自民党の総裁選挙の結果が判明した時、アイオワのスティーブからメールが来ました。
「新しい首相候補はどんな人物か。この総裁選挙になるまで、私たちのニュースは、自民党の派閥のメンバーの個人個人までは報道していなかったので、小泉純一郎という名前を聞いたのも彼の顔を見たのも、これが初めてだ。」
と書かれていました。
確かめていませんが、森首相も多分スティーブにとってはよく知らない人物であったでしょうから、彼がこういう内容のメールを書いてきたと言うことは、むしろ、アメリカのメディアでは、いつも以上に日本の新首相に対する注目が集まっているということになります。
事実、ニューヨークタイムズは、「Upset in Japan」(日本の番狂わせ)というタイトルで、次のような記事を書いています。
次の日本の指導者として今週選ばれた小泉純一郎氏は、この10年間に登場した失敗した政治家に比べると行動も話し方も外見も違っている。流行の長い髪型で、ロックミュージックが好きで儀礼や形式にとらわれない人物である彼は、異例のやり方である全国党員による投票に勝利して( won an unusual popular vote)、自由民主党の総裁に就任した。
小泉新総裁は、党の改革と日本の経済改革を約束しているが、彼の異端児的な立場は目標達成を困難にするように思える(his outsider status is likely to make it
difficult to accomplish these goals.)。もし国民に彼の能力が確かなことを確信させることに失敗すれば、彼は夏までに職を追われるかもしれない。
アメリカのメディアも、首相がこれまでのタイプと違っていることは認識していますが、それ故に、日本の政界では実績を残すことに困難が伴うと予想しています。
私は、スティーブに、「メディアが書いているとおり型破りの政治家であるが、日本国民としては、私も含めて、何か思いきったことをやってくれると期待している。そのことは、首相就任時の世論調査による支持率の高さ(メディアによって異なりますがほとんどが70%後半から80%以上)に現れている。あなたも私も「outspoken」(ものをはっきり言う人)な人間なのだから、彼に期待してほしい。」と書きました。
ニューヨークタイムズは、次のように結んでいます。
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The one advantage that Mr. Koizumi has is
that he is a product of a relatively
free
and open selection process. He needs
to build
on that impressive accomplishment
by trying
to democratize the Liberal Democrats
and
insisting on a popular role in the
selection
of the prime minister from now on.
If he
can accomplish that difficult goal,
he will
have a better chance of building
support
for the economic and structural reforms
that
Japan needs.
小泉氏の有利な点は彼が比較的自由で開かれた選考過程を経て選ばれたことである。彼は今後も自由民主党の民主化につとめまた首相の選考について国民の声が反映される仕組みを主張し、この印象的な成果を確立していく必要がある。もし、その難しい課題を達成できれば、日本に必要な経済的、構造的な改革への支持を得るいい機会となるだろう。
たとえ、「人気先行」であったとしても、前首相の様に希望も何も見えない人物ではなく、「政治家らしい政治家」が登場したことを歓迎したいものです。 |