○コーラルホワイト号、ブリッジ
コーラルホワイト号は、巡航速度10ノット(時速約18`)でオホーツク海を走りました。
W船長が気さくな人で、事前研修会の時に、「航海中はどうぞブリッジにおいでください。いろいろご説明もできると思います。」といってくださいました。これを単なる社交辞令と受け取っては、人生無味乾燥です。遠慮なく伺いました。
船長は58歳、北方4島交流事業用のこのコーラルホワイト号でもう何十回とオホーツクの海を渡っているベテランです。
私「昨日は船長の言うとおり酔い止め薬を飲んだので、よく眠れました。」
船長「そりゃよかった。んだけど、このくらいの波じゃ、酔えねぇー。オホーツクの海はこんなもんじゃねぇー。ここは海面からの高さで言うと、ビルの5階にあたる。ここまで波がかぶる時なんか、そりゃひどいもんだ。」
そんな目に遭わないことを祈るのみです。
実は私は、酔い止め薬を飲むと、すごく効き目が出てしまうありがたい体質で、三半規管が酩酊状態、つまり、頭の芯がすーぅっと抜けていくような気持ちいい状態の航海二日目でした。下の写真で分かるように天気は申し分のない晴天です。
私「この船は毎年同じ任務に就くのですか?」
船長「5月の最初の渡航から、この9月の最終まで半年の任務だ。オフは広島のドッグでやすんどる。」
私「船長さんや乗組員のみなさんはどうするんですか?」
船長「船に乗る5ヶ月の間の契約だから、それ以外はバラバラに別のことをやっとる。私は、別の船に乗っている。」
艦橋(おっと、軍艦ではないんですから船橋ですね、でも海軍ファンの私としてはついこの用語が出てしまいます(^o^))には、コーラルホワイト号の諸原表が貼ってあります。それによると本来の乗組員は10名なので、この運航の8名というのは、きついやりくり任務なのでしょう。
船長「日本人ばかりをやとうのは、経理の面で大変だから。日本人なら月給50万円、外国人なら5万円ってとこかな。」 私たちにしてみれば、クルーが全員日本人でこの上なく安心です。
司厨長(コック長)のIさんは、ビザなし交流に最初から参加している唯一の人です。
コック長「ロシア人は最初ののころから比べればだいぶ変化して、融通が利くようになった。最初の頃は、自分たちロシアは1等国、お前ら日本は2等国という意識が見え見えだった。今はそんな意識はなく、敬意を払ってくれる。これも交流の成果だ。こんな小さな船のコック長にも、その変化が分かる。でも、ロシアの軍人は、今でも融通が利かねぇー。」 |