2008-04
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107 2008年09月28 日(日) 鼠径ヘルニア入院・手術体験記その2 入院そして手術前     

 予定通り、9月19日(金)に入院しその日に手術、予定より1日遅れて、9月23日(火)の朝、退院してきました。簡単な入院手術なので何も書くことはないと思っていましたが、やはり、ドラマはありました。
 
鼠径ヘルニアについては、普通に Google や Yahoo!Japan で検索すれば、いくつかの「入院体験記」が拾えます。その中には、なかなかの秀作もあります。
 ただし、やはり、病気というものは人によってそれぞれです。詳しい報告がたくさんある方が、次の人のためになると考え、それなりの「入院体験記」を書くことにしました。


<鼠径ヘルニア入院・手術体験記の全体目次>
 序 入院前の診断
 1 まずは病院の選択 言い換えると入院日数の選択についてです
 2 入院 美人看護師との再会 そして手術前の準備 
 3 鼠径ヘルニア手術の解説
 4 手術開始
 5 どこをどれだけ「切腹」したのか
 6 手術後の回復:当日
 7 手術後の回復:手術翌日・2日目・3日目
 8 退院

1 まずは病院の選択 言い換えると入院日数の選択についてです
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 下に、他の方のHPやブログなどから目立ったものを引用しました。
 それぞれ私と同じ、「次に手術を受ける人のために」という思いから、とても親切な説明をしておられます。ところが、大きく違う点があります。

「歯医者が話す歯の話:鼠径ヘルニア・オペ体験記1〜4」 1日入院
http://isogashi.blog112.fc2.com/blog-entry-76.html 非常に専門的な分析です。
「毎日の普通の生活:「そけいヘルニア体験記」 1泊2日入院
http://gokanben.blog.so-net.ne.jp/2005-12-18
「鼠径ヘルニア根治手術体験記(メッシュ&プラグ法) 2泊3日入院
http://hot-tea2003.hp.infoseek.co.jp/
「鼠径ヘルニア手術体験記」 4泊5日入院
http://www6.plala.or.jp/smqol/herunia.htm
「welcome to kenji's HP 鼠径ヘルニア手術体験」 3泊4日入院
http://www.geocities.jp/m_ihara36/hernia/hernia.html

 大きな違いとは、おわかりですね、それぞれの入院日数がまちまちなことです。この日数の違いはそれぞれの方の鼠径ヘルニアの重傷度の違いではありません。私も含め全員が「普通の鼠径ヘルニア」です。
 最近は医学的には入院日数を短くすることが可能になっていることは事実です。しかし、1日入院、数日入院、それぞれ一長一短があります。つまり、短かければすべてよしというわけではありません。上記のみなさんの入院記(手術体験記)を読んでみるとよく分かります。
 簡単な比較表を作りました。
 

1日入院

項目

数日入院

 手術そのものは同じでも入院日数が短い分、安価

費用

 入院日数が長い分高価

 ない

ゆっくり休める度

 長ければ長いだけゆっくり休める

 痛みがあったり麻酔の影響が出たり、翌日からバリバリ働くというわけにはいかない

仕事等への復帰

 痛み等がおさまってからの復帰、ただし、結構早く回復した人でも拘束される

 特定の病院でしか実施されていない。ネットで調べたところわが岐阜県にはない

病院の選択

 自分の好きなところから選べる

 というわけです。
 私の実感では、いくら痛みが少ない手術方法をとったとしても、仕事に復帰するまでは、最低でも2泊3日(手術当日+手術後丸2日)は必要だと思いました。
 まあ、それは経験してから分かったことです。理由はこれからだんだん説明します。

 私の場合は、事前にネットで調べはしましたが、いつもお世話になっている山内ホスピタル以外は、考えませんでした。速さまたは費用の安さにこだわって見知らぬ所へ行くよりは、いつも世話になっている病院で、という普通の発想でした。
 外科外来の担当U医師から示された手術入院計画は、「週末に手術して、週明けに帰る」でした。これなら無理がなくよいと判断しました。

