| 旅行記のメニューへ  | | アメリカとの交流メニューへ  | | 前へ | | 次へ |

<アメリカからの情報>

001 ハワイ沖の衝突事件      | 目次へ戻る |

  ハワイ沖のえひめ丸と原子力潜水艦の衝突事件で、事件から1週間を経てもまだ9人が行方不明です。心からご無事を祈ります。
 今日の段階では、緊急浮上する原潜グリーンビルの操舵を同乗していた民間人が行っていたことが判明し、いよいよ原潜側の責任が大きくなっています。被害にあった日本人から見ると、まさしくとんでもない話です。
 ところで、この事件ですが、日本とアメリカとでは事件の知られ方に違いがあります。日本ではそれこそ知らない人はいないくらい全国津々浦々まで報道されています。TVはもちろん、新聞は読売や朝日といった全国紙から、我が郷土の岐阜新聞にいたるまで、この記事を取り上げないメディアはありません。
 では、アメリカではどうなのでしょう。「アメリカ政府」がとかいう報道を聞いていると、さもこの事件が全アメリカ国民の注目の的になっていると、我々日本人は錯覚します。しかし、事実は違います。 
 この事件について、早速アイオワの友人スティーブに尋ねてみました。すると、アイオワ州の州都デモインの地方紙「The des Moines Register」では、事件発生時に1面にほんの少しの記事が載り、あとはこの1週間掲載されない日もあったということです。一応念のため「日本では知らない人はいないくらいの大事件なのだが、なぜアイオワではあまり報道されないと思う」と彼に聞いてみましたが、返事は「アイオワは内陸の州で、遠くハワイの海で起こった事件については関心がないのは無理はない。」とのことでした。
 日本でもそうですがアメリカでも地方の一般の方は、それぞれの地方紙を読みます。特別の職業の人でない限り、ニューヨークタイムズなどを読む人はいません。その結果、ハワイ沖の事件は、少なくともアイオワでは、日本のように「誰もが知っている事件」ではないのです。
 彼に自分が教えているクラスの状況を聞いてみました。今年は彼は5クラス130人に世界史を教えています。その結果は、衝突事件を知っている高校生は、130人中僅か5人でした。これは、個人的には、十分予想された数字なのですが、みなさんは受け止め方はいかがでしょうか。
 ちなみに、ついでに聞いてもらいました。「日本の総理大臣の名前は?」と。もちろん、知っている高校生は130人中ゼロです。
 TVでは全米ネットで連日報道されているようですが、日本のように特集を組んでというほどではないようです。
 日本とアメリカとの双方の認識は、日本の圧倒的な「片思い」状況です。
「My Diary学校・役所雑感」へ


002 新首相の評判        | 目次へ戻る |

 自民党の総裁選挙の結果が判明した時、アイオワのスティーブからメールが来ました。
 「新しい首相候補はどんな人物か。この総裁選挙になるまで、私たちのニュースは、自民党の派閥のメンバーの個人個人までは報道していなかったので、小泉純一郎という名前を聞いたのも彼の顔を見たのも、これが初めてだ。」
と書かれていました。
 確かめていませんが、森首相も多分スティーブにとってはよく知らない人物であったでしょうから、彼がこういう内容のメールを書いてきたと言うことは、むしろ、アメリカのメディアでは、いつも以上に日本の新首相に対する注目が集まっているということになります。
 事実、ニューヨークタイムズは、「Upset in Japan」(日本の番狂わせ)というタイトルで、次のような記事を書いています。

  • 次の日本の指導者として今週選ばれた小泉純一郎氏は、この10年間に登場した失敗した政治家に比べると行動も話し方も外見も違っている。流行の長い髪型で、ロックミュージックが好きで儀礼や形式にとらわれない人物である彼は、異例のやり方である全国党員による投票に勝利して( won an unusual popular vote)、自由民主党の総裁に就任した。

  • 小泉新総裁は、党の改革と日本の経済改革を約束しているが、彼の異端児的な立場は目標達成を困難にするように思える(his outsider status is likely to make it difficult to accomplish these goals.)。もし国民に彼の能力が確かなことを確信させることに失敗すれば、彼は夏までに職を追われるかもしれない。

 アメリカのメディアも、首相がこれまでのタイプと違っていることは認識していますが、それ故に、日本の政界では実績を残すことに困難が伴うと予想しています。
 私は、スティーブに、「メディアが書いているとおり型破りの政治家であるが、日本国民としては、私も含めて、何か思いきったことをやってくれると期待している。そのことは、首相就任時の世論調査による支持率の高さ(メディアによって異なりますがほとんどが70%後半から80%以上)に現れている。あなたも私も「outspoken」(ものをはっきり言う人)な人間なのだから、彼に期待してほしい。」と書きました。
 ニューヨークタイムズは、次のように結んでいます。

  • The one advantage that Mr. Koizumi has is that he is a product of a relatively free and open selection process. He needs to build on that impressive accomplishment by trying to democratize the Liberal Democrats and insisting on a popular role in the selection of the prime minister from now on. If he can accomplish that difficult goal, he will have a better chance of building support for the economic and structural reforms that Japan needs.

    小泉氏の有利な点は彼が比較的自由で開かれた選考過程を経て選ばれたことである。彼は今後も自由民主党の民主化につとめまた首相の選考について国民の声が反映される仕組みを主張し、この印象的な成果を確立していく必要がある。もし、その難しい課題を達成できれば、日本に必要な経済的、構造的な改革への支持を得るいい機会となるだろう。

 たとえ、「人気先行」であったとしても、前首相の様に希望も何も見えない人物ではなく、「政治家らしい政治家」が登場したことを歓迎したいものです。


| 旅行記のメニューへ  | | アメリカとの交流メニューへ  | | 前へ | | 次へ |