恥ずかしながら、このニュースを見るまでは、私も、「ラマダーンの月」というのは、イスラム暦にしたがって、ある日が来ると一斉に入るものと思っていました。
ところが、現実には違うことがわかりました。
イスラムの暦そのものは、創始者ムハンマドと信者たちが、メッカからメディナに移住した時、西暦紀元622年7月16日を紀元元年1月1日とするもので、イスラム世界では現在まで面々と続いています。その名前は、ヒジュラ暦(ISLAMIC HIJRA CALENDAR)です。ヒジュラとは、メッカからメディナへの移動を示す言葉で、日本語では聖遷と訳されています。つまり、「聖なる移住」の日を起源とする暦というわけです。
※イスラム教について |
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ところで、イスラム教に関する情報を日本で入手する場合は、東京にあるイスラミックセンタージャパンが最高です。ホームページにはいろいろな情報が掲載されていますし、お願いすると無料の解説本も送ってもらえます。
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イスラミックセンター・ジャパンIslamic Center - Japan http://islamcenter.or.jp/
東京都世田谷区大原1−16−11 〒156-0041
電話 03-3460-6169 ファックス 03-3460-6105
特に、「イスラムとは何か」のページに教えなどがわかりやすく説明してあります。 |
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ヒジュラ暦は純粋な太陰暦ですから、月の満ち欠けによって、29日の小の月と30日の大の月から構成されていて、1年は354日です。このため、西暦2001年の11月現在は、西暦2001年の3月26日を1月1日とするヒジュラ暦1422年の8月(SHAABAN)から9月(RAMADHAN)にあたります。
暦の上では、11月16日(金)がラマダーンの月の1日(金)となっていますが、ラマダーンの月と、ラマダーンつまり断食という行為を行う初日とは意味が違うのです。
ここで、基本的学習、イスラム教徒が日常生活をする上で行わなければならない義務を説明します。
イスラム教徒である以上、 (1)アラー(2)天使(3)経典(4)預言者(5)来世(6)天命の六つを信じることと、(1)信仰告白(2)礼拝(3)喜捨(4)断食(5)巡礼の五つの行為を実践しなければなりません。いわゆる、六信五行です。
そして、断食はその一つです。
経典コーラン(クアルーン)には「ラマダンの月こそは、人類の導きと正邪の識別としてコーランが啓示された月である」とあります。つまり預言者ムハンマドにコーランが下された神聖な月だということになります。さらに「信徒よ、断食も守らねばならぬ規律であるぞ。よく守れば、本当に神をおそれかしこむ気持ちができてこよう」とあり、神への畏敬(いけい)を表す行為としてこの期間に断食するよう求められているのです。
ラマダーンの1カ月間は、日の出から日没まで一切の飲食が禁じらます。つばをのみ込むことや喫煙も許されません。但し、断食の義務を負うのは健全な成人の男女で、戦場の兵士や旅行者、高齢者、妊婦、授乳中の女性らは除外されます。
普段は熱心そうに見えなくても、ラマダーンの月になると敬けんな教徒に様変わりし、お祈りを欠かさなくなる人も多く、金持ちも恵まれない人も同じ苦しみに耐えるため、宗教心とともに教徒としての連帯感が高まる時期です。
そして、ラマダーンの開始は、その土地土地のイスラム権威者が目で新月を確認して決めます。つまり、地球上の場所によって誤差がでたり、悪天候などで確認できなければ、1日繰り延べになる可能性もあり、16、17日のどちらの日が初日になるかは、15日の観測結果次第となるのです。
16日の新聞記事にも正確には次のように掲載されました。
日本の場合、イスラミックセンタージャパンのホームページには、「ラマダーン初日は、11月17日(土)と決定しました。」とあります。
日没後は合図とともに食事が許されます。本来は日没直後にナツメヤシ3個と1杯の水を飲んでから軽めの食事をするよう勧められていますが、日中のひもじさに耐えた後だけに、豪華な料理が並ぶことが多いそうです。
夜が明けるとまた断食が始まるため、夜中に食事を重ねる人が多く、ラマダン中の肉や小麦粉、砂糖などの消費量は平常の月の何倍にもなるそうです。レストラン、喫茶店も外国人向けなどを除けば、多くが日中に閉店しますが、夜になると店を開けます。モスクの周囲には出店ができ、深夜までにぎわいます。寝不足気味の人が多く、日中の業務は滞りがちになるとか。
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