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 湯檜曽ゆびそ駅と湯檜曽ループ | P1全行程目次・地図へ | | 先頭へ|

 水上駅の次の駅が湯檜曽駅です。ここには勾配値を低くするための工夫、湯檜曽ループがあります。
 まず、前ページで説明した地図12を再掲し、このページのポイントを確認します。
 続いて湯檜曽ループの詳細を説明する地図13をご覧ください。


 上越国境の復習 | P1全行程目次・地図へ | | 先頭へ|| P5信越・上越線路線図へ |

 前ページで説明した地図12を再掲し、このページのポイントを確認します。

 上の地図12は3D地図ソフト『カシミール』を使って描きました。『カシミール』http://www.kashmir3d.com/index.html


 訪問したのは、湯檜曽駅(湯檜曽ループ)と土合駅です。まずは湯檜曽駅です。ただし、下で詳しく説明していますが、このページの写真は、5月の連休の旅行の時のものではなく、6月26日に再訪した時のものです。


 上の地図は、いつも利用させていただいている、国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムの国土画像情報の写真からつくりました。以下の地図14も同じです。
 国土情報ウェブマッピングシステムのページはこちらです。→http://w3land.mlit.go.jp/


 1931年に上越線が単線で開通したとき、路線は一ノ倉岳の下を清水トンネル(9702m)をうがって、急峻な国境の山々を貫きました。しかし、その前後で急勾配の路線を避けるため、ぐるりと円を描いて上り下りするループ路線を造らなければなりませんでした。
 その一つ湯檜曽ループです。
 現湯檜曽駅の標高は約557mで、湯檜曽川の対岸の旧湯檜曽駅の位置までは、直線距離にして約500m、標高差は60mほどあります。
 もし、普通に鉄橋を架けて直線で登ると、この区間は60m/500mとなり、勾配は120パーミルとなってしまいます。通常では登坂は無理な勾配です。
 そこで、ぐるっと回って緩やかな勾配を登ることにするループ線が作られました。地図13拡大図にある右上の部分です。

 完成した当時は単線でしたから、現湯檜曽駅の部分を通った列車は、湯檜曽川の鉄橋を渡りを、すぐに湯檜曽第1トンネルに入ります。右回りにぐるっと230度ほど回って、いったん地上に出て、またすぐに湯檜曽第2トンネルに入ります。それを抜けると、先ほどの第1トンネルの真上を通過(見事1回転)し、やがて、旧湯檜曽駅に入るという形でした。以前の湯檜曽駅は、湯檜曽温泉の町の中心部の東側の山の中腹にありました。

 現在は、上の説明どおりに走る列車はありません。
 1967年の新清水トンネルの開通により上越線が複線化されてからは、この線路は上り線専用になったからです。したがって、現在では、上の説明とは逆向きに走ります。つまり、列車は北側から先に第2湯檜曽トンネルに入り、左回りに1周して山を下り、第1湯檜曽トンネルから出てきます。 


 湯檜曽ゆびそ駅詳細 | P1全行程目次・地図へ | | 先頭へ|

 現在の湯檜曽駅はとてもおもしろい構造となっています。まず次の地図14をご覧ください。 

 湯檜曽川に沿って上越国境へ向かう国道が、国道291号線です。(この国道はルート上は「越境」していますが、現実には自動車で新潟県へ行くことはできません。山岳地帯にはよくある国道です。)
 旧駅は湯檜曽集落の東の山の中腹にありましたが、現在の駅は、集落の南端の西側の山の麓にあります。
 駅は国道に沿って郵便局と並んでおり、田舎の駅とは思えない立派な作りの駅舎があります。写真06−01をご覧ください。
 建物自体は、「道の駅」か何かと間違えてしまいそうな大きなものです。
 しかし、建物だけは立派でも、駅員のいない無人駅です。
 立派な改札口や待合室が往時の繁栄を偲ばせます。
 


 写真06−01 湯檜曽駅駅舎 (撮影日 09/06/26)

