私
|
|
「先生、この鼠径部の膨らみって、もしかしたら脱腸ですか?」
|
S
|
|
「あれあれ、脱腸ですね。いつからですか?痛みますか?」
|
私
|
|
「この入院中に気が付きました。痛くも何ともありません。」
|
S
|
|
「そうですか。腸閉塞のおかげで腹圧が微妙にバランスを崩した結果の産物かもしれません。」
|
私
|
|
「直りますか?」
|
S
|
|
「いえ(きっぱりと)、直ることはありません。脱腸は、一度はみ出たら、基本的には直りません。」
|
私
|
|
「どうやって治療するんですか?」
|
S
|
|
「治療は手術しかありません。薬とかそういう治療方法はありません。もしそうする場合は、内科の私ではなく、外科の担当です。簡単な手術です。」
|
私
|
|
「どのくらい入院するのですか?」
|
S
|
|
「例えば週末に手術して、週明けには退院できるくらいです。中にはその日の内に1泊2日で退院とかいう病院もあります。」
|
私
|
|
「そんな簡単にすむのですか?」
|
S
|
|
「もちろん、手術ですから、腰椎から下半身麻酔をかけますし、何が起こるか分かりませんから、絶対簡単というわけにはいかない場合もありますが、まあ、腸閉塞ほど重病ではありません。外科にかかりますか?」
|
私
|
|
「いえ、今は痛くもないですし、せっかく腸閉塞がおさまって退院できるというところですから、気分的にまた入院という気持ちではありません。」
|
S
|
|
「そうでしょうね。でも、くれぐれも念を押しますが、脱腸は自然治癒はありません。多分だんだんひどくなっていきますから、痛みとか、膨らみ具合とか、ちょっとまずいかなと思ったら、すぐに外科に来てください。入院・手術を逃げていたり、変に我慢していると、致命的になります。」
|
私
|
|
「最悪はどうなるんですか?」
|
S
|
|
「今の段階では、脱腸部分は押し戻せばへこむと思いますが、だんだん出っ張りが大きくなって、痛みも出ます、最悪、出っ張った部分が戻らなくなり、出っ張り部分がしめつけられて壊死するとかいうこともあります。そうなると簡単な手術というわけにはいきません。」
|
私
|
|
「よく分かりました。いつか外科に来ます。」
|