建造とのことです。 
 


 写真-02・03 日本橋上の麒麟像   (撮影日 左:07/06/13  右:07/05/23)


上の地図は、Google から正式にAPIキーを取得して挿入した、東京都中央区日本橋周辺の地図です。
  日本橋(地図中では、日本国道路元標と表記されている場所)及び人形町一帯、そして右端の水天宮が、物語の舞台となります。 

 妻が言うように、そもそもが殺人事件ですから、みんながみんなハッピーという映画にはなりません。
 その点から、そもそも、二人の合計評価★6点満点は難しいところです。戦争映画が「感動の名作」になりにくいのと同じです。

 それでも、さすが加賀恭一郎シリーズです。
 地道な捜査から、真実に迫っていきます。その謎解きは、人の心と心のすれ違いを上手に噛み合わせていく方法です。
 親と子がどうやって向き合えるか。親がわかっていないのか、子がわかっていないのか、それともその両方なのか。人が人の心と向き合うというのはどういうことなのか。

 本来の殺人事件解決サスペンスと、それを幾重にも包んだ親子の情愛、恋人同士の思い。驚きあり、涙ありのいい作品となりました。


| 一つ前に戻る | | 次へ進む |