12:25、もしもの場合に備えて家から呼んだ妻が到着すると同時に、手術室行きのストレッチャーに移乗しました。いよいよです。
12:30、手術室到着。14年前に受けた、全身麻酔の腰部椎間板ヘルニア除去手術以来の、人生2度目の手術室です。
U医師
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「はいMさん、手術をはじめます。みなさんよろしくお願いします。(助手の医師と看護師が3人のチームでした。)」
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私
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「お願いします。」
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U医師
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「手術そのものの時間は40分ぐらいです。その前後併せて、2時間ぐらいになります。だから、14時半ぐらいには、病室に戻れると思います。
まず、腰椎から麻酔を行います。局所麻酔です。準備ができたら、体の右側を下にして横向きになり、エビのように体を曲げて、自分のおへその方を見てください。」
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他の方の体験記によると、この麻酔の時が痛かったという記述もありました。そりゃ、注射針を刺すのですから痛いのは当たり前ですが、私の場合はそれ以外の特別な苦痛は感じませんでした。はじめたの方は背骨のそばに注射を打たれるという恐怖感があるのかもしれません。私は、腰部椎間板ヘルニアの治療や手術で、背骨付近への注射は慣れたものですから、あまりストレスを感じなかったのかもしれません。
注射後すぐに、右足が麻痺していきます。
U医師
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「これさわってるの、分かります?」
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私
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「わかりません。」
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U医師
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「OKです。もう一度仰向きにします。少々準備してから、手術をはじめます。」
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看護師 |
「もし痛かったら、我慢せずにおっしゃってくださいね。」 |
医師と看護師が、いろいろおしゃべりしながら、開腹前の準備が続けられます。
U医師
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「ほう、今日の悌毛はきれいだね。担当は誰かな?」
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看護師
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「O看護師です。」
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U医師 |
「うん、丁寧にできている。」 |
さすがわが担当。患者との会話をしながらも、仕事はきっちりです。それにしても、悌毛一つでも、看護師さんによって、いろいろあるのですね。
ところで、手術室にはBGMが流れています。亡くなった、河島英五の曲です。
看護師
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「このBGMは先生の好きな曲ですか?」
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U医師
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「はい、大好きです。患者さんの希望ではなく、私の希望です。はい。」
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そうですね。患者の気分より、執刀する医師の気分いい方が、手術はうまくいくと思います。いよいよメスが入ろうという時の曲は、河島英五の「天秤ばかり」でした。
「天秤ばかりは、重たい方に傾くにきまっているじゃないかい。どちらか一方が重たいくせに、どちらへも傾かないなんておかしいよ。」
熱唱を背景に手術が進みます。
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