 写真06−02 改札内  (撮影日 09/06/26)

 駅は、国道291号線沿いにあります。左の写真の手前の道が国道です。正面が東、右手が北、左が南となります。
 右の写真06−02は、下の写真06−03の中央にある改札口を中に入って、逆向きに北を向いて撮影したものです。北側にも入り口があります。


 写真06−03   湯檜曽駅駅舎内部               (撮影日 09/06/26)

 3枚の合成写真ですが、立派な駅舎内です。左の茶色のシャッターの中が駅の執務室です。反対に、右手は待合室です。


 写真06−04 通路 (撮影日 09/06/26)

 写真06−05 上り線ホーム  (撮影日 09/06/26)

 写真06−02の撮影地点から逆を向くと通路が二つに分かれています。まっすぐ行くと、上り線の地上ホームに出ます。
 右写真06−05はその上がり口です。上りホームの海抜は、557.43mです。
 では、通路を曲がって右手に行くと・・・・


 写真06−06 下りホームへ(撮影日 09/06/26)

 写真06−07 下りホーム  (撮影日 09/06/26)

 地下通路の遙か向こうに、下り線ホームへの昇降口が見えます。
 下りホームはというと、地下に信じられないくらいの立派なホームが横たわっています。トンネル掘るついでに勢いで作ってしまったような立派なホームです。


 写真06−08    地上の上り線ホームです                (撮影日 09/06/26)

 もっとも地上の上り線ホームも負けてはいません。
 山手線の電車が来たってびっくりしないくらい長いホームが設置されています。全く見事です。このホームを利用する人は1日何人なのでしょうか?
 ホーム中央の小屋のようなものは、ホーム上にある待合室です。駅舎からの通路はここへ通じています。
 写真ほぼ中央、湯檜曽川が流れる谷を挟んだ向こう側の山の中程に、ループ線の線路が見えます。


 写真06−09 上り線待合室(撮影日 09/06/26)

 写真06−10 除雪車  (撮影日 09/06/26)

 上り線ホームの中程にもちゃんとした待合室があります。その中を占拠していたのは、冬場に欠かせない除雪用のミニブルドーザーでした。冬のこの駅はさぞや寒いことでしょう。


 湯檜曽ゆびそ駅下り線列車 | P1全行程目次・地図へ | | 先頭へ|

 駅の紹介ですから、列車が通ってなんぼのものです。
 最初に断りましたが、実は妻と旅行した2009年の連休の時は、この湯檜曽駅は電車に乗って通り過ぎてしまうだけでしたので、その時の撮影写真はありません。

 そこで、2009年6月26日に再訪しました。
 この日は、前橋での出張業務を終えて、16時29分に水上駅に着きました。しかし、次の電車を待っていては、連休中と同じ事になりますから、タクシーで先回りしました。
 17時過ぎに湯檜曽駅に着き、駅の周囲や湯檜曽の町を歩き、足湯につかってちょっと休憩したあと、やってくる電車を待ちました。撮影チャンスは、右の時刻表の湯檜曽駅発17時48分の下り列車と、18時28分発の上り列車です。駅時刻表にはないですが、『貨物時刻表』によれば、下り列車の少し前に上り貨物列車も通るはずです。

写真06−11 発車時刻  (撮影日 09/06/26)
  


 写真06−12    上りホームの南端です             (撮影日 09/06/26)

 上りホームの南端からは、3本の線路が見えます。一番左は上り線ですが、真ん中は待避線です。そして一番右の山側が下り線です。まもなく新清水トンネルに入ります。


 写真06−13   下り線トンネル入り口                (撮影日 09/06/26)

 これが、下り新清水トンネル(13490m)の入り口です。


 写真06−14    新清水トンネルに入る下り電車           (撮影日 09/06/26)