 私の場合は、当初は9月19日(金)に入院手術し、20日(土)、21日(日)そして、22日(月)に退院という、3泊4日(実質の仕事の休みは2日)の計画でした。
 実際には、23日(火)の祭日は予備日のつもりでしたが、担当U医師の「そう急がなければ、どうせ祭日ですから23日(火)の朝退院としましょう。」の提案に、「妻に迎えに来てもらう都合もありますから、それでいいです。」と答えて、ちょっと変則の4泊5日の5日目の朝退院という計画に変更し、そのとおり実行となりました。


2 入院 美人看護師との再会 そして術前の準備 
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 9月19日(金)朝9時ちょっと前、予定どおり山内ホスピタル4階のナースステーションで、鼠径ヘルニアの手術で来院した旨を告げました。
 
8:50、すぐに担当の看護師さんがやって来ました。(この病院の担当看護師制度については、前回の入院時の記録「腸閉塞入院記」に書きました。こちらです。→
 その看護師さんを見てびっくりしました。腸閉塞でお世話になった、あの美人看護師のOさんでした。前回の入院の時の最後の日、2005年1月21日以来の再会です。

「あ、ひょっとして、Oさんですよね。」

O看護

「あら、どこかでお会い・・・・。」

「3年半前に腸閉塞の入院でお世話になりました、Mです。」

O看護

「あ〜あ、Mさんですね。」

 
 こちらが覚えている程にはOさんが覚えていないのは無理はありません。前回の入院期間は僅か3週間、それほど長くはありません。たくさんの入院患者の一人に過ぎないのですから、記憶には残りません。私たち教員が卒業生を全員覚えているよりは、より困難でしょう。
 しかしこちらとしては、以前に面倒を見てもらい、信頼が置ける看護師さんと思っている人に、またお世話をいただけるのは嬉しい限りです。
 
 
9:30、O看護師に呼ばれました。

O看護

「Mさん、最初の仕事は、浣腸です。今日朝、お通じはありましたか?」

「いえ、ありません。外来で処方された下剤を3粒、昨日の晩に飲んだけど、まったくでません。私は、胃結腸反射がよく機能する方なので、反対に、朝食抜きの日は、ダメです。」

O看護

「そうですか。では予定どおり、浣腸しまあ〜す。トイレに来てください。」

 二人で一緒に、洋式便器の普通よりはちょっと広めのトイレに入りました。病院でなかったら、ずいぶん怪しげな男女です。

O看護

「はい、Mさん、これからこの大きな浣腸をします。はい、便器の方を向いて。いきますよ。(浣腸が入る)それでね、大切なことがあります。入り終わったら、すぐに出してはいけません。すぐに出すとどうなる分かりますか?」

「浣腸液だけが出てしまって、中味が出ない。」

O看護

「そのとりです。ですから、3分間、じっと我慢して、それから出してください。はい、入りました。では頑張って。私が出ていったあと、トイレの鍵をかけるのを忘れないでね。」

 この「3分待つのだぞ」は、なかなか苦しい試練でした。脂汗かいて、時計を見ながら必死に我慢しました。でも・・。

「Oさん、終わりました。」

O看護

「ちゃんと、3分間我慢しましたか。」

「は、はい。(実は2分45秒で、放出してしまいました。)苦しんだ割には、「大漁」というわけにはいきませんでした。」

O看護

「仕方ないですね。」

 ここでちゃんと出しておかないと、手術後がしんどいことが分かりました。あとでお話しします。

 
10;00、病室に案内されました。

O看護

「今日の朝に退院する患者さんが、ちょっと遅れてしまって、迷惑かけました。ここが病室です。すぐに次の措置がありますから、前あきの寝間着に着替えて待っていてください。」

