最近では毎年1,700万人が入場し、1983年に開業して以来、延べ入場者数はやがて2億5000万人に達しようと言う超人気のテーマパーク東京ディズニーランド。
その人気の秘密のひとつは、次々に新しいアトラクションを増やし、リピーターを飽きさせないことでしょう。2000年秋にも、「プーさんのハニーハント」が出現しました。まさしく、テーマパークは生き物のように「進化」していくというウォルト・ディズニーの言葉どおりの魅力が、多くの入場者を生んでいると言えましょう。
しかし、やはり、ディズニーランドの基本的な魅力は、そこがアメリカの「ディズニーランド」や「ディズニーワールド」であるかのように、「あこがれのアメリカ」に接することができることにあると思います。
これについては、おもしろいエピソードがあります。
ウォルト・ディズニー社は、初めて外国に作るテーマパークについて、アメリカ版の全くのコピーではなく、日本の独自性を盛り込もうとしました。たとえば、「サムライ・ランド」や「桃太郎」のような日本の童話に基づくショーなどの日本的なアトラクションの採用です。ところが、東京ディズニーランドの直接の経営企業であるオリエンタルランド社は、できるだけオリジナルに似たものを作るように主張しました。日本人の好みから考えて、中途半端な独自性や多彩化よりも、コピーであるとはいえ、ほとんどアメリカそっくりという方が、日本人に「夢」を与えることができると考えたからです。
結果的にはこの主張は当たりました。考えても見てください。「サムライランド」・「桃太郎」・「金太郎」、そんな所へ誰が喜んでいきますか。どこかの「忍者」何とかのたぐいと一緒になってしまいます。
この日本人の好みについては、日本人がアメリカ大衆文化を表徴するするものに魅力を感じるのは、日本の西洋化を示す典型例であると説明されます。簡単に言えば、日本人が意識するアメリカの優越性への限りないあこがれということになるのではないでしょうか。
ところが、この話には、さらに面白い事実が続きます。
日本の経営会社オリエンタルランド社は、主要な部分ではアメリカ版の忠実なコピーを主唱しながら、細部では、実に巧みに「日本化」を行い、結果として、別の意味で「日本版ディズニーランド」ができあがったのです。本当に細かいところでは、当初アメリカで採用されている食事と同じものしか提供しないはずだったのに、カレーライスとか、日本人の好みに合わせたメニューを作ったという話もその一つです。
しかし、もっと重要な部分が、アメリカ版と日本版とでは異なっています。
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