| 未来航路Topへ | | メニューへ | | 前へ | | 次へ |

菜の花について考える1

現代の菜の花について考えます。

 
 菜の花と菜の花もどき
 厳密にはちょっと違う菜の花畑                        | 目次へ |       

 2004年3月22日の『岐阜新聞』夕刊に、次のような記事が載りました。
「桜のピンクと並んで菜の花の黄色はまばゆいほどの輝きを放ち、気分を高揚させる。安八郡安八町牧、揖斐川左岸堤防ののり面に菜の花畑が広がり、青空と美しいコントラストを見せる。」
というものです。


ところが、この記事は、実はちょっと勘違いの記事でした。


黄色い花と電車シリーズその1 新幹線揖斐川鉄橋とセイヨウカラシナ (撮影日 04/03/22)


多くのみなさんは、上のような河川敷や堤防ののり面に、今を盛りに咲いている黄色い花見れば、
「きれいな菜の花
と思われるのではないでしょうか。

 菜の花というのが、厳密に、
アブラナ科アブラナ属アブラナを指す言葉であるとすれば、実は、写真の花は、菜の花つまりアブラナではないのです。

 この花は、1990年以降、東海地方でも目立って増加してきた、「セイヨウカラシナ」という花です。

 漢字で書けば、「西洋芥子菜」です。
 カラシナは、本来、芥子をとるための花です。
 したがって、菜種油をとるアブラナ菜の花)とは異なる花です。

 ただし、どちらも同じ、アブラナ科アブラナ属の花ですから、花の形はそっくりで、花だけ見ていると区別は付きません。


 アブラナとセイヨウカラシナ                              | 目次へ |       

下の写真は、アブラナとセイヨウカラシナの花と葉のアップです。 

アブラナ セイヨウカラシナ

 アブラナの葉は、大きく円形で、茎は、やや太めで色はあくまで黄緑です。

 セイヨウカラシナの葉は細めで、茎は、やや細く、色は少し黒紫っぽくなっています。


 幻の菜の花畑                                  | 目次へ |       

 そもそも、現在では、少なくとも濃尾平野では、菜の花(アブラナ)を栽培している農家はほとんどありません。
 岐阜県神戸町の馬淵一郎さんの畑には、馬淵さんが休耕田を利用して観賞用に栽培している菜の花畑があります。
 
 これは、大変珍しい例で、私が、岐阜市西部から大垣・垂井・関ヶ原と調べた結果、他にはこのような菜の花畑は見つけることはできませんでした。

 セイヨウカラシナの野生の群生場所は、もはやどこにでもありますが、菜の花畑は、あまり見られないのです。

黄色い花と電車シリーズその2 近鉄揖斐線と菜の花


 上は、黄色い花と電車シリーズその2です。

 馬淵さんの菜の花畑は、近鉄揖斐線のすぐ西側にあります。
 
 実は、セイヨウカラシナはこれから4月にかけてが盛りですが、菜の花は、暖かい日が続いた今年は、もはや盛りを過ぎてしまいました。

 これは、違いを見分ける一つの方法にもなります。
 つまり、早めにさくのは菜の花、これから美しく咲き誇る黄色い花は、セイヨウカラシナということです。

 馬淵さんは、この観賞用の菜の花栽培を昨年から始められたそうです。
 写真撮影をしていたら、折良く息子さんが通りかかられ、お話を伺いました。
 馬淵さんは、鑑賞する人が寒くないようにと、下の写真のビニルハウスをわざわざ設営され、さかりのころは中に畳を敷いて、お茶まで用意されていたそうです。

「いやー、もう道楽です。写真を撮りに来られることが嬉しくてしょうがないようです。
 父に伝えておきます。」と息子さん。
 
 来年も続けられるそうですから、来年は盛りの時に、眺めたいものです。


 第3の花                                      | 目次へ | 

 ところで、今頃に咲いている黄色い花が、菜の花か、セイヨウカラシナのどちらかかといえば、そうではありません。

 下の写真を見てください。

 これは、関ヶ原町地内の何カ所かで畑に植えられていたものです。
 

黄色い花と電車シリーズその3、JR東海道線と小松菜


 上の写真だけ見れば、畑に植えられていることから、菜の花と思ってしまいますが、右の葉を見れば、上の菜の花(アブラナ)のものと違うことは明らかです。

 近くの農家で聞いてみました。
「ありゃー、岐阜の高校の先生ーかな、ご苦労様なことで。あの黄色い花は、小松菜だがね。」

 実は、今の時期、アブラナ科アブラナ属の草を中心に、黄色い花はいっぱいあることがわかりました。

 

垂井町で見かけた花

我が家の近く本巣市で採取した花


 左の写真は、 垂井町の農家の庭先の菜園で撮影したものです。
「えっ、これですか、社会の先生はなんにもご存じないねー。これは、白菜ですがね。」
(失礼しました。)

 右の写真は、我が家の近くの本巣市春近地内の畑の脇で採取しました。
 花は区別が付きませんが、葉は、他のどれとも違っています。
 ひょっとしたら、青梗菜(ちんげんさい)か何かかもしれませんが、正直、生物音痴の私には、正確な判別は不可能です。
 難しい世界です。
 「目から鱗」のページにしては、完全に目から鱗が落ちていません。うろこが落ちきらずに引っかかっています。
 もっと研究したいところですが、何か、地歴公民科と言うより理科の世界に入ってしまいそうなので、ここまでにします。
 そうだ、お子様が小学校高学年から中学校の方、「科学作品展」のテーマにいかがですか。
「春の黄色い花の謎を解く。アブラナ?それとも他の花?」
 なんて、タイトルで、地道に分布などを地図に書き込むのです。
 入賞すること間違いなしです。

 ただし、夏休みになってからは研究できませんから、やるなら、今ですよ。
 
 次は、いかにも社会科らしく、菜種と菜種油について話を続けます。


| メニューへ | | 前へ | | 次へ |