 案内されたのは416号室、4人部屋です。整形外科管轄の年配のIさん、急性胃潰瘍で10日前に血を吐いて入院したFさん、潰瘍性大腸炎の少年、そして新入りの私です。

 
10:30、道具を持ってO看護師登場。

O看護

「Mさ〜ん、悌毛です。悌毛。寝間着を開いて、パンツを下げてください。」

「・・・・・・」

O看護

「では剃りますよ。これって・・・・生えてくる時、しかしかして痛いんですって。・・・・・・・・」

 作業している方は、一生懸命ですが、されている方は、何か雰囲気として、気晴らしにしゃべらなくてはいけません。

「Oさん、実はね、前回の腸閉塞で入院のあと、あなたやS先生のことをHPに書きまし・・」

O看護

「読みました。看護師長さんに言われて。これ私のことかなって、半信半疑でした。美人看護師って書いてあるし・・・。」

「あなたのことです。そうですか、読んでくれたのですか。」

O看護

「つらい入院が、ずいぶん楽しい話になっていて、面白かったですよ。」

「写真も大量に使って、ずいぶん詳しい説明にしました。一般読者の方になかなか反響があったんだよ。突然、ご主人が腸閉塞で入院した奥さんが、心配してインターネットで体験記を捜し、私の経験を読んでほっとする、といった感じの感想メールがたくさん来た。」

O看護

「いろいろ根掘り葉掘り聞いたって書いてあったけど、あんまり聞かれていやな思いをした覚えはないんだけど。」

「ちょっと聞いて、あとで自分で調べて、いろいろ苦労した。でも、イレウス管も入った腹部のレントゲン写真のデジカメ撮影の許可をS先生聞いてくれる時には、残業させてしまったっけ。ありがとう。あれは特に貴重な、分かりやすい写真になった。」

 ブーン、ジジジと、この間にも悌毛は進みます。

O看護

「だんだんきれいになりました。おへそのゴマも取ります。いつも掃除していますか?年配の方でず〜と掃除していない方なんか、すごい塊が出てくる時があります。ようするに垢です。Mさんはずいぶんきれいですね。」

「時々とってますから。」

O看護

「毛は真ん中から右側はきれいに剃れました。しばらくは温泉には行けませんね。何ならバランス悪いですから、左側も剃りますか。」

「えー(予想外の質問にとまどいながら)、左は残しておいてください。」(--;)

O看護

「最後に、左の太ももの毛を剃ります。これは、電気メスのアース線を貼り付ける場所です。」

「アース線?、へー電気メスってすごいね。」

O看護

「はい、終了です。このあと、すぐにシャワーを浴びてください。そのあと手術前まで点滴です。時間の余裕はありません。」

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 入院といえば点滴。(撮影日 08/09/19)

 4泊5日の入院期間中の最初の3日間(手術後2日目まで)、写真の小さな点滴=抗生剤の「セファメジン」を6回入れました。
 また、もう一つの大きな点滴=水分補給や栄養補給のためのもので1回500mlを7回入れました。
 大きな方は、最初は「乳酸リンゲル液ソルラクト」、次からは、「ヴィーンD ブドウ糖加アセテートリンゲル液」、「KN補液」などいろいろな種類のものを入れました。


 10:45、さっさとシャワーを浴びました。
これから1週間、シャワーばかりでした。風呂にゆっくり浸かれたのは、8日目の9月26日(金)です。


 
11:20、点滴開始です。最初の2本は、そのまま手術室まで連れて行きました。

O看護

「これから点滴です。手術前から抗生剤を入れますが、これまで、アレルギー症状が出たことはありませんか?」

「昔、お酒飲んでジンマシンが出たことはあったけど、点滴では大丈夫。」

 3年前に初めてあった時のO看護師は、まだ20代後半のいかにも若い看護師さんでしたが、二人目のお子さんも出産し、30代に入って、信頼と安心のおねえさん看護師になっておられました。入院中に若い看護師さんを「指導」している姿を何回も見かけました。頼もしい人です。

O看護

「薬が入っても、かゆくなったりしませんね。はい大丈夫です。では、12時25分頃には手術室に向かいますから、その直前に、この点滴ごとトイレに行ってすませておいてください。それと、手術中はご家族の誰かにいていただきたいので、奥様に連絡してもらえますか。」

「えっ、そうですか。それは急がなければ。」

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