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 C 夜の富山湾 いざ、ホタルイカ漁               <目次>へ戻る

 まずは、ホタルイカ漁の勉強です。
 富山湾のホタルイカの漁は、3月1日から6月末日までと決められています。但し漁の最盛期は、4月中旬から5月上旬です。
 ここでは古くから定置網による漁が行われてきました。1955年から50年間ほどの年間漁獲量を比較すると、最も多いのは、1992年の3895トン、少ない時は1000トンを切る年もあり、平均的には1500トンから2000トンの間で推移しています。

 富山湾の海岸に近い浅海での定置網漁は、漁業資源には優しい漁です。つまり、ホタルイカは産卵のために浅海にやって来るのですが、ここの定置網は、そのうちの2割ほどを獲るものです。残り8割の成魚は、ちゃんと産卵を終えることができ、翌年の漁業資源が確保されるというわけです。

 さて、ここまでの説明を読まれた方は、富山県の力の入れ方や、私の説明ぶりから、富山県のホタルイカ漁獲量は「全国一」であると「誤解」されてしまったでしょう。

 実は、違うのです。
 現在は、兵庫県が、ホタルイカ漁獲量全国一なのです。
 ずっと古くから定置網漁が続けられている富山湾と違って、1984年から、山陰から若狭湾沖の地域で、底引き網漁によるホタルイカ漁が始まりました。
 先にも説明したように、ホタルイカそのものは、日本中のどこにでも生息しています。

 山陰の漁民はそれまでカニ類やカレイ類を底引き網で獲っていたのですが、それらが不漁になった結果、ホタルイカ漁に切り替えたのです。
 底引き網漁は、定置網漁と違って、ホタルイカの群を追い求め、根こそぎとることができます。その結果、山陰・若狭沖の漁獲量は増加し、最近では、平均して3000トンから4500トンに達しています。富山湾の2倍近い漁獲量です。
 漁港としては、全国的にはあまり有名な町ではありませんが、兵庫県の日本海岸にある浜坂町が、現在ではホタルイカ水揚げ日本一を誇っています。詳しくは下のグラフをご覧下さい。

 底引き網漁に出現によって、ホタルイカ全体の価格が下がり、また、資源の枯渇も心配されているのが現状です。

 山陰沖では漁期が早く、早い時は年明け早々から山陰産ホタルイカが出回ります。しかし、その道の通によれば、富山湾産は魚体が大きくツヤがあり、味噌(はらわた)も美味しいそうです。  

 この10年間のホタルイカ漁獲量は、94年と95年を除いては、ずっと兵庫県がが富山県を上回っている。兵庫県の中でも浜坂町の漁獲量は圧倒的で、99年以降は、浜坂町単独で富山県全体を上回っている。
 ※浜坂町のサイトより。

  

 さて、満腹になった私と3男Dは、午後8時過ぎには布団をしいて眠る体制に入りました。
 ところがです。この旅館海老よしさんは、この日、なんと先の統一地方選挙で当選した滑川市の某市会議員の当選祝賀会の会場となっていました。我々が眠ろうとしている部屋と同じ階のその会場では、飲めや歌えの大騒ぎが9時半まで続き、とても眠れたもんではありませんでした。

 しかし、不思議なものです。
 起床時間の午前2時には、目覚まし時計なしで、ちゃんと目が覚めてしまうのです。
 
 2時半に旅館を出た私たちは、旅館のマイクロバスに送られて、わずか5分ほどで集合場所のホタルイカミュージアムの隣に到着です。
 今日の観光客は合計100名ほど、2隻の観光船に別れて乗船です。15時に出港しました。 

 これがホタルイカ観光船。5月4日の未明は、2隻が出港した。

土産物売り場が待合室

乗船前には救命具を付けます

これは記念切手

  

 定置網は、滑川漁港から観光船で25分ぐらいの比較的海岸に近いところにありました。
 漁師11人が乗り組む少し大きめの船と、数人が乗り組む小さめの船で、、網を挟んでたぐり寄せます。
 我が観光船は、カタカナのコの字形の縦棒の位置にいて、両側からだんだんと間隔を狭めていく漁船を見学です。
 10分ほどで2隻はほんの数メートルの位置にまで接近し、いよいよ網の中にはホタルイカが満ちます。
 その時、それまで煌々とともされていたライトが一斉に消されました。

 本来、ホタルイカ漁は光に集まるイカの習性を利用するものですから、ライトを付けて行うのですが、ホタルイカの青白い光を見にきた観光客のために、網から引き揚げるという時点で、ライトが消されるのです。

 いや、いますいます、網の中は青白いホタルイカで一杯です。漁師さんが観光客にサービスとばかりに、網ですくった何匹かを船めがけて放り投げます。
 観光船の甲板の上で青白く光るホタルイカ。その青白いひかりのきれいなこと。

 確かに美しいです。それは認めます。
 しかし、漁が始まってすぐ、私は、とてもその美しさを鑑賞するどころではなくなりました。
 そうです、三半規管が弱い私は、すぐに船酔いにかかってしまったのでした。デジタルカメラを持ちながら、ファインダーを覗くと、もう、ゲボする寸前です。

 感想、美しいけど、つらい体験でした。
 遊園地のコーヒーカップ(ティーカップ)が平気な3男Dは、平気で楽しんでいました。うらやましい。 

 2隻の漁船が定置網をたぐります。
 左上は、船上の10数人の漁師さんが、網をたぐっているところです。
 右上は、網がたぐられ、集められたホタルイカが船にあげられているところです。
 電気がついていると、ライトの明かりでホタルイカの発光は見えません。

 かといって、ライトが消えると、ホタルイカの淡いひかりは、カメラでとらえるには弱すぎます。
 
 揺れる船上でカメラのファインダーを覗き続ければ、すぐに船酔いのむかつきが襲ってきます。
 右は、手当たり次第にシャッターを切ったらその1枚に映っていた、ホタルイカの淡いひかりです。
 やっとこれだけの「成果」でした。

 ほとんどXファイル並の怪しげさです。(--;)


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