近代ヨーロッパの誕生その3
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<解説編>
 

707 3つの製造物に共通のポルトガル産品は何か?                    | 問題編へ |   

 ポルトガルという国は、世界史では大航海時代の主役の国であり、日本史においても、鉄砲伝来や南蛮貿易の時代から鎖国の完成にいたるまで、関わりのある国です。

 しかし、現在の日本とはあまり利害関係が強い国ではなく、また、ヨーロッパ史の中では、20世紀には主役を演じていないため、現代のポルトガルについて歴史や公民の授業で学習することはあまりありません。
 あくまで「歴史上の国」の扱いになっています。
 したがって、生徒には、ポルトガルに関する知識は、あっても「サッカーの強い国」ぐらいでしかありません。(実際は、私も含めて、教師もあまり知りません。(^.^))

 そこで、現代のポルトガルにちょっとだけ興味をもたせるための意外なネタがこのクイズです。
 
 ソフトボールのボール、ホイッスル、ワインに共通するポルトガルの特産品といえば・・・、

ソフトボールのボール 

ホイッスル

 ワイン



 正解、これらの3つに共通に使われているポルトガルの特産品は、コルク(cork)です。

 ワインの栓、ホイッスルの中のくるくる回る玉、そして、ソフトボールの芯。これらにはいずれもコルクが使われており、コルクは、あまり知られていませんが、ポルトガルの特産品です。

ソフトボールは、「解体」するには骨が折れましたので、中味の写真はありません。よく見ると、表面の表示に、「CORK CENTER」と書かれています。ちょっと見づらくてすみません。

 コルクは、軽い上に、通気性・断熱効果に優れ、また肌触りもいいため、これ以外にも、いろいろな製品の材料となっています。床材・壁材などの建築資材、積み木などの玩具、コースターなどの台所用品、サンダル、救命浮き輪などなど・・・。
 
 コルクは、
「コルク樫」というブナ科の常緑樹の木の表皮の部分から生産されます。
  ※詳細は、以下の二つの参照サイトをご覧ください。
 
 コルク樫は、比較的温暖で小雨(夏は特に降水量が少ない)の地中海性気候に育まれた独特の樹木で、ポルトガル・スペイン・南フランス・イタリア・モロッコ・アルジェリア・チュニジアなどの西地中海沿岸の地域にだけ見られます。

 ポルトガルではコルク樫は220万haの栽培面積があり、これは、世界全体の約30%です。
 さらに、約15万トン前後のコルク材やコルク製品が生産され、これは、世界の総生産高の約55〜60%です。
 また、ちょっと古いですが、1994年のポルトガルの輸出高175億4千万ドルのうち、コルク製品は5億4千万ドルの占め、輸出高の3%になっています。
  

<参照サイト>

ポルトガルは、世界のコルク製品約55%を生産していますが、その60%は世界一のコルク関連製品製造企業AMORIMが生産しています。

※同社のサイトはこちらです。コルク製品の概要が理解できます。

日本・ポルトガル コルク工業会

※トップページはこちらです。 コルク樫の写真はこちらです。


【追記05/09/19】 

 2005年の3月−9月に開かれた、EXPO2005愛知万博のポルトガル館では、同国のコルク栽培と製品が紹介されました。

 左は、館内のコルクの木です。
 右上は、左の写真の木の根本にある、コルクの薄板です。 コルクは木の表皮をこのようにはがして原料とします。
 右下は、コルク製の帽子。これは珍しいですね。保温性は抜群でしょう。2000円でした。
 

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