新選組の詳細については、ここにで紹介するまでもなく、他の達人のサイトが数々ありますから、そちらをご覧ください。
ここでは、2004年のNHK大河ドラマ『新選組』について、ちょっと私見を述べます。
私の「新選組歴」(つまり、新選組に思いを入れた歴史という意味です。)は結構長く、高校生の時にTVドラマ『燃えよ剣』を見て以来です。同世代にはこのパターンは結構多く、俳優栗塚旭演じる土方歳三に魅力を感じた方も多いと思います。
それ以来、たくさんの本を読み、また、そのゆかりの土地にもあちこち行きました。最も遠いところは、当然ながら、函館五稜郭です。
さて、大河ドラマです。
昨年今頃に、2004年の大河ドラマ『新選組』の制作発表があったとき、ずいぶん違和感を覚えました。
近藤勇役の香取慎吾をはじめ、ずいぶんと若い役者さんによる新選組だったからです。NHKの意図は明白です。若者受けする俳優の抜擢による視聴率の挽回です。
NHKの大河ドラマといえば、70年代や80年代は、年間視聴率が30%を越える作品が何本もでるという「超人気」ドラマ番組でした。
ところが、1990年代以降はといえば、1996年度の「秀吉」(竹中直人主演)が30.5%であっただけで、あとは大当たりはでていません。
それどころか、2000年「葵徳川3代」(18.5%)、2001年「北条時宗」(18.5%)と、2年続けて20%を切り、2002年は「利家とまつ・加賀百万石物語」で22.1%と回復したものの、2003年の「武蔵 MUSASHI」は、16.7%と惨敗でした。
※視聴率の数字は、ビデオ・リサーチ社のものです。
視聴率低下の原因の一つは、紅白歌合戦などと同じく、視聴者の高齢化の進行、つまり、若者のNHK離れであると考えられます。
そこで、脚本・演出の三谷幸喜氏をはじめ、番組関係者の熱い思いが、SMAPの香取慎吾以下、若手の有望劇団俳優を多数起用するという俳優の選択に現れたのでしょう。
ところが、ところが、このねらいが破綻しつつあります。
次のグラフは、「新選組」のこの4ヶ月間の視聴率の変化です。
出だしはまずまずでしたが、どうも、明らかにじり貧状態です。
なぜなのでしょう??
私の両親の意見では、どうも俳優が若すぎてピンとこないということです。
若者が見ているかどうか、私には把握できませんが、我が家では、3男Dを初め、大受けです。
私も、高く評価しています。
その理由は、次の表を見ていただければわかります。
隊士名 |
推定生年 |
新選組結成年の年齢 |
近藤 勇 |
1834 |
29 |
土方歳三 |
1835 |
28 |
沖田総司 |
1842 |
21 |
原田左之助 |
1840 |
24 |
永倉新八 |
1839 |
24 |
山南敬助 |
1833 |
30 |
井上源三郎 |
1829 |
34 |
藤堂兵助 |
1844 |
19 |
新選組結成時の近藤勇らの実年齢は大変若く、近藤グループの8人の平均年齢は26歳です。
明治維新時に活躍した人物は総じてみんな若いのですが、新選組のメンバーにもそれがあてはまります。
今まで、このことを知らなかったわけではないのですが、ある先入観から、今ひとつ認識できていませんでした。
その原因は、それまでの小説や、ドラマ・映画にあります。
これまでに見たり読んだりした小説や映画は、ほとんどの場合、近藤や土方を、初めから立派な大人として描いていました。
みんな立派な大人の俳優が演じた新選組だったのです。
今度のドラマが、大人でない俳優によって演じられているというのは言い過ぎかもしれませんが、俳優群の若さが、いかにも頼りない、それだけに多分より真実に近い、新選組青春グラフティーを描いているような気がします。
そして、そのことと関係して、ドラマでは、彼らの新選組結成までの過程をとても長い時間を費やして描いています。
本日5月2日放送分の17回目までで、やっと、新選組が発足した段階です。
芹沢もまだ生きていますし、このままでは池田屋なんかいつのことかと言う感じです。
(このドラマは、1年50回でどこまで描くのでしょうかね。)
ちなみに、土方歳三の死ぬまでを描いた司馬遼太郎著『燃えよ剣』(新潮文庫)は上下巻で、894ページの大作ですが、その3分の1では、すでに池田屋事件も叙述されています。
さて、このNHKや三谷幸喜氏の挑戦は、吉凶どちらとなるでしょうか。
みなさんにとっては、いかがでしょうか。
|