最近の日記は、ほとんど映画鑑賞シリーズのみと化しています。
それでも書きます。
この未来航路を継続してご覧になっておられる方は、我が家族が「出口のない海」を見に行かないはずはないと思っておられるでしょう。
期待どおり(^.^)、見てきました。私と次男Yの二人だけでしたが。
ストーリーは、1943年の学徒出陣によって兵役についた大学野球のエース(甲子園優勝経験者)が、必死の特攻兵器である人間魚雷回天乗り組みを命じられ、幼なじみの恋人を思う気持ちを抱きながら、死と向かいあいつつ自分なりに生きる意味を見いだしていく苦悩を描いた、戦争、青春、and「哲学」映画です。(そう期待して見にいきました。)
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原作小説は、横山秀夫の同名小説『出口のない海』です。(1996年マガジン・ノベルス・ドキュメント、2004年講談社、2006年講談社文庫) |
『男たちの大和』は、戦艦大和という軍艦そのものにストーリーがあり、また、描かれている群像が、士官や学徒士官ではなく、一般の兵隊というところに魅力がありました。
『男たちの大和』について、作者辺見じゅんさんは、民俗学の取材のために、たまたま岡山県の山奥に住む年老いた女性を訪ねた1978年ごろ、たまたま戦艦大和の乗組員だった息子からの最後の手紙を見たのが、『男たちの大和』を書くきっかけになったと言っています。その手紙とは、「お母さん、どうか私のことはけっしてけっしておわすれください、さようなら」です。
6万トンを超える巨艦、群がる敵機、3000人以上の人間の生命の最後。
「大和」という舞台は、ダイナミックで、凄惨で、そして「一瞬」でした。
一方、「出口のない海」はというと・・。
死と直面しつつ訓練をくり返し、心の葛藤をくり返しながら、必死の特攻兵器回天に座乗して、一人で敵艦に体当たりする。『出口のない海』は、静的で、内面的で孤独な世界です。
原作は、遺書を残されたWさんという学徒出身士官をモデルにしていますが、そこへ、野球を絡め、幼なじみとの恋愛を絡めたストーリーになっています。
映画「出口のない海」の家族の評価はこうなりました。
お薦め人 |
お薦め度
(3点満点) |
コ メ ン ト |
私 |
★ |
ずばり、映画を見た後で、原作小説『出口のない海』(講談社文庫)を読みましょう。 |
妻N |
−−− |
3男Dの監督(?)に居残るため欠席。 |
次男Y(20歳) |
★ |
大和に比べるとしょぼかった。潜水艦の緊迫感がない。回天搭乗の意味も曖昧。 |
3男D(16歳) |
−−− |
前期期末試験勉強のため欠席 (-.-) |
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※映画「出口のない海」の公式サイトはこちらです。
ちょっと厳しい評価となりました。
先に読んだ、原作小説が感動的過ぎたのかもしれません。
期せずして厳しい評価をしてしまった次男Yと、何が物足りなかったかを「協議」しました。
次男Y「冒頭の潜水艦シーンに、緊迫感がない。『Uボート』や『K19』など、外国映画にはものすごい緊迫感があったのに、これはしょぼかった。最初のシーンで失望させると、回復に難しい。
私「回天の知識がある日本史教師には分かったが、回天って何というレベルの一般の方には、当時の緊迫感、回天という兵器そのものの非人間性など重苦しさが伝わりにくかった。
私「当然ながら、主人公たちの「死に臨む苦悩」も今ひとつだった。」
次男Y「最後の遺書はよかった。あれは原作の通り?」私「その通り。言い言葉だったね。ああいう訴えるものがもっと多いと、奥行きの深い映画になった。」
人の作品をああだこうだいうのは、簡単です。
いやよくぞ、この重いテーマに挑戦された。それだけで十分です。
おかげで、また歴史を勉強し、回天搭乗経験者(生き残った方)の著書もたくさん読むことができました。そういう機会を作ってくれたこの映画に感謝です。 |