岐阜県の東海道線あれこれ21
 岐阜県の東海道線についてあれこれ紹介します。
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 岐阜駅とその周辺3 名鉄線高架

 先の岐阜駅周辺鉄道高架事業の続編、「今後の高架事業」です。
 岐阜市民の方は反論されるかもしれません。「今後の高架事業って、もう終わったのではないですか。」

 そうです、もちろんJRの高架事業は終わりました。
 しかし、岐阜県の組織の中にも、岐阜県都市建築部街路公園課というのがあって、その仕事の中に鉄道高架事業というのが含まれています。
 残っている高架事業というのは、
名古屋鉄道本線及び各務原線の高架事業のことです。
 そのうち、ここでは名鉄本線の高架事業についてお話をします。


 名鉄本線による市街地の交通分断

 名古屋鉄道本線による岐阜市東部の交通障害も、JR線以上に問題となっています。
 たとえば、次の写真は、岐阜市内の幹線道路のひとつ
、岐阜東通り(竜田町通り)にある茶所5号踏切の様子です。


 写真21−01                                     (撮影日 08/04/28)

  名鉄線の踏切によって作られる最も大きな渋滞を生む踏切の一つ、茶所5号踏切です。通称は竜田町踏切です。竜田町通り(岐阜東通り)にある踏切です。名鉄電車が通過する向こうを、JRが高架線上を通過していきます。 


 さて、この茶所5号踏切が、JR線が高架となった今では、岐阜市内に残る貴重な(?)「開かずの踏切」として有名です。
 そこでクイズです。
 この踏切は、
1日に通算何時間何分ほど遮断されているでしょうか?(遮断機が下りている時間の1日の総合計です。)

 ※例によって、黒板をクリックしてください。答が現れます。

 この踏切の1日の遮断時間は通算11時間36分です。もちろん24時間中の時間ですが、真夜中の4時間半ほどは電車は通りませんから、電車が通っている朝5時から24時過ぎまでの19時間ほどの間の、11時間36分という具合に考えれば、まさに開かずの踏切です。
 1時間あたりの最大値では、
60分中の44分間も遮断されています。

上のデータと下の地図の内容は、岐阜駅周辺鉄道高架事業促進協議会編パンフレット『Railway Grade Separation in Gifu 岐阜駅周辺鉄道高架事業』(2002年)P9−12によりました。


 名鉄本線の高架事業計画

 以上のような名鉄本線による交通の遮断を解消するため、この部分の高架事業は、国土交通省によって1999(平成11)年に「着工準備」に採択されました。
 現在調査・計画段階ですが、対象区間は2.1kmで、12の踏切をなくし、総事業費は280億円の予定です。
 以下の地図によってその概要を説明します。


上の地図は、グーグル・アースGoogle Earth home http://earth.google.com/)の写真から作製しました。

 ※上の地図は岐阜シティ・タワー43の展望室からの撮影写真を元に作成しました。(撮影日07/10/28)

 写真21−02                                     (撮影日 08/05/17)

 名鉄岐阜駅の3番線を発車したばかりの普通電車の先頭車両からの撮影です。
 一番右の線路は名鉄岐阜駅の一番西の1番線ホームから、真ん中は2番線ホームから繋がっています。私の乗っている電車は一番右の4番線ホームからの線路と合流します。
 写真で分かるようにやがて1本の線路(単線)となってガードを越えていきます。このガードは旧国鉄(JR)の跨線橋です。現在は、JRが名鉄線の上を跨いでいます。


 写真21−03                                     (撮影日 08/05/17)

 写真21−02のJRの跨線橋の部分から向こう(南側)をアップしたものです。名鉄岐阜駅を出発した中部国際空港行きの特急電車が単線部分を通過して、大きく左にカーブして加納駅方面へ向かいます。単線部分があるため、逆に名鉄岐阜駅に到着寸前の普通電車が入線待ちをしています。
 高架事業では、この跨線橋を越えたカーブの部分から改良がなされる計画です。


 写真21−04                                     (撮影日 08/05/17)

 JRとのクロス部分の説明は、上の2枚だけで十分ですが、5月17日に思いがけない写真が撮れましたので、掲載します。
 なんと、名鉄名古屋本線上をあの往年の
特急車両パノラマカー(7000系)が快速急行として豊橋まで運行されました。名鉄岐阜駅12時40分発で出ていくところです。
 同車両は名鉄沿線の住民なら誰でも知っている往年のスーパースターですが、寄る年波には勝てず、今ではもっぱら本線ではなくローカル線の普通電車として運行されています。そして近々完全に廃車となる予定です。
 この日は、普通電車として岐阜駅に到着した後(私はそれと知らずに、加納駅から岐阜駅まで1区間だけ乗りました)、特別のヘッドマークを付けて、快速特急になりました。ヘッドマークには、
「名古屋本線東西直通 60周年記念」となっています。

名古屋本線の東西直通
 1935(昭和10)年に名岐鉄道(押切町(名古屋市)〜新岐阜(現:名鉄岐阜))と愛知電気鉄道(神宮前〜吉田(現:豊橋))が合併し、現在の
名古屋鉄道が生まれました。その後、新名古屋駅の開業に続いて、1944年に新名古屋〜神宮前間の東西連絡線が開通しました。
 これは合併の主目的である
豊橋〜新岐阜間の直通運転を実現するためのものでしたが、この時点では、太平洋戦争終戦の直前でもあり、物資不足などから、金山駅を境とした電圧の違いを解消することができず、直通できないまま終戦を迎えてしまいました。
 戦後、物資不足の中、西部線をはじめ各支線の昇圧や変電所の新設・強化などが行われ、1948(昭和23)年5月16日に東西直通運転が実現しました。
 今から60年前のことです。


 写真21−05                                     (撮影日 08/03/15)

 名鉄岐阜駅から南へ進んで、JRの高架をくぐった部分です。名鉄本線はここから東南東へ120度ほどカーブして加納駅へ進みます。このカーブを曲がったところに、下の写真21−06の広江2号・1号踏切があります。
 ここから境川鉄橋の手前部分までが名鉄高架事業の対象線区です。対象区域は2.1kmです。  


 名鉄本線高架事業対象区域の現状

 それでは、高架事業対象区域の現状を写真で紹介します。


 写真21−06                                     (撮影日 07/05/17)

 加納駅を通過して名鉄岐阜駅に向かう、中部国際空港発の特急電車です。右にカーブして上の写真21−05のJRとの交差に向かいます。
 映っているのは高架事業によって廃止となる12の踏切のうちの名鉄岐阜駅よりの4つです。手前から加納1号、加納2号、広江1号、広江2号踏切です。加納2号を除く3踏切は、1日の遮断時間が10時間を超えます。


 写真21−07                                     (撮影日 04/11/13)

 広江1号踏切を通過中の普通電車の先頭車両から撮影した加納駅です。駅手前の踏切は、加納1号踏切です。駅の下り線を岐阜行き電車が通過していきます。


 写真21−08                                     (撮影日 08/04/28)

 茶所5号踏切から撮影した、加納駅上り線を通過する名古屋方面行き特急電車。


 写真21−09                                     (撮影日 08/04/28)

 加納駅下り線を通り過ぎて名鉄岐阜駅へ向かうパノラマスーパー。茶所3号踏切から撮影。加納駅は高架事業後は廃止となります。駅の手前の踏切は、竜田町通りを遮断する茶所5号踏切です。


 写真21−10                                     (撮影日 08/05/17)

 加納駅下り線ホームから駅を発車して名古屋方面へ向かう須ヶ口行き普通電車。踏切は茶所5号踏切。この曲線部分は、高架事業によってカーブが緩和されます。


 写真21−11                                     (撮影日 08/04/28)

 加納駅と茶所駅の間には荒田川が流れていますが、加納駅と川の間は本線にはふさわしくない急カーブです。高架事業ではこの部分はカーブの半径が緩和される予定です。上の地図39をご覧ください。
 写真は、下り岐阜行き特急が荒田川を越えて急カーブを曲がるところです。


 写真21−12                                     (撮影日 08/04/28)

 荒田川を渡る中部国際空港発岐阜行きの特急です。新しい高架線は、右手の白い壁の2階建て家屋の向こう側に建設されます。家の右手あたりは、加納駅と茶所駅を統合した新駅が出現するはずです。


 写真21−13         (撮影日 08/04/28)

 写真21−14         (撮影日 08/04/28)

 左 茶所3号踏切を通過する上り名古屋方面行き特急電車。
 右 茶所2号踏切を通過する下り岐阜行き特急電車。


 写真21−15                                     (撮影日 08/04/28)

 茶所駅を通過する右:下り岐阜行き快速急行電車、左:上り豊川稲荷行き急行。この茶所駅も高架後は廃止となります。


 写真21−16                                     (撮影日 08/04/28)

 茶所駅を通過して名古屋方面へ向かう中部国際空港行き特急電車。
 左手は、茶所の検車区です。高架事業では、本線は特急電車の走っているさらに先の境川鉄橋まで対象となります。但し、茶所検車区はそのまま地上に残され、上下2本と取り付け線で高架に上がって本線に接続する予定です。


 茶所4号踏切脇(踏切の北東)のクリーニング屋さんのご主人とお話をしました。

「失礼ですがこのお店は高架事業で立ち退きとかの影響は出ますか?」

ご主人

「いや、線路のこちら側(北東側)は大丈夫だ。急カーブを直すとかで、線路は今の線路より西南側に移る。あの白い壁の家よりももっと西側にできるそうだ。」

「いつ頃とかの具体的な話は自治会とかには来ているのですか。」

ご主人

「いや、まだまだ。わしらがいきとるうちにはできんじゃろ。」


 まだ先の話のようです。


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