 タクシーで駅に着いてから40数分後、待ちに待った電車がやってきました。水上発長岡行きの普通電車です。湯檜曽駅17時48分発です。ホーム中程の待合室の前でこの写真を撮り、昇降口をダッシュで駆け下り、地下通路を下りホームへ向かいます。写真06−05写真06−04写真06−06の通路をひた走ります。なぜ走るのかと言えば、トンネル内の下りホームに停車している電車を撮影するためです。


 写真06−15    下り電車発車                (撮影日 09/06/26)

 しかし、50段以上の階段を下り、100m近い通路を走るには、ずいぶんと時間がかかります。下り電車が見えたと思ったら、すぐに発車していきました。


 写真06−16   次は土合                    (撮影日 09/06/26)

 湯檜曽駅を発車して新清水トンネルをゆく下り電車です。次は土合駅です。この電車から降りた方は、おばさん一人でした。
「気の毒に、乗り遅れたかね。」
「いえ違います。写真撮影だけです。」
ご心配をおかけしました。


 湯檜曽ゆびそ駅上り線列車 | P1全行程目次・地図へ | | 先頭へ|

 さて次は待ちに待った、湯檜曽ループを通る上り列車です。
 まず、貨物列車がやってきました。  


 写真06−17    旧湯檜曽駅を通り過ぎる貨物列車         (撮影日 09/06/26)

 湯檜曽駅のほぼ中央から湯檜曽ループの入り口を撮影しています。列車は左から右に向かって走り、まもなく湯檜曽第2トンネルに入ります。


 写真06−18 県道291号線(撮影日 09/06/26)

 写真06−19 湯檜曽鉄橋 (撮影日 09/06/26)

 国道291号線が湯檜曽川を渡る橋です。手前の標識には、「県界へ16.4km」とあります。


 写真06−20    湯檜曽川鉄橋           (撮影日 09/06/26)

 湯檜曽第1トンネルを抜けて、湯檜曽川鉄橋を渡り、湯檜曽駅にかかろうとする貨物列車。駅に停車するわけではありませんでしたので、ものすごい勢いで私の横を走り抜けていきました。


 写真06−21    普通電車登場                (撮影日 09/06/26)

 貨物列車のあと、しばらくするとようやく湯檜曽駅18時28分発の普通電車がやってきました。


 写真06−22    まもなく湯檜曽駅              (撮影日 09/06/26)

 普通電車がスピードを緩めて湯檜曽駅に近づきます。
 ここで私は写真を撮りながら一つの心配を抱いていました。私がこの写真を撮影しているのは湯檜曽駅ホームの一番北の端です。この位置までこないと、右手に繁茂する木や草のおかげでトンネルの入り口が見えないのです。
 ところが、ここでシャッターを押すと、次は必死でホーム中央に走って戻らなければなりません。理由は簡単です。僅か3両編成の電車は、当然昇降口のあるホーム中央に停車します。先ほどから紹介している長大なホームです。私の撮影位置からは電車の停車位置まではどのくらいあるかというと、ゆうに100m以上はあります。
 写真06−17をご覧ください。私の立っている位置は写真では見えないくらい先。手前の鉄柵に白っぽいものが見えるのが私のバッグと紙袋です。これを取って電車に乗り込まなければなりません。
 もし乗り遅れたら・・・・・、まだこんなに明るいのですが、この電車は今日の最終電車です。次の電車は、明朝の6時47分発です。待合室で野宿です。


 写真06−23   「待ってくれ」                (撮影日 09/06/26)

 全速で走った結果、何とか間に合いました。
 もっとも、車掌さんだってわかっているはずです。この電車、湯檜曽駅で降りた客は0人、乗った客は私一人でしたから・・・・。貴重なお客様をおいていくわけにはいきません。


 かくて、湯檜曽駅での取材は終わりました。
 タクシーでこの駅に着いてから上の電車に乗るまで、1時間半の間に出会ったのは、下り電車を降りてきたあのおばさん一人でした。のどかな湯檜曽駅でした。
 次は、究極の地下駅、土合駅です。またまたページを変えて、7ページで説明します